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街中の勇者・1
「はぁっ!」
ある青年は魔物を狩っていた。
「さすがは勇者様。相変わらず素晴らしい腕前で」
「冗談はよしてくれミヤル。今の魔物はスライムだぞ?」
〔ミヤル〕と呼ばれた男は目の前の男を愛おしげに見つめて言った。
「えぇ。ですがスライムを狩る姿勢があまりにも美しく……」
「だから冗談はいいって」
そんな彼に振り回されているのが、勇者・カノト。
北の大地にある〔白の村〕出身の青年である。
「ところで勇者様。前々から訪ねようと考えていたんですが……」
カノトは「なんだ?」と返事をする。
ミヤルは困ったような顔で言った。
「いつになったら私以外の仲間を集める気で?」
そう。カノトは勇者でありながら仲間を集めようとしないのだ。
「そろそろ私達のレベルも上げたいですし、魔王だって倒さないといけないんですよ?」
「それはそうだなぁ。けどそんなすぐには集まらないだろ」
「そりゃそうですよ。評判は上がりつつありますが、印象は最悪ですし」
カノトは悩んだ。
「はぁ……なら、一旦王都に戻ろう。そこなら誰か見つかるだろ」
「いるといいんですがね」
二人は森を抜けていった。