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第二十一話

 夜空に星が瞬き、村は静寂に包まれていた。

 しかし、ルシアの胸元の光は、夜の闇を切り裂くかのように淡く揺れていた。

 風が草木を揺らし、小川のせせらぎがいつもより高く響く。

 神界――アウレアの圧力が、静かな村にも影響を及ぼしているのが肌でわかる。

 「……ルシア、何か感じる?」

 ミカが隣で声をかける。

 肩までの茶色い髪が月光に光り、瞳には不安と覚悟が混ざる。

 小さな手は光に触れず、ただ守るように前に出している。

 ルシアは胸元の光を抱え直す。

 握れば胸が焼けるように痛い。手を離せば光は消える。

 重さと責任が全身に広がるが、後戻りはできない。

 川向こうにヴァルの影。

 動かず、距離を保ち、視線だけで二人を見守る。

 声はなくても、その存在感だけで空気が張りつめる。

 光が手の中で強く震えた。

 ――神界の干渉だ。

 冷たく、理屈のない力が世界の端から押し付ける。

 ルシアは呼吸を整え、胸の中の光を守りながら一歩踏み出す。

 胸の奥で痛みが燃え上がるが、それでも守るしかない。

 ミカは一歩前に出て、視線で光を追う。

 恐怖はない。信頼と共感が瞳に宿る。

 「……私も、ずっと一緒だよ」

 小さく、しかし力強い声。

 ルシアは振り返らず、静かにうなずく。

 二人の決意が光を通して世界に伝わる。

 光が胸でさらに輝き、村全体に淡い光が広がる。

 木々や石畳が柔らかく照らされ、遠くの家々も微かに揺れる。

 ――光の力が、現実に届いた瞬間だった。

 ヴァルは影のまま、一歩も動かず見守る。

 距離と視線だけで二人の行動を確認し、世界の変化を観察する。

 ルシアとミカは歩みを止めず、胸の奥で痛みと覚悟を絡ませながら進む。

 今日、ここから、光と祈りの力が世界を少しずつ変えていくのを感じた。

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