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境鳥村立中学および小学校
野咲ミク 中学担任
相原リョウコ 小学担任
霧山ユリ 中2
藤アラシ 中2
藤タイスケ 中2
星ホクト 中1
霧山アン 小6
藤サクラ 小5
星ミナミ 小4
天城マヤ 小2
射手ヒロ 小1
7月に入って暑い木曜日の4時間目。
「来週はいよいよ期末テテストです。」
「結果によっては夏休みがああ。」
野咲ミクのなんとも嬉しそうな叫びに子供達がドン引く。
「楽しいか?生徒の苦悩がそんなに楽しいのか?」
「しかも体育のプール終わりで態々それ言うとか。」
霧山ユリの文句もどこ吹く風。
「プール終わりで眠そうだから目を覚ましてやろうかと。」
担任は朗らかに言い放って
「伴い本日より部活とアル、手伝いは休止です。」
「ああ部活で思い出した。」
「夏休み中に活動内容を報告できるようにまとめておきなさい。」
「フォーマットとかありますか?」
「うーん。報告、と言うより発表するのを前提に作って。」
「パワポで作るならプロジェクター用意するし」
「模造紙に書くならそれも用意するから。」
「まあテスト終わってからだな。」
「ヒヒヒ。期末は範囲が広いからな。」
「テスト問題作るのが楽しみでもう。」
「悪趣味な教師。」
期末テストは滞りなく終了。
4人とも真面目に対策したようで
「結果は大変よろしい。」
「何で不満そうに言った?」
「だって課題なかったら手伝いさせられるじゃん。」
担任は僕達の事を考えて言ってくれたのか。
「とか思ってる?違うよ?」
ホクトの心を見透かしたように霧山ユリが続ける。
「教師って生徒が休みでも仕事あるからね。」
「私達に相手してほしくて言ってるだけ。」
「そうなんですか?」
「さ、寂しくなんかないんだからねっ。」
テストが終わり、7月の中旬になると授業参観やら
合同授業中の大掃除やらが行われるのだが
子供達はその先の事で頭がいっぱいになっている。
夏休みの5日前、
夏休みの課題が配布されるといよいよだと実感する。
通常授業とは別の夏休み用問題集、
読書感想文、ポスター又は写生画、小学生は自由研究、中学生は部活動報告。
「夏休み中は今までと逆で土日の手伝いをさせてくれと保護者からの要望がありましたので」
「原則平日はアル、手伝いは禁止となりました。」
「原則って?」
「お盆の時期はどうしてもと泣きつかれたのでそこは仕方ないかなと。」
「なので平日はがっつり課題に費やしてください。」
「お盆の時期以外だったら基本校内にいるのでいつでも遊び、じゃない」
「判らないとこがあったら聞きにくるように。」
寂しいだけだったのか。
教師があまりに不憫で誰も口にはできなかった。
普段、自室ではなく居間で宿題をするホクトは
帰宅後、夏休みの課題をいつものように居間のテーブルに並べてみた。
受け取った時にも思ったのだが
2年生の3人よりも随分と量が多い。
先に帰宅していた妹ミナミが台所から現れ
問題集の山に驚き咥えていたガリガリ君を落としかけた。
「それ全部夏休みの課題?中学生ってそんなにあるの?」
「いや、僕だけみたい。」
「なにそれパワハラ?。」
ミナミが問題集の束を手に取る。
「これ小5のじゃん。こっちは小6。」
「小学生からやり直せってことかな?」
ホクトが結構真剣に悩むが
期末テストの結果が上々なのは知っていたし、
担任のミクちゃん先生がパワハラやら嫌がらせをするとも思えない。
「本当にそうかもよ。」
ミナミはアイスをシャリシャリ食べながら
「判らないことあったら聞いてよ。」
「っても私4年生だから答えられないけどね。」
金曜日に通知表を受け取り、翌土曜から夏休みが始まる。
ミナミは霧山アンに誘われ藤サクラと共に学校へ行きプールへ。
天城マヤも誘ったのだが「土日は出られない」と断られたので
祝日明けの火曜日に誘って皆で行った。
霧山ユリ、藤ダイスケは霧山荘で仕事。
藤アラシは大太楼で3連休を泊まり込み。
ホクトも3連休は饅頭作りに精を出した。
「7、,8月は杏餡。まずは見ていろ。」
「はい。」
祖父タツゴロウはホクトが真面目に真剣に取り組む姿を見てほほ笑む。
妹ミナミは早朝から割烹着に着替えて作業するホクトを横目に
午前中は学校のプール。昼食に戻り
午後は再び学校に行き課題を片付ける。と称して遊ぶ。
夕方戻るとホクトが店の片付けをする姿を見る。
夕食後、ホクトが夏休みの課題を取り出す。
ミナミは風呂上りにアイスを食べながらちらりと見ると
「中1数学」と目に入る。
最近のからやるのか。程度に思っただけだった。
4年生になったミナミはただ本当に興味だけで
「5年生の課題見せて。」
「うん。」
鞄の中から取り出す。
ミナミはその中から「小5国語」を手に取る。
答えられないとは言ったけど実際どうかな。
習っていない漢字は判らんけど
中を見てアイスを落としかけた。
「は?」
パラパラとめくる。
次に「小5算数」を手に取りパラパラと見る。
「ちょっと6年のも見るよ。」
ホクトの返事を待たず鞄の中から問題集を取り出し同じように中を見る。
「なんで終わってんの?」




