20 今後の予定と入学手続き
俺と天月は今後の活動について話し合っていた。
いや、正確には天月の考えたプランを、俺と玖美が聞くといったほうが正しいか。
「奴らについては僕が調べます。なにか大きな手掛かりを掴んだときに、お二人にも協力を要請させてもらいますが、宜しいですね?」
「でもお前、手掛かりっつったって宛てはあるのか?」
しかし天月は、俺の質問に対して鼻で笑い返す。
「宛てがなかったらこんなことしませんよ。ある程度の情報なら、奴らを観察していれば得られます。この町にも、何人か奴らが潜んでいるんです。恐らく・・・玉藻さんを探しているんだと思いますが、僕にとっては好都合です」
そういうと、天月は意味ありげな笑みを浮かべた。
ただ観察するだけじゃあまり効果はないんじゃとも思ったが、妖怪には妖怪なりのやり方が存在するのだろう。
いざというときは、力尽くに事を進めることもいとわないだろう。
天月の態度は良いものとはとても言えないが、どこか頼りになるところがある。
「そして玉藻さんですが、一人にするのだけは好ましくない。できる限り、二人で行動していてください。・・・可能であれば、この学校に入学するのが良いでしょうけど」
「はぃ?いや、流石に入学手続きだとかは俺には分からねえぞ?」
「そういったことは僕がやっておきますよ。そちらで決めるのはあくまで玉藻さんの意思で―――」
「入る!絶対入る!!何が何でも入るからね!!」
「・・・で、では、決定ですね」
「ちょ、待て。そんなあっさり決めちまって良いのか玖美?」
「うん!だって学校に入ったら秀輝と一緒に居られるんでしょ?」
「・・・いや、そう言ってくれると嬉しいんだけどさ。もっとちゃんと考えて、な?」
「うるさい!朝なんて勝手に私を置いてったくせに!おかげで大変だったんだよ!食べ物もないしお腹減ったし空腹で倒れそうだったし!!それに・・・―――」
「遅刻しそうだったんだし仕方ねえだろ?しかも全部空腹関係じゃねえか!お前は食い物に飢えた暴食家かよ!?」
「ー!?うるさいうるさい!!二日ぐらい前から何も食べてないんだから仕方ないじゃない!!」
玖美は耳まで真っ赤にして『バーカ!』と叫んだ。
その声が廊下に意外と響いたので少しひやっとしたが、幸いに教師共には聞こえなかったようだ。
俺が声について少しきつく注意したが、玖美は『うるさいバカバーカ!!』と叫ぶばかりだ。
流石に俺もイラッ☆と来たので口論を始める。
そんな俺達を天月は少し呆れた目で見ていた。
「とにかく、話が決まったのなら何事も早い方が良いでしょう。僕はこれから校長とでも話し合ってきます。あ、玉藻さんは僕についてきてください。貴方も早く教室に戻った方が良いですよ、徳野さん。もうすぐ授業が始まりますから」
それだけ言うと天月は、口論をしている俺達に背を向けて歩きだした。
俺の玖美はまだ口論を続けていたが、玖美は天月のことが気になるようだった。
口論を交わす中、玖美は天月の歩いて行った方向をチラチラと見ている。
「・・・早く行って来いって。入学できなくなるぞ?」
俺がそう忠告すると、玖美はこちらを気にしながらも天月の後について行った。
一度溜息を吐いたあと、俺は自分の教室へと戻ることにした。
玖美が入学してくる・・・考えるだけで不安になってくる。
しかしまあ、面白いことになりそうだ。




