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22 ヤンデレ幼馴染涼香

「・・・シュウ、・・・ちゃん。シュ・・・ちゃん!起きてシュウちゃん!もう学校終わったよ!」



「んぁ~・・・あと5分・・・」



「遊んでないで早く起きて!!帰る準備はしてるから、あとは起きるだけだよ!!」



デジャヴを感じさせることを言う涼香を尻目に、俺は一層にだらしなく机にへばりつく。


ああ、もう学校が終わったのか・・・、と口の中で呟く。


今日はほぼ丸一日眠っていた、朝のハプニングのおかげで疲れていたのかグッスリとだ。


・・・家に帰って一休みしたらバイトだな。


俺は気持ちを切り替えて机から離れる。


もう他の奴らは帰ったのか、残っているのは俺と涼香を除いて居残りかがり勉君の数人だけだ。



「んじゃ、帰るとすっか。涼香、お前部活は?」



「ううん、今日は家庭教師の方が来るからお休み」



「今日もか。毎度大変だな本当」



聞く限り、涼香は週に5回の家庭教師と3回の塾に通っているらしい。


丸一日自由に過ごせる週に唯一の日曜日も、大抵は部活の練習で潰れてしまうとか。


因みに涼香はバレーボール部に入ってるわけなのだが、一年生にして驚異的な脚力と体力を誇っており、部の連中からは『スーパー一年生』だとか『期待のエース』とやら言われている。


どうして俺の周りにはこうもたくさん天才やら期待のなんやらとやらがいるのだろうか・・・。



「ん?そうしたの、シュウちゃん。そんなに落ち込んで」



「・・・気にしたら、負けだから」



「え・・・そ、そう?」



俺を心配している涼香にそう良い、涼香の持っていたスクールバックを受け取って教室を出た。


部活に勤しむ生徒の声を聞き流しながら、学校を出て帰宅路につく。


俺の家はまだ学校から近いが、涼香の家は学校から大分遠いので歩いて帰るとかなり時間がかかる。


別に、自転車通学が禁止されてるわけでもないのだが、涼香は『シュウちゃんと一緒に帰れるなら歩きたい』とか言って自転車に乗ろうとしない。


・・・途中まで自転車を降りて進んで、別れてから自転車に乗って帰ればいいと思うんだけどな。


そうこう考えてるうちに我が家ことアパートが見えてきた。


相変わらず、涼香は俺の一歩後ろをついてくる。


俺の家のあるアパートは涼香の帰宅路通学路の途中にあるため、家に着くまでずっと涼香と一緒に帰ってくることになる。


・・・別にかまわないのだが、無言でただニコニコとついてくる涼香には時に得体のしれない不気味さを感じる。



「そんじゃ、もう家に着くしじゃあな」



「うん、それじゃまた明日ね・・・。あ、シュウちゃん。ちょっと待って」



「ん、なんだ?手短に頼む」



「うん・・・あの・・・その、ね・・・」



涼香はそこで言葉に詰まると、顔を俯かせ胸の前で指を弄り始める。


本当に言っていいのか、言ってはマズイのではないかと迷っているようだった。


数秒の間を置いてやがて決心したのか、思いっきり息を吸って少し大きめの声で尋ねた。



「シュウちゃん!・・・今日学校に来た、金髪の女の子と知り合いっていうのは、本当?」



瞬間、空気が凍った。


なぜだ。


なぜ、涼香が玖美のことを知っている?


いや、あれだけ大勢の前だったのだ・・・もう学校中に噂が広まっていたとしてもおかしくない。


しかし・・・よりによってなんで涼香に・・・!



「・・・あ、あはは。それじゃまた明日―――」



俺は一刻も早くこの場から逃げ出そうと足を踏み出したが、神業のようなスピードで涼香が俺の右腕を掴んだ。


一瞬、心臓が止まりそうになり、俺は恐る恐る振り返る。


涼香は完全に俯き、表情は分からない。


だがその小さな口が、早口に動いていることはすぐに分かった。



「シュウちゃん、なんで逃げるの?言えないの?どうして?」



「いや、あの、言えないことはないんだけど・・・。アレだ、アレだよ・・・ええと・・・」



「どうしてそんなに焦ってるの?顔、真っ青だよ?ねえ、どうして逃げようとするのかな?」



・・・マズイ。


これは非常にマズイ。


涼香はすでに『病涼モード』に突入しているのかもしれない。


『病涼モード』というのは、涼香が病んで病んで精神的にヤバい状況のことを指す。


もっと分かりやすく言えば『ヤンデレ』というもので、基本的に大人しいが一定の条件を満たすと精神が病んで暴走するのだ。


解説=新一、命名=新一、情報源=新一、詳しい事は新一に聞いてくれ。


因みに、俺はこのネーミングと解釈の仕方がどうも許せないので、これ以後は使わないことにする。


とにかく、今の状況はヤバすぎる。


涼香は未だに俯きながら、呪詛を呟くかの如く小声で囁き続ける。


一刻も早く逃げなければ、こちらの身が危うい!



「とと、とにかく!俺もうバイトあるから!!だからもう帰るから―――」



「おお、やっぱり秀輝だ!声と匂いがしたから見に来てみたけど、そっちの女の人間は誰?」



逃げる準備をしていた俺の頭上から、声が降り注ぐ。


声の方向に振り向くと、そこにはアパートの玄関のドアを開けっ放しにしてこちらを見ている玖美の姿が。


なぜこのタイミングで玖美が?と思ったが、恐らく天月がここまで付き添い案内したのだろう。


そして、あまりにもタイミングが悪かった。


玖美が俺の部屋から飛び出したのを、涼香は見逃さなかっただろう。


後ろの方からどす黒いドロドロしたオーラと共に、なにかがブチ切れる音が聞こえた。

そろそろテスト・・・(´・ω・`)

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