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はじまり

エメラルドグリーン・コバルトブルー・アクアマリン・碧。

澄み渡るような綺麗な色をした海がキラキラと輝いている。

空はどこまでも青く雲がゆっくりと流れ。

この時期には珍しく優しい南風が頬をすり抜けていく。

今、幸せかと聞かれれば俺は胸を張って『幸せだよ』と答えるだろう。

何故なら……君がいつも側に居てくれるから。

その奇跡はある日突然始まった。


季節は夏の終わり。

島ではまだまだ暑かったが朝晩はだいぶ涼しくなってきていた。

1ヶ月後に東京の実家に帰るために妹へのお土産にブログ仲間のayaさんのお店yuraraに俺は居た。

「koh君、久しぶりね」

kohは俺のHNでブログ仲間ではリアルの時も殆どHNで呼び合う、本名を知らない方が多数だと思う。

「お久しぶりです。ayaさん」

「今日はどうしたの?」

「来月になったら少し実家に帰るんで、妹のお土産と思って」

「そうなんだ、帰って来たら話聞かせてね」

「そうですね。それじゃこのストラップを2つください」

「2つともプレゼント?」

「1つは自分用なんで、ラッピングは良いですよ」

そう言って、ayaさん手作りのとても綺麗な碧色のガラスのストラップを包んでもらっていた。

「そう言えば、koh君は島での生活が長いんだよね。ホテルで仕事してた事があるって言ってたし」

「ホテルは結構転々としていましたから、詳しいほうですよ」

「それじゃ、星崎のホテルに居た美月さんって知っているかなぁ」

美月美緒みつきみおですか?」

「ええ! 知っているの?」

「まぁ、それなりに」

「微妙な答え方だけど、奇跡みたい」

ayaさんは目をまん丸くして驚いていた。その驚き様には俺の方が驚いたくらいだ。

「その美月がどうかしたんですか?」

「ついさっきお店に美月さんのご両親が来ていてね。彼女が島でバイトしていた時に知り合った男の人を捜しているって言ってたのよ」

「でも10年以上前の事ですよ、美月がこの島に居たのは。それにその頃に知り合った男の人って、あれ? 男の子じゃないんですか? バイトの?」

「どうも恋人だった人らしいの年上の。koh君,何か知らないかなぁ」

「それこそミラクルですよ、ayaさん」

「ミラクル?」

「俺の勘違いじゃなければ、それはたぶん自分です」

「えっ? 本当に?」

「恋人だったかは微妙かもしれないけれど付き合っていたのは確かです」


そう恋人かは微妙だった。

もう10年以上前の話だから、いまさら恋人だったと言っても誰にも指摘はされないだろう。

それでも俺の中では微妙な関係だったのだ。

あの頃の彼女は人を特に男の人を信じられないと公言していたし。

長らく付き合っていた彼氏と別れたと言っていたが曖昧なままで、東京から話をしに島まで彼氏が来た事があったくらいだったからだ。

そして、人を信じられなくなった理由もきちんと俺に話してくれたし元彼に会って来るとちゃんと言ってくれた。

そんな彼女の全てを受け入れたつもりでたのだ。

それでも……


「koh君、聞いてる?」

ayaさんの声で過去にトリップしていた俺は現在に引き戻された。

「あっ、すいません」

「ああ、彼女との事を思い出していたんでしょ」

「まぁ、良いじゃないですか。でも何で美月の両親が今更そんな昔の男の事なんか探しているんですか?」

「詳しい事は言わなかったけれど、彼女が入院中でとても塞ぎこんでいるので両親としては藁をも掴む思いみたいだったけど」

「あいつ怪我でもしたのかな?」

「どうして怪我だと思うの? 病気じゃなくて」

「あの頃のあいつはとてもアクティブで海が大好きな女の子だったから」

「そうなんだ、詳しい事はご両親に聞いてね。これが連絡先よ、2~3日滞在するって言ってたから」

「判りました。直ぐに連絡してみます」


ayaさんから連絡先が書かれた名刺を受け取って店を後にした。

そして彼女の両親の滞在先のホテルのラウンジで話を聞いた。

その話は真実はライトノベルより奇なりとはこの事を言うのではないかと言う様な内容だった。



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