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18 玖美の仲間の優等生

「悪いな。助けてもらって」



俺は背を向けて歩く天月に礼を言う。


しかし天月は振り返りもしなければ、一言の返事もしない。


流石に俺もムッとする。



「・・・」



とことん嫌な野郎だ。


人と一切関わろうとしないし、関わらなければいけないときにも無駄なことは全く喋らない。


クールを装って喋らないのではなく、人のことを蔑むような目つきで見て関わりたくもないといった感じだ。


あいつが自分以外の誰かと一緒にいるところなんて、世界で誰ひとりとしていないと思う。



「・・・秀輝、あいつは何者?」



ふと、玖美が俺に寄り添い天月に聞こえないように声の音量を抑えて尋ねた。


何者かと尋ねられても、俺はあいつについて知ってることなんかほとんどないので学校ではどんなやつなのかを言った。



「何者って言われてもな・・・。まあ、1年生にして校内学力トップで運動神経抜群の無口な嫌な奴ってことぐらいしか分からねーぞ?」



俺は玖美に合わせて声を抑えて答える。


しかし玖美は首を横に振って再び尋ねる。



「ごめん、質問を間違えちゃった。あの天月ってやつ、いつからこの町にいるの?」



「え?いつからって・・・」



そんなこと、分かる筈がない。


ただでさえ誰とも喋らない奴が自分について誰かに語るなんてまずありえない。


しかし、確かに考えてみればいつからいたのか全く分からない。


天月の存在を知ったのは高校に入った時で、それまで奴について情報も噂も聞いたことがない。


奴ほどの秀才ならこんな狭い町じゃあっという間に有名人だろうが、中学の時にもそんな話は聞かなかった。



「・・・分からねーな。あいつに会ったのは高校に入ってからのことだし、それまでは風の噂でだって聞いたことがねー」



「・・・」



俺が正直に答えると玖美は突然黙りこくった。


何かを考えていたような素振りも見せていて、真剣な顔つきは今まで見てきた玖美とは思えないほどだ。


少しばかり黙ってうつむいていた玖美は、パッと顔をあげて俺を見た。



「秀輝!ちょっとこっち来て―――」



「僕について知りたいのなら、直接僕に聞いてはどうですか?」



突然会話に割り込んだ声に二人はビクッと少し驚く。


恐る恐る天月を見てみれば、立ち止まって顔だけをこちらに向けていた。


その目を見た瞬間、玖美は獰猛に犬歯をむきだしにして唸り始めた。



「おっと、そんなに警戒しなくて大丈夫ですよ。僕も貴女も同じ『仲間』じゃないですか」



「・・・仲間?」



俺は天月の発言に首をかしげた。


だが玖美も天月も俺のことは気にも止めず会話を進める。



「問題はそこじゃないよ。なんでその『仲間』がこんなところで生活してるのよ」



「大方、貴女と同じですよ。僕も、奴らにですね・・・」



「ちょ、ちょっと待て。話が分からねーぞ・・・玖美と天月が仲間?なんのだ?それに奴らって何だ?俺にも分かるように説明してくれ」



話が分からず突然割り込んだ俺を冷ややかな目で天月が睨んだ。


俺を睨んだ天月を玖美が睨み返す。


天月は溜息を吐き、やれやれという風に首を振る。



「これだけ言っても分かりませんか・・・これだから人間は嫌いなんですよ。無能の癖に馴れ馴れしい・・・」



天月はクルリと身体の向きを変え、背をこちらに向けた状態で3歩歩いた。


俺と玖美は天月を見つめ、彼が答えるのを待った。



「奴らと言うのは・・・僕も何者なのか分かりません。何者かは分かりませんが、敵と言うことだけははっきりと分かります」



天月はクルリと回転して再びこちらに向きを変える。


ピッと人差し指を立てて、俺を見た。



「そして、僕は玉藻さんと同じ『妖怪』です。まあ、僕は九尾ではなく天狗の一人ですけど」

明日テストです。小説書いてるヒマは本当はありません。

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