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第95話 市街戦

「スドウ!危険です!あそこの局長と団長は相当な手練れと聞いている!正面から戦うなど無謀すぎる!」


エールの叫びに須藤は答えた。

「ベルリオーネさんがそんな厄介なところにいるなんて普通じゃない。絶対何かあったんだ。俺は彼女を救出に向かう」


「で、でも!?」


「エール。どのみち国内治安騎士団の連中とは戦うことになるわ。それに第一級魔導士を味方に引き込む可能性があるならまたとないチャンスよ」

ルイーゼの発言にエールも気を持ちなおし、腰に差した魔法剣に柄に手を置いて考えた。


「了解!地獄に来たからには元凶も殲滅しないとね!私らエルフを狩り続けた連中を潰せる最高の機会よ!」


須藤とエルフ3名の合計4名はそれぞれ一回り大きいゴーレムの背中に乗った。


そこで念ずると魔法陣が展開され、各自はゴーレムの中へ吸い込まれていった。


中にはゴーレムの操縦席があり、席に着くと操縦桿を握りしめて各々の魔力周波数をゴーレムに伝え、自動制御オートモードからマニュアルモードへ瞬時に切り替えた。


須藤「みんな、行くぞ!もしゴーレムのダメージが蓄積したら例のパターンで行けばいい!ここは戦場だ!リアル路線で行くぞ!」


ルイーゼ「わかったわ!」


エール「おう!」


ルニエール「うん了解した!」


ゴーレムは足から魔力を噴射して一気に市街地を駆け抜ける!


須藤は秘密アジトにて以前から読み込んでいた古代魔導書を参考にゴーレムを急造する中で、自分たち4人が城へ攻め入る際の専用ゴーレムを他の雑兵ゴーレムとは別に作り上げておいた。


須藤らが即席で作り上げた中に人が入って操縦可能な専用ゴーレムの脚部には“疾風の宝玉”という特殊なマジックアイテムが組み込まれていた。


日本円に換算すると3千万はくだらないレアアイテムのそれは見る者に爽やかな印象を与える透き通った水色の宝石で、本来は持つだけで所有者の素早さを劇的に上げるレアアイテムだ。

さらにこのアイテムはそれだけでなく、所有者が魔力を込めて念じるとさらに素早さを倍以上に上げることができる。


本品は北部地方攻略の際にあるダンジョン内で発見したものを須藤がくすねておいたものだ。本来、レアな部類に入るアイテムはハイン王国ギルドへの届け出をして買い取ってもらうか、もしくは自分の物にするためには高い税金を支払う義務があるが、それをベルリオーネやスコットらに内緒で自分のマブクロの中にさらに隠しマブクロを内蔵しておくことでそこにプールしてあったものだ。


そして、このレアなマジックアイテムの術式とゴーレムを操作する術式を連動させるよう術式を連結し、ゴーレムの左右の脚部に組み込むことで、操縦者が素早さを上げる補助魔法を唱えると魔力を脚部下部から噴射することでローラーダッシュのような高速移動をすることが可能になるよう改造してあった。その機能により、使用者の魔力が続く限り自動車並みの速度で走行可能である。


市街地の大通りを一気に駆け抜ける4体のゴーレムたち。


市街地には民間人がいない。


非常事態宣言の類が出されたのだろうと須藤たちにはすぐに分かった。


雑兵ゴーレムと正規軍の合間を縫って進むと、まだ雑兵ゴーレムたちが到達していない市街地中心部でも正規兵と思われる死体が転がっている。


走りながらゴーレム操縦席の正面魔力モニターに表示されたそれらは一瞬だが魔法で仕留められた痕跡が魔力反応とともに確認できた。


「督戦隊の連中にやられたみたいね。あいつら強い敵とは正面から戦いたがらないのに逃亡者を狩るのには強いから」

通信魔法でエールの声が聞こえた。


そうこう進むうちに角を曲がると前方に隊列が確認された。


距離約300メートル。


「言ってると国内治安騎士団の連中がお出ましよ!」

ルイーゼの叫び声が操縦席に響き、各自攻撃準備に入った。


その時だった。


バヒュンッッッッッッッ!!!!!!!!


大きな音とともに噴煙が上がり、何かが勢いよくこちらに飛んでくるのが見えた!


「みんな気をつけろ!!!」

須藤が叫んだ!


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


南城門付近から市街地に入る付近。


背後から刃を突き付けられた正規軍は背水の陣で非常徴募された冒険者たちとともにゴーレム209達相手に絶望に充ちた戦いを繰り広げている。


「魔導兵!!攻撃魔法一斉射よーい!!」


六芒星の魔法陣のような紋章をつけ、魔導士の服装をした彼ら彼女らは一般兵とは異なる正規軍所属の魔法部隊である。


各々自らの正面に色とりどりの魔法陣を展開し、得意とする攻撃魔法の魔力を集中させていく。


「てー!!!!」


指揮官の号令とともに各種攻撃魔法が一斉射された!


火炎系、氷系、電撃系、闇属性系、風系、光系等その種類は様々である。


異なる種類のものを一斉射するのは単純に弱点が分からない敵が相手の場合の戦術で、どれか当たればよいというショットガン的な攻撃法である。


これはもし逆に敵が吸収してしまう属性を放ってしまった場合、敵の魔力や体力を回復してしまうリスクがある。


だが、同時に弱点となる属性を発見することにもつながりやすく、即座に割り出した弱点となる属性の攻撃魔法を叩き込むことにつながるため、敵の弱点となる魔法が分からない場合はまずできる限りすべての属性の魔法を叩き込むのが正規軍の常套戦術となっている。


正規兵に習い、冒険者たちも一斉に各々の攻撃魔法や魔法を込めた矢を放った。

皆が魔法を放つ中、冒険者の中には動揺する者が多数いる。


「おい、さっき見ただろあの督戦隊の人たち!」

剣士風の少年がひきつった表情で仲間たちに言った。


「うん見た・・・。あの人たちピストル持ってた。この世界って実は現実世界とつながっているんじゃないの・・・?」

中学生くらいの魔法使いの服装の少女が口を震わせる。


「声は大に出せませんがその可能性はあります」

大学生風のインテリな青年が答えた。


「ここにいる僕らはなぜかみんな日本で事故とか事件に遭い、この世界に転生してきた。そして現実世界の銃器を持つ騎士団の存在。おかしいですね」


魔法使いの中学生少女は弱弱しく言う。

「・・・やだよ・・・、死にたくないよ・・・・。現実で学校の屋上から突き落とされてこっちの世界でやり直そうって決めたのに・・・。何でこんなひどい目に遭うの・・私・・・」


「あーーーこんなことならエルフと獣人専門フーゾクもっと行っとくべきだったあーーーー!!!!」

嘆きながら中年男はちびちびとした魔法を放つが、それらはすべてゴーレムの手前で落下していた。


おしゃべりに気づいた正規兵が冒険者たちに怒鳴った。

「おい、お前ら!もっと魔力の出力を上げろ!そんなナヨナヨした魔法だと殺されるぞ!」


魔導兵らが一斉に放った攻撃魔法はED209ゴーレムの集団を直撃した!


燃え盛る炎。


凍結したゴーレム。


電撃の直撃を受けたもの。


ゴーレムたちは沈黙した。


「やったぞ!!魔法は効果がある!倒せ・・・・」


ドドゴウッ!


「やったぞ、てっ・・・・、ひいいいいいいいい!!!!!」


隣にいた魔導兵。


さっきまで会話を交わしていた戦友の頭部が消えてなくなっていた。


ビュシャーッッッッッッッ!!!!


「ああひいいいいいいいい!!!!!!」


指揮官に30mm機関砲弾が直撃し、頭そのものが吹き飛んだ。


血が噴水のように吹き出すのを浴びて、魔導兵たちの戦意が見る見るうちに低下していく。


魔導兵たちの混合攻撃魔法の波状攻撃を受け、業火や凍土の吹雪、すべてを八つ裂きにする真空波の渦中に包まれたゴーレムたちは沈黙・・・・・・






などするわけがなかった。






「あっ、あれは対魔法防御」


須藤が古代魔導書を読みふける中でゴーレムにチューンした対魔法防御魔法は数時間限定ながらほとんどの攻撃魔法を防ぐ優れものだった。


ゴーレム209達が一斉にロケットを放つ。


ロケット弾の直撃を受け多くの魔導兵が容赦なく吹き飛んだ。


冒険者たちは皆逃げ惑い、市街地の隅へ逃げる。


後方で関する督戦隊の陣地にもロケット弾が着弾し、パニックを起こした督戦隊員たちに逃走する兵士や冒険者を監督する余裕はもはやなかった。


死体の山となって城壁や宿屋などの建物に打ち付けられ、苦しみ悶える兵士たち。


その中の一人の瞳に爆発炎上する建物を背景にゴーレムが映った。


両眼は赤く、手や足に得体の知れない黒い死をまき散らす武器を携えた化け物が集団でこちらへ向かってくる!


爆発炎上する炎をバックに地獄の恐怖が死体を踏みつけながら前進してきた!


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