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第五王女の暴走に巻き込まれたら、珍しく兄がキレた。

作者: 有梨束
掲載日:2026/08/15

なんでもあり。

一体、どうしてこうなったんでしょうか。


兄の婚約者殿が風邪を引いてしまって、代わりに兄と参加したところまではよかったはずなのです。

なのに…、今目の前には第五王女殿下がおられます。

しかも、どこかのわからない煌びやかな控え室に軟禁されています…。


な、なんででしょうか…?



何かのよくわからない薬品を嗅がされて、気づいたらここにいました。


でも、誘拐?ならもっと手際良くやるでしょうし、そもそも私、縄で縛られることもなく、体が自由です。

そして、真向かいのソファーには、私のことをものすごい形相で睨んでいる第五王女がおられます、この状況を説明してほしいのですが…?


はあ、私が兄の妹だということが気に入らないのと…?

それはどうしましょうね、そんなこと言われても変えられない事実ですし。

兄か、もしくは私たちの両親に文句を言ってほしいものですけど…。


えーっと、王女殿下は兄と交流があるのでしょうか?

私の知る限り、兄の交流範囲に王族の方は含まれなかったような気がするのですが。

あの人、ああ見えて婚約者殿を一途に思っていますし、王女殿下に浮ついているとも考えにくいですし。



は?兄のファン?

王女殿下が、ですか?


……はあ、世の中にはそんな奇妙なことも起こるのですね。

兄のどこがいいんだか私にはわかりかねますが、それでどうして私に敵意が向けられているんでしょうか?

こういうのって、相場は婚約者じゃなかったでしたっけ?

婚約者は、兄と釣り合っているからいいんですか。

たしかに、婚約者殿は兄にはもったいないくらいい方です。

私のことも、本当の妹のように可愛がってくださいますし。

今日も、代わりを頼んですまないと、電報とお詫びの品をいただきました。

そんなこと、気にすることはないですのに。


えっ?ああ、兄は優秀なのに妹が残念すぎて見ていられない、と。

それは余計なお世話というものですが、さすがに王族相手に私も口を滑らせたりしませんよ。

今日も兄カップルを眺められると思ったのに、なぜエスコート相手がお前なんだと。

それでお怒りなのですか…?

なんというか、とんだとばっちりですね。


兄様は、今頃何しているんでしょうか。

さすがに私が会場からいなくなっていることに気づいていてほしいものですが。

あーあ、これ、私が怒られるんでしょうか。

お前は目を離すとすぐにどこかに行ってしまうんだからと、兄の小言が聞こえてくるようです。

でも、今回に関しては、どう考えても第五王女殿下がおかしいです。

とても不敬なことを心の中で言いますが、イカれています。


ヒソヒソと陰口を言われるならまだしも、薬品で眠らせて、よくわからないところに連れ込んで軟禁って、どうかしていませんか?

これで私が咎められたら、王家への忠信も削がれるというもの…、あれ、なんか外が騒がしくありませんこと?

なんか、嫌な予感がしますよ。


あれ、本当ですね、私のブローチが光っています。

これですか?

今日、家を出る前に兄にもらったものですね。

え、あ、あんたがそんなものもらってズルいですか。

妹というだけであの素晴らしい方から贈り物をもらうなんて、今すぐ外しなさいよ、って…ええぇ〜…。

兄のことが素晴らしく見えている第五王女殿下の目、大丈夫ですかね…?

あんな優しくない兄、どこにもいないと思うんですが。


え、えっ、えっ、え!?

なんかブローチがビリビリ言い始めましたよ!?

な、怖い、えっ、兄様私に何持たせたんですか!?


ブローチの音と一緒に、なぜか部屋の扉がぶっ飛びました。

えええぇ、怖。



って、兄様!?

どうしてここがわかったんですか?

怪我は特にしてません。

あー、なんか眠らされたので、頭がちょっとダルいくらいで…。

すぐに医者に診せる?

そんなに大ごとなのですか、はい分かりました、おとなしくいうことを聞きます。


……兄様、そんな恐ろしい目で王女殿下を睨んではダメだと思います。

えっっ!?家から正式に抗議文を出す、ですか!?

そ、そんな大ごとにしてもいいのですか。


うわっ、ちょっと、お姫様抱っこは婚約者殿相手だけにしてくださいよっ!

ほらっ、第五王女殿下が泣いてしまいましたよっ!

あー、なんの取り柄もない妹の分際でズルいってぇ、言ってますよぉ…。


な、な、な、大事な妹に手を出しておいて、ってなんですかそのセリフ!

はじめて聞きましたよ!?

寒気がするからやめてください、私の腕見てください…!

鳥肌が立ってますよ!

兄様、中身違う人ですよね?

本物の兄様はどうしたんですか。


このまま御前を失礼していいんですか?

相手は仮にも王女殿下…、いや、まあ、そうですけど。

やり方はとてつもなくイカれてましたけど。


というか、兄様どうして私の居場所がわかったんですか?

ここ、どこなんですか?

魔法で1時間飛んだ場所にある離宮…?

どうりでギラギラと眩しいお部屋で…。


えっ、このブローチから位置情報を受信したんですか!?

最近作った試作品の、迷子用ブローチ…。

兄様、私のこと馬鹿にしてますよね?

絶対そうですよね?

私が子どもみたいに迷子になるって思ってて、最初から渡してたんですよね!?


うっ、おかげで助かりましたけれども…。

だって、こんなことになるとは思ってなくてぇ。


俺も目を離して悪かった、ですか。

じゃあ、まあ、お互い悪かったってことで。

あっ、婚約者殿にはあんまり詳細を言わないでくださいね。

きっと、気にされると思うから。


それはできない?

え、本気で王族相手に喧嘩するんですか。

もう少し穏便になったりはぁー…、しないんですか。


そうですか、では私がどこにも嫁げないなんてことにならない程度にお願いしますね…?

最悪、貰い手がいなかったら面倒見てやるって?

兄様、なんかそれシスコンみたいに聞こえるので、やめてください。

気持ち悪いです。



はああ、今日は一段と疲れた気がします。

私ももう少し魔法を勉強して、せめて自分の身は自分で守れるようになろうと思います、はあ。







お読みいただきありがとうございました!!

226日目。

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