15 モンスタートレイン新一
俺は購買でパンを3個と牛乳1本、無くなりかけてたシャー芯を買って教室に戻ろうとしていた。
ラッキーなことにあまりまくったコッペパンの下に隠れるように混じっていた焼きそばパンを見つけたのでありがたく頂くことにした(少し潰れていたが許容範囲)。
早速喉が渇いてきたので買った牛乳にストローを刺しながら俺はあることを思い出していた。
天月の言った"匂い"とやらがどうしても忘れられない。
ストローを刺した牛乳をチューチュー飲む。
制服を洗う時に使った洗剤が天月が特別贔屓している洗剤で大好きな匂いだった・・・は流石にありえねーか。
例え洗剤説が合ってるとしても(ありえないが)天月はそんなことでは首の匂いを嗅ぐような変態じゃないし、天月じゃなくてもそんなことをする変態はそうそういない。
じゃあ、なんだろうか。
この"匂い"とやらが天月にとっては余程重要なことだったのだろうが、何のことかは見当もつかない。
「訳分かんねー・・・」
どれだけ考えても接点が見つからない。
このことについては今度天月に会った時に聞くことにしよう。
俺は飲み終わった牛乳の紙パックを右手で握りつぶしてゴミ箱に捨てる(勿論洗ってもない、明日この辺臭いだろうな・・・)。
丁度良い感じに牛乳を飲み終わる頃には教室の前に辿り着いた。
開けっ放しにされたドアから教室に入って自分の席に座ってパンを食べ始める。
とは言ってもたった3個のパンじゃすぐに食べ終わってしまう。
喉も渇いたが牛乳はさっき飲みほした。
「はあ・・・」
溜息を一つ吐いてから立ち上がって再び教室の外に出る。
手洗い場で水を飲むためだ。
「おっ、秀輝じゃねーか。どこ行くんだ?」
「水飲みに」
今、俺に声をかけたのは体のデカイむさ苦しい男は『水谷 新一』。
俺の悪友であり親友、以上。
手洗い場は階段の踊り場にあって、階段は教室を出て右に曲がればすぐそこにあるので10秒もかからずについた。
水を飲んで汗とパンくずで汚れた手を洗って教室に戻った。
そして戻ったらすぐに新一がタックルをかましてきそうな勢いでズダダダダッ!!と近づいてきた。
新一はアメフト部ってだけあって、まるで牛の猛突進を見ているようだった。
とは言ってもそのままぶつかるわけもなく、手前で急ブレーキをかけて止まった。
何事か聞こうと口を開く前に新一が言う。
「ニュースニュース大ニュースだ秀輝!なんかめちゃくちゃ可愛い女の子が学校に来たらしいぞ!!・・・なにが目的かは知んねーけど」
「はいぃ?」
「だ・か・ら!めちゃくちゃ可愛い女の子が来たんだって!!しかも金髪巨乳だってよ!!クーッこうしちゃいられねー・・・!とっとと見に行くぞ、玄関に居るってよ!!」
「ま、待て新一・・・なんでそんなにテンション上がってんのか分からねーし、それってそこまで大ニュースでもないんじゃ――わー!!」
俺は新一に手首を掴まれ、物凄い力で引っ張られていった。
幾ら女に飢えてるからってこりゃないぜ。
そして流石アメフト部期待の新人・・・バカみてーに力が強え・・・!!
え、俺は何部かだって?帰宅部だよ、言わせんな恥ずかしい。
手を振りほどいてすぐにでも離れたかったがこいつの馬鹿力の前には無力だし、それにその金髪巨乳の女の子ってのにも興味があったので抵抗はしなかった。
興味と言っても『金髪巨乳の女の子だって!?それは観察するしかないだろフーハァフーハァ・・・』みたいな感じではなく、何故かその女の子ってのに妙な心当たりがあったからだ。
・・・嫌な予感しかしねー。
とにかく、見に行けば分かることだ。
新一という名の猛突怪物急行列車に引きずられながら玄関へと向かう。
テスト期間に入ったので更新遅れるかもです。 そして行数はちゃんとした方が良いのかな・・・。




