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013

境鳥村立中学および小学校

野咲ミク 中学担任

相原リョウコ 小学担任

霧山ユリ 中2

藤アラシ 中2

藤タイスケ 中2

星ホクト 中1

霧山アン 小6

藤サクラ 小5

星ミナミ 小4

天城マヤ 小2

射手ヒロ 小1


授業が終わり再び調理室へと向かう廊下

野咲ミクは射手ヒロの隣を歩き

「一年生のお前には難しい話しだったかもしれないが」

「将来の夢にパティシエってあったからな。」

「少しずつでも考えてみような。」

ヒロは照れて俯いて何度か頷いた。

一次発酵が終わりガス抜き、生地を休ませ

その間にホクトがレトルトカレーを温める。

「結局カレーパンにしたのか。」

簡単マヨコーンパンを教えると

藤サクラは「それは家で試すから別のを作ろう」と言い出し

何を作るのかはホクトに一任されていた。

カレーをカゴに入れた時点で判りそうなものだが

「焼きカレーパン作ります。そろそろオーブンに熱に」」

「いや焼成は外でする。」

「外?」

パンを持って校舎裏に行くと

「いい感じに落ち着いたよ。」

先の授業で姿を見なかった相原リョウコが出迎え

その後ろには石窯があった。

「ピザ窯じゃあないですか。何で学校に。」

「学校でピザ焼けたら最高じゃん。」

「勝手に使っていいんですか?」

「勝手も何も学校の備品だ。」

ホクトと野咲ミクが揉めていると

「大丈夫。ちゃんと調べたから。」

相原リョウコが胸を張って言い切った。

「調べたって、何を?」

「ピザ窯でのパンの焼き方に決まっているじゃない。」


「ピザを作れば良かったのでは?」

焼き上がったパンを食べながらホクトが呟く。

「それじゃあマヤの練習にならんだろう。」

「それはまあそうですね。」

「て?マヤの作ったオニオンブレッドはどうだ。」

「美味しいですよ。丁寧に作っているのがよく判ります。」

「今でも家で食事の支度をしているのか?」

「殆ど祖母が用意してくれているので手伝う程度には。」

「そうか。まあほとほどにな。」

「?はあ。痛っ。痛たっ何?」

突然の背中の激痛。

キジトラ猫がホクトの背中に飛びついた。

「ん。待ってろ。」

野咲ミクが手にしていたパンを頬張りホクトの背中から猫を引き剥がす。

「コチキーにご飯くれるの忘れてたな。」

「コチキー?この子の名前ですか?」

「いやこいつはアギラ。」

「コキチーてのは何処かの国の言葉で猫たちって意味だったかな。」

野咲ミクがホクトにアギラを手渡す。

ホクトは躊躇いながらも受け取る。

「パン食べさせるなよ。こいつらのご飯持ってくるから。」

野咲ミクがとっとと行ってしまうと

ニヤニヤしながら藤サクラがホクトに近寄って

「ホクトさんて猫苦手ですか?」

「苦手と言うか、どうしていいのか判らなくて。」

「そのまま下置いて大丈夫ですよ。」

言われるままキジトラのアギラを下ろすと

ダッシュで天城マヤの元へと向かった。

「あーっ駄目っ玉ねぎ入ってるからっ。」

「リョーコ先生っなんとかしてっ。」

何やら騒動になった。

やれやれと眺めていると

甘えた声で「うにぁ」と足元から声がして

ホクトの足に何かぶつかった。

見下ろすと黒猫。

「ミクラスでしたっけ?」

藤サクラが抱き上げながら

「そうです。黒猫のミクラス。」

抱えられた黒猫は目を細めグルグルと喉を鳴らす。

「あのミクちゃんの足元にいるのがウインダム。」

容器と餌袋を持ってこちらに来る野咲ミクの足元に

白サバでハチワレ猫がうろちょろしている。

「名前の由来って?」

「カプセル怪獣。」

「ポケモン?」

「違うよ。カプセル怪獣はカプセル怪獣だよ。」

「見た目が似ているとか?」

「いいやまったく。」

なぜ名付けた。


5月3日土曜日~5月6日火曜日振替休日

朝から饅頭の包装と梱包に追われ、

それでも隙を見ては祖父の作業を見ていた。

ゴールデンウィーク最終日の昼近く、祖父は

「今ある分を詰めたら一段落だ。」

昼食後、祖母が配達に向かいミナミが店番をする。

祖父星タツゴロウは孫ホクトを呼ぶ。

「明日は学校だな?」

「うん。」

「よし。じゃあ焼いてみろ。」

「はい。」


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