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023

境鳥村立中学および小学校

野咲ミク 中学担任

相原リョウコ 小学担任

霧山ユリ 中2

藤アラシ 中2

藤タイスケ 中2

星ホクト 中1

霧山アン 小6

藤サクラ 小5

星ミナミ 小4

天城マヤ 小2

射手ヒロ 小1


金曜日3時間目。合同授業。道徳。

小学生たちも中学生の教室に集まり席に着く。

「では職場体験の報告発表を。順番は」

「じゃーんけーん」

トップバッター藤弟ダイスケ。

研修先は郵便局。

「郵便局業務は3つ」と始める。

「私は郵便業務を体験しました。」

「私は金融業務を希望しましたがさすがに許可されませんでした。」

「ではせめて保険業務をと申し出たところ」

「偉い人たちが何人かで相談していましたが結局ダメでした。」

1日目午前中は郵便物の仕分け。

「はがき、手紙、荷物、守秘義務があるので詳しくは言えませんが」

「実にたくさんの郵便物がひっきりなしに集まります。」

「とは言っても年賀状の季節でもない限りは人の手での仕分けです。」

午後から荷物の配達の付き添い。

「不在の何と多い事か。宅配ボックス置くか日時指定しろよ。と心から思いました。」

2日目は窓口。郵便物の受付け、切手の販売など。

「一口に郵便物と言っても様々な種類があるのを知りました。」

「例えばはがきだけでも普通のはがき。往復はがき。」

「年賀はがき。広告付のはがき、などがあり、」

「荷物についてはその大きさや重さでもっとたくさんの種類がありました。」

「正直めんどくせぇなと思いましたがそれだけニーズがあるのでしょう。」

3日目は全て体験。

「朝は窓口、仕分け、午後から配達。」

「郵便物の山を見て1日2日遅れたところでガタガタ言うなと思いました。」

「これは私の感想であって、配達中のドライバームラマツさんの愚痴ではありません。決して。」


2人目、藤兄アラシ。

研修先は農家。

「私は農業を営むハヤタ農園さんにお世話になりまた。」

「ハヤタ農園ではお米と季節の野菜の生産販売をしていました。」

「今年は5月に雨が多かったので水の奪い合いにはならないだろうと言っていました。」

「何その世紀末と思いました。」

「これをネタに新作落語が作れそうだなと思いました。」

「農家が主役の落語はまだ聞いたことがないので面白そうだなと思いました。」

「目黒のさんまには少しだけ登場しますが農家ではありません。」

「水の奪いあいと言っていましたが鍬を振り上げたりショットガンを構えたりはしません。」

「殺してやろうと思ったことはあると笑っていたのが怖かったと思います。」

「水田では一定の水を保持しなければなりません。」

「水路から水を引くのですが、その水の利用もタダではありません。」

「ハヤタ農園の上流に別の農家さんの田んぼがあるのですが」

「そこの方が自分の田んぼに水が溜まったのにいつまでも水を引き入れて」

「下流にあるハヤタ農園にまで水が届かない事があるそうです。」

「ハヤタ農園さんの下流にも他の人の田んぼがあるので」

「注意しに行くと「なら勝手に切り替えてくれ」と言われたそうなので」

「その通りにして一晩放置。翌朝さぞかし水が溜まっているだろうと見てみてると」

「水は殆ど溜まっていません。」

「どうやら下流の農家さんが夜中にこっそりハヤタ農園さんの水路を切り替えたようです。」

「世紀末の始まりです。」

「この時期収穫する野菜はあまり多くないようで」

「私は3日間、殆ど草むしりをしていました。夏場だったら虐待で訴えています。」

「農家は水の奪い合いだけではなく、雑草とも戦います。」

「さらに敵はそれだけではありません。」

「数々の獣たちからも畑を守らなければならないのです。」

「ハヤタさんは猟師免許を持っていますが」

「勝手にショットガンをぶっぱなす事はできません。」

「番犬にと犬を飼っていますがお孫さんの希望でトイプードルになったそうです。」

「ドーベルマンにしろと言いたいと思いました。」

「しかし」

「一番恐ろしいのは」

「手間暇かけて育てた米や野菜を」

「安値で買いたたき、がっつり上乗せして販売する」

「某団体を牛耳る謎の組織なのだとハヤタさんは言っていました。」


「そしてトリを務めるのは私だ。」

霧山ユリが怪しげなポーズをしながら立ち上がる。

「ちなみに真打がギャラの分配を取り仕切るからトリと言うのだとか。」

「私は頼代にある神社でお仕事体験してきました。」

「ちなみにネットのマップで見ても神社としか表示されない神社です。」

「事前連絡で言われた通り神社の奥のご自宅に伺うと」

「出迎えてくれたの熊のような大きな宮司さんでした。」

「詳しい業務内容は娘がするから」

「聞いておきたい事は何かありますかと言われたので。」

「私は目の前の熊さんに早速質問をぶつけました。」

「この神社では何を祀っているのでしょうか。と。」

熊男(くまお)さんは言いました。」

「元々は人と人非ざる者を繋ぐ場所、というか人がいて」

「気が付いたら神社になっていた。」

「そこで私は鳥居の脇の天狗の石像について尋ねました。」

「熊男さんは言いました。」

あれは神巫女(かみこ)を守護する者がいつの間にか天狗になってね。」

神巫女(かみこ)とは」

「神社の責任者である宮司さん以上の立場で」

「古来の巫女を体現する存在との事です。」

「君の村の境鳥も天狗の別名だね。」

「もしかしたらご先祖様は親戚かもね。」

「熊宮司さんは笑っていましたが」

「川を挟んだ山に対面するように天狗の伝え。」

「あながち笑い話でもないかも知れません。」

「それから神社境内に向かうと」

「最初に掃除をしている巫女姿の女性の後ろ姿を目にします。」

「あの人が熊さんの娘さんかな。一発かましたろかいと挨拶すると」

「振り向いた女性がまぁ美しい。」

「しかも眼鏡。」

「眼鏡巫女。なんだよこれ。女神かよ。」


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