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2.魔王様、官僚制を学ぶ

次回更新は、4月17日(金曜日)です。

○地球を追放されたおっさん、美少女合法ロリ魔王様と魔王レンタル業を開業し、ゆるふわ女神と最終戦争ハルマゲドンをする

3.春陽の推論。神は万能ではない。

魔王リズウェルは・・・。魔王に召喚された本条春陽は、この世界の事情を知り・・・。

春陽は、申し訳なさそうな顔で、リズウェルに尋ねた。

「あの、リズウェル様の年齢をお伺いしても」

「最低でも、数百歳以上じゃ。お前よりは年上じゃ。安心するがよい」

春陽は胸を撫で下ろす。美少女とはいえ、ロリババアか・・・。


 本条は、魔王リズウェルに一番重要な質問をする。

 

 「ここは地球ですか?」

 「地球とは勇者が召喚される異世界じゃな」

 

 リズウェルは地球のことは、他の魔王から聞いたことがあるという。

 曰く「勇者が召喚される悪魔の星らしい」

 

 自分も異世界に転生したのだろうか?本条は深く考えるのは止めた。 

 本条が働いていたのは、過労死ギリギリのブラックな職場、霞が関の某省庁の中間管理職である。しばらく本条が姿を消しても、誰かがかわりに仕事をやってくれる。官僚の本条も社会の歯車、組織の歯車の一つでしかないのだから・・・。

 

 転移なのか、異世界転生なのか、召喚なのかは本条にはわからない。けれど、何らかの理由で本条は、地球とは別の世界に来た。なぜ、召喚されたのかを考えるのは科学者の仕事だ。 

文系の本条の仕事ではない。


 「本条よ。お主は余を見ても驚かぬが、本条の世界には魔王はいないのか?」

 「魔王はいませんが、魔王のような人間はいましたね」

 そう言って、本条は、利権に群がる与野党の大物族議員達の顔を思い浮かべる。


 本条は、両手を動かしてみる。だんだん、身体の感覚が戻って来た。リズウェルに見下ろされながら、話していたが、ゆっくりとベッドから起き上がった。


 「お主が、動けるのなら、魔王城を案内しよう」

 部下の魔族達はリズウェルを止めた。しかし、リズウェルは無視して本条を魔王の謁見の間に連れて行く。ここは、魔王城だろうか?

薄暗い。しかし、見た感じは、人間の宮殿と変わらない。

 迎賓館やベルサイユ宮殿に、よく似た魔王城内をリズウェルに案内されて、本条は歩いていく。

 「そこに、座るがよい」

リズウェルが命じる前に、本条は豪奢なソファーに座った。

 「魔王を差しおいて、いい度胸じゃな」

 リズウェルは、衣装が水着のような露出の多い恰好をしていることを除けば、異世界のお姫様に見えなくもない。

 「あなたは、変身をすることが出来ますか?」

 「お主は、珍妙なことを尋ねるな?」

 「いえ、私には人間と魔王の違いがわからないのですよ」

 「そういうことか。神を信じる人型の生き物が人間。それ以外の知性ある生き物が魔族じゃ」

 「なるほど。なるほど」

 本条は頷く。

 「それで、魔王リズウェル様。どのような御用件で私は呼びだされたのでしょうか?」

 「それはじゃな」

 

 リズウェルは、この世界以外にも魔王と人間がいる並行世界があること。その並行世界の魔王達が勇者に討伐され、本条は、異世界に、派遣する助っ人(魔王?)として、異世界の魔王を召喚する実験で呼び出されたという。

 「念のために尋ねるが、お主が住んでいた異世界、その地球とやらの魔王ということはないよな?本条春陽よ、お主は魔王か?」

 

 本条は、この世界に召喚される直前まで明日の国会質問の説明レクをしていた大臣の顔を思い浮かべる。

 「人間でも、魔王に近い人はいます・・・。けれど、私ではないと思いますよ」

 魔王に近い人間ということなら、政治家が召喚されるはずである。

 「実験ということは、帰る手段もないのでしょうね」

 本条は顔を曇らせる。

「うむ・・・」

 「でしたら、しばらく、ここでリズウェルの仕事を手伝いますよ」

 「お主は、人間だよな?不死に憧れて魔族のリッチーになるものはいるが・・・」

 リズウェルは困惑する。困惑するが、魔王が召喚した人間を、この世界の人間が保護するとは思えない。下手をしたら、本条を火炙りにするであろう。

 本条は、ふてぶてしい人間のおっさんではあるが、火炙りにされるのは不憫である。

 「わかった。本条よ。お前は、余の客人として、しばらく、ここで暮らすと良い。余の、そうじゃな、魔王の秘書官をやって地球に戻る方法が見つかるまで、余を補佐してくれ。魔王秘書官、魔王補佐官じゃ」

 「一応、私、人間なんですが、部下の方が反発しませんか?」

「魔王に反発する魔族はいないな。そいつが魔王をやらされるからな」

「あの、リズウェル様、魔王というのは貧乏くじ扱いなのでしょうか?」

「うむ。そうかもしれぬな」

 こうして本条のごく平凡な魔界生活がはじまったのである。


 魔王の客分となった本条を、リズウェルは魔王の秘書官にした。特殊能力がない本条を戦闘員にしても捨て駒にしかならない。リズウェルの秘書官、補佐官になった本条のことを、リズウェルは、春陽と名前で呼ぶようになった。

 「春陽は、転移前に何の仕事をしていたのだ?」

 「リズウェル様、この世界は王や皇帝が国を治めていますか?」

 「王国もあれば、帝国もある」

 「官僚や公務員と言われて、イメージできますか?」

 「宰相のようなものか?」

 リズウェルは他の魔王達と情報を共有している。どの世界も似たような統治機構ばかりであった。

 「そこまで偉くはないのですが・・・」

 春陽は、魔王リズウェルに日本の官僚制について説明をしようとしている。

 

 中世の欧州に官僚制は存在しない。官僚制が欧州で発達するのは、フランス革命以降である。政治は貴族の仕事だ。平民は、出世できない。

 元々、官僚制は中国で発達した。皇帝が土地持ちの世襲領主に対抗するために、試験で採用した皇帝直属の官吏に国を統治させる方法である。

 子飼いの家臣団がいる王には、官僚は不要である。成り上がりの織田信長や豊臣秀吉は新しい人材を登用したが、三河の領主だった徳川家康は子飼いの家臣団を中心に江戸幕府を作った。

 そんな話を、簡単にリズウェルにする。リズウェルは、魔王であり、統治者である。

 春陽が考えるよりも、聡明な君主であった。春陽の説明を日本の大臣より正しくリズウェルは理解をした。


 「お主の世界では、王がいないのだな」

 「王はいますが、決定権は国民にあるんです」

 この世界には、魔法がある。リズウェルは、地球の政治の仕組みを春陽から聞いた。

 

 リズウェルは、地球の政治の話は、はじめて聞いた。しかし、意外にもリズウェルには飛行機や宇宙船、ライフルやミサイルの知識はあった。

 別の魔王達がいる世界に勇者が召喚される。勇者達の世界のことを人間が聞き出し、それが本になる。その本を読んで魔王達は異世界のことを研究しているのだという。

 

 魔王は、勉強熱心なのだなと春陽は感心する。


 しかし、召喚されたバカ勇者の歪な知識のおかげで、この世界も歪な発展を遂げていた。

 例えば、この世界の食卓にはマヨネーズがある。寿司もある。どこの間抜け勇者が持ち込んだのか、河豚鍋もある。そして、食品衛生の概念がない、お子様勇者が作ったマヨネーズはサルモネラ菌の繁殖で食中毒の原因になっていた。


 この世界には、回復魔法やら回復ポーションがある。異世界の食べ物は金持ちの食べ物だったから、被害は小さかったが、寄生虫に感染することを前提に刺身や寿司が食べられていた・・・。

 春陽がリズウェルに召喚された最初の日、食事にマヨネーズを使ったサラダが出た。

 「これ、勇者のレシピで作った食べ物ですよね?」

 「そうだが・・・」

 「衛生概念がないこの世界でマヨネーズを作ったら雑菌の巣ですよ」

 春陽は、リズウェルが手配してくれた、この世界の人間の超高級料理、勇者料理を食べるのを拒否した。リズウェルは少しへこんでいたが、春陽がリズウェルを慰めるべく丁寧に説明をする。

 「マヨネーズは塩分と酢の量を増やして細菌の繁殖を抑えます。卵も鶏の糞尿がつかないように採取してはじめて安全なマヨネーズを作ることができます。無知な地球の勇者が持ち込んだ食べ物は、社会全体を変えなければ食べられないものが多いのです。勇者は、お子様ですから」

 

 飛行機も自動車も魔王達の世界には存在しない。転移魔法のゲートや浮遊魔法のフライを使えるものがいるからである。

 

 勇者達も魔王を倒した後、王族や貴族達と政略結婚をさせられる。こうした並行世界の文明水準は、中世ぐらいであろう。だが、王侯貴族として英雄として崇められる生活を選ぶ召喚勇者が大半だった。

 

 そのため、異世界から人間を召喚する魔法はあっても、異世界に人間を戻す魔法は開発されていないという。召喚した人間を異世界に送り帰すメリットが、この世界の人間には存在しないからであった。

 

 強ければ勇者にする。役に立たなかったり、反抗的な地球人は殺せばよい。


 何とも身勝手な話である。


 魔王リズウェルが、本条春陽を見て驚いたように、地球から召喚されるのは少年、少女、中高生が多い。成人が召喚されることは並行世界でも皆無だという。


次回更新は、4月17日(金曜日)です。

○地球を追放されたおっさん、美少女合法ロリ魔王様と魔王レンタル業を開業し、ゆるふわ女神と最終戦争ハルマゲドンをする

3.春陽の推論。神は万能ではない。

魔王リズウェルは・・・。魔王に召喚された本条春陽は、この世界の事情を知り・・・。

春陽は、申し訳なさそうな顔で、リズウェルに尋ねた。

「あの、リズウェル様の年齢をお伺いしても」

「最低でも、数百歳以上じゃ。お前よりは年上じゃ。安心するがよい」

春陽は胸を撫で下ろす。美少女とはいえ、ロリババアか・・・。


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