第三十八話
夜空に雷のような光が走り、村全体を一瞬で白く染めた。
ルシアは胸元の光を抱え、石畳を踏みしめるたびに胸の奥の痛みを感じる。
光は手の中で暴れるように震え、守るべきものの重みを全身に伝える。
神界――アウレアの干渉が、ついに形を伴って二人に襲いかかる。
「……ルシア、これが……神界の本気だ!」
ミカが隣で声を震わせる。
肩までの茶色い髪が雷光に揺れ、瞳には恐怖と覚悟が混ざる。
小さな手は光には触れず、ただ守るように前に出している。
ルシアは胸元の光を握り直す。
握れば痛みが胸を焼く。手を離せば光は消える。
全身で重さと責任を受け止めながら、踏み出す。
川向こうのヴァルの影は動かず、冷静に二人を見守る。
声はなくとも、その存在感が圧力の中で際立つ。
黒い影は意志を持ち、襲いかかる。
光だけでは押し返せず、二人は初めて光と祈りの力だけで対抗する限界を感じる。
ルシアは深く息を吸い、胸の光に意志を込める。
痛みを受け入れ、覚悟を光に注ぐ。
ミカも同時に前に出て、二人の意志をひとつにする。
「……私たちの絆こそ、世界を変える力!」
二人の声が重なり、光は胸の中で炸裂する。
黒い影は揺らぎ、形を崩し始める。
木々の影が揺れ、小鳥が飛び立ち、川面が光を反射する。
――光と祈りの力、そして二人の絆が、神界の干渉を押し返す瞬間だった。
しかし影は完全に消えず、揺らめきながら再び襲いかかろうとする。
光だけでは決して勝てない、二人にとって最後の試練が迫っていた。
ルシアとミカは互いに視線を交わし、胸の奥で痛みと覚悟を絡ませながら、次の行動を決める。
光と祈りの力の真の秘密――二人の絆があってこそ完成する力――が、ついに明かされようとしていた。




