第1話〜名前が2つ〜
私の名前は2つある。
22歳の2月、私に本名とは別に『もか』と名前が付けられた。
大阪のど真ん中のとある場所で金髪の若い細身のお兄さんに声を掛けられた。
「お姉さん、鉄分足りてますか?」
そう言われ、振り返ると手には鉄分の飲むヨーグルトを彼は持っていた。
何を言ってるんだと思ったが、振り向いてしまったが世の常。
そこから私は彼の話を聞いた。
あまり詳しくは覚えていないが夜の仕事をやってみないかと。
私は昼間はOLをしていて実家から1時間半かけて勤務地の大阪へと通っていた。
仕事終わりに整骨院へ行く道中に彼の甘い言葉に引っかかった。
お昼の仕事が給料が少ない事は確かだった。
お小遣い稼ぎでやってみよう。
そう思った。
連絡先を交換して後日、面接を受けに行くことに。
以前、メンズエステを2ヶ月程やっていたので夜の仕事に抵抗はなかった。
いざ面接を受けに行くと、内容はメンズエステと比べるとハードな内容だった。
そこで私は風俗だと知った。
名前、風俗の経験はあるか、性感帯はどこか、何カップか、好きな食べ物はなにか、好きな男性のタイプはなにか、キスなどオプションはどこまでできるか、津々浦々とその店の店長は質問をしてくる。
そして面接用紙へと記載していく。
初めてこんな質問をされて戸惑いはしたものの、嫌ではなかった。
当日は面接だけで働きはしなかった。
迷いは多少なりあったものの
好奇心旺盛なのか、私はとりあえず1回やってみようと思い体験入店をすることに。
まずはお店の講習を受けることになった