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11 九尾の浮かべた邪悪な笑み

「遅刻するって・・・何に?」



「学校だよ、学校。くそ、朝飯食う時間がなかった・・・」



俺は突っぱねるように玖美の質問に答えた。


正直、こいつが現れたおかげで頭の中は混乱状態だ。


九尾だの妖怪だの言われてもこっちは困るだけでどうしようもない。


それに学校に遅刻しそうなのも朝飯を食べ損ねたのもこいつの所為と言えばその通りである。


だが玖美は俺の敵意満々の声に怯えることも無く、寧ろ目をキラキラ輝かせて再び質問をする。



「もしかして学校って人間の大人たちが子供たちに自分たちの持っている知識を教えるって言うあの学校?そうなの?そうなんだよね!?」



「あぁ、確かにそうだけどなんでそんな興味津々なん・・・はっ!?お前まさかついてくるつもりじゃないだろうな!駄目駄目駄目駄目!お前は存在自体怪しいのにもし九尾だってばれたらどうする気だ!?」



「大丈夫だよー。私だって妖怪のはしくれ、自分の耳としっぽぐらい簡単に隠せるんだから。ちょっとメンドウだけど人間にだってなれるんだからねっ」



「それなら大丈夫・・・じゃねーよ!いきなり生徒でもない奴が現れたらそれこそマズイわ!運が悪けりゃ警察のお世話になるんじゃね?」



とにかく駄目だ、と駄目押しをしたが玖美は絶対に諦めていない。


口では『えー嫌だ行きたいのにー』とあたかも行っては駄目と分かったフリをしているが、その目は謎の闘志にギラギラと光り口元は不気味を笑みを浮かべている。


こいつ、油断ならねぇ・・・!


完全にその闘志を消してやりたかったがもう無駄口を叩く時間さえない。


数秒で着ているTシャツとズボンから制服に着替える。


机に置いてあるスクールバックに教科書や筆記用具を適当に放り込み、玄関へ急ぐ。



「とにかくだ、絶対にこの家から出るなよ。学校に来るのは言語道断。頼むから大人しくしてろよ」



「えっ、それじゃあ私のご飯は?おやつは?私はどうやって生きればいいの!?」



「うるさい贅沢言うな。くそっ、居候モドキの癖に・・・食い物は冷蔵庫から適当に食べて良いから」



それだけ言うと俺は返事も聞かずに玄関から飛び出す。


あ、ちょっと!と俺を呼びとめる声が聞こえたがこれ以上は無視だ。


・・・チラッと見えた玖美の顔に浮かんだ邪悪な笑みは気の所為であることを願う。


俺は町を全力で駆け抜ける。


このペースなら校門が閉まるまでには間に合いそうだ。

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