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境鳥村立中学および小学校
野咲ミク 中学担任
相原リョウコ 小学担任
霧山ユリ 中2
藤アラシ 中2
藤タイスケ 中2
星ホクト 中1
霧山アン 小6
藤サクラ 小5
星ミナミ 小4
天城マヤ 小2
射手ヒロ 小1
連休明けの学校。
ホクトは自ら焼いた「八手饅頭」をクラスメイトに配る。
概ね好評なのは
材料の配合も混ぜ方も焼き方も
「全て祖父から教わったままなので。」
「それで不味くなったら才能だな。」
霧山ユリは饅頭を頬張りながら
「観光地のサービス業を思い知っただろう。」
ユリの言葉に反応するのは藤兄弟。
「うんざりだ。ゴールデンウィークなんて中止になればいい。」
「サービス業だけの休日も国で作るべきだ。」
兄アラシが嘆くと弟ダイスケも続く。それを聞いていたホクト。
「あれ?」
「どうした。」
「サクラさん普通に学校来ていたけどアラシさんとダイスケさんは?」
「俺は大太楼で」とアラシ。
「俺は霧山荘で」とダイスケ。
そして同時に
「こき使われていた。」
霧山ユリは饅頭を食べる手を止めず
「たっぷり稼いだでしょ。」
「おかげさまでたんまりと。」
アルバイト?手伝いではなく?
担任が何やらもっともらしい事を言っていたような?
その担任が教室に現れる。
ホクトが担任にも饅頭を渡すと
殆ど同時に窓からコチキー(猫たち)も姿を見せる。
「そいつらに饅頭与えるなよ。」
「グルテンも糖も分解する酵素が少なく消化不良起こす。」
生徒達が猫達と戯れる隙に饅頭を食べ
「さて諸君。ゴールデンウィークは堪能できたかね。」
当然のようにホクト以外が不平不満を零す。
「知ってるくせに嫌味を言うな」
「まあまあ。そこでだ。今度の金曜日にキャンプをする。」
詳細はプリントを見るようにと配られたそれを見る。
日 時 5月9日金曜日午前9時から翌5月10日土曜日
場 所 境鳥小中学校集合
目的地 横向山 境鳥村立天文台敷地内
持ち物 飲み物 初日の昼食 おやつ
体操服 タオル 雨具 筆記具
「筆記具?何に使うの?」
「タイトルをよく見なさい。」
霧山ユリがもう一度プリントに目を落とす。
「宿泊自然体験研修?何させようって?」
「豊かな自然に触れましょう。て事じゃね?」
他人事のような担任の返答にホクトが
「建前と証拠ですね」と核心を突く。
「やってますアピールか。」
霧山ユリが担任に詰め寄るとホクトがぼそり
「アピール、うーん真実の隠蔽では?」
「中学生の体験学習に何の陰謀が?」
「教師二人のばんしゃ」
「へいっお前らっ。夕食はキャンプ定番カレーではないぞっ。」
担任野咲ミクが割って入って力説する。
「ゴールデンウィークの働きを労い、肉を喰らわせるっ。」
「って担任が一番盛り上がっていた。」
ミナミも小学担任相原リョウコから同じことを言われていたと
夕食の席で祖父母に報告していた。
5月にしては肌寒い朝。
寝起きでミナミはスマホで天気を確認。
今日明日「晴れ」のマーク。
日中は平年並みに暖かくなりそうだ。
「半袖でいいか。」
着替えを済ませもう一度リュックの中を確認。
二階の自室から居間へ。
祖父がコーヒーを飲みながら新聞を読んでいる。
「おはようじいちゃん。」
「ん。」
いつもの場所に座る。その奥のキッチンから祖母とホクトの声がする。
「ちょっとチャンネル変えるよ。」
「ん。」
ミナミはテレビのリモコンを手にして番組を変え天気予報でその手を止める。
「今日と明日の昼頃までは全国的に晴れますが」
「西日本では明日の午後から、東日本北日本では明日の夕方から次第に」
それだけ確認するとチャンネルを戻しリモコンを置く。
「大丈夫そうだな。」
祖父が新聞をたたみミナミに渡す。
「大丈夫そうだね。」
ミナミは新聞を受け取りテレビ欄を見る。
祖母が朝食を持って居間に入るとミナミは新聞を置いて配膳を手伝う。
ホクトがその後ろから現れ全員が席について朝食。
朝食を終えるとミナミが片付けをはじめ
ホクトは物置兼自室で支度を済ませる。
いつもならホクトは先に家を出て学校に向かい
ミナミは霧山アンの迎えを待つのだが
今日は霧山姉妹が揃って星家に現れる。
妹の霧山アンはいつものようにミナミと一緒に学校へと向かう。
一方姉の霧山ユリはホクトの祖父星タツゴロウと何やら話していからホクトを呼んだ。
ホクトは気にしていなかったのだが
「タツゴロウさんに昔話を聞かせてもらえるよう頼んだの。」
「そうですか。」
「興味を持てよ。」
「ほっ。おおっ何とっ。昔話となっ。」
霧山ユリのチョップがホクトの頭部を直撃する。




