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第一章:教えてくれたのはあなた

ぜひ「Just the two of us」を聞きながらご覧ください。

見上げた星がこちらに垂れてくるような美しい寒空の下、ステレオから流れてきたのは「Just the two of us」。

この曲を聴くと人生最後の文化祭とあなたの顔を思い出す。

同じ生徒会として出し物の準備をし、当日も一緒に青を刻んだ大切な思い出。

写真のない思い出にそっと体を浸すように目をとじた。

飾り付けた風船が突然割れ始めて、びっくりした目を合わせて笑いあったり、最終下校時間ぎりぎりまで作業をして怒られながら廊下を走ったり。

ほんの数日前の出来事のように感じられる思い出は、鮮烈だけれども、どこかくぐもったような色をしていた。

忘れたくない。でももう色を失い始めている事実に、少し心の焦りを感じた。

あの日々のことをカメラにおさめておけばよかったといつになっても思う。

唯一あの日々にタイムスリップさせてくれるのは、この音楽だけだった。そして、この曲の持つ「なつかしさ」という色に、ほかの思い出で色を重ねたくなかった。


「Just the two of us. We can make it if we try. Just the two of us. Just the two of us. Building castles in the sky. Just the two of us. You and I」


この曲の歌詞は、自分たちのことを謳ったものかと勘違いしてしまうほど、そのままだった。

卒業アルバムを開き、文化祭当日の写真集のところに目を向ける。

名前も知らない人たちが笑顔で映る写真を見ると、当時の雰囲気だけが、ふわっと目の前に現れた。

しかしもうすでに形も色もないただの感覚に過ぎなかった。

締め付けられる心に僕は冗談を交えながら、次へ次へと写真を追った。

そして、君と僕が一枚の写真になっているものを見つけた。

お互いに別の方向を向いて参加者に作業を促していて、幸せを享受している顔。

僕はそっと卒業アルバムを閉じて、眼前に広がる「あの瞬間」をかみしめた。

心を締め付ける過去に、次第に冗談を言えなくなってきた。

僕はいまだに過去に囚われていた。

僕は過去に生きてしまっている。

涙は滴るばかりだ。

あの青色をもう一度見たい。

卒業アルバムを持った手が、小刻みに揺れ始め、力が入る。

痛い。心が。

いつかあなたが言ったこの言葉を僕は今でも覚えてるよ。


「この世で一番の痛みはなつかしさ。」


教えてくれたのはあなただった。

続き書きます。

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