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第53話 極彩色のスケルトンども

そんなこんなで俺は銀龍の魔女ガトリングに言われるままオホロシュタットから北東に位置する曰く付きの洞窟へ見切り発車で行く羽目になった。


ガトリングさんによると、“回天冥獄陣”を取得するには強大な魔力を持つ者を生贄にしないといけないらしい。


要は、その生贄に適した強大な魔力を持つモンスターを急遽狩ることになったわけである。


ガトリングさんは本来200キロ先にある洞窟のすぐ目の前まで転移魔法で俺を連れて行った。

転移魔法とは一瞬で目的地へ移動できる魔法。

要は瞬間移動である。


この魔法はガトリングさんに聞くまで実はあまり注意を向けていなかった。


RPGでは定番の魔法ながら聞いていなかった。


ベルリオーネさんの口からもそう言えば聞いたことがない。


「おぬし転移魔法を知らぬのか?」


見透かすような声で俺の顔を横からのぞき込んでくる魔女。


見た目は幼い美少女故に一瞬丹田が飛び上がってドギマギしそうになる。




周囲を見回すと、洞窟周辺は荒廃した岩山の何かの坑道跡のような場所だった。


レールが敷かれ、所々鉱物を運搬するためのトロッコが残置されている所から、元は何かの鉱山だったところだろう。




周囲を見回した後で、俺は怪訝な表情の魔女の顔を見た。

「知っているが使ったことがないし、習ったこともない。難しいらしいからって俺に魔法を教えてくれた魔導士は言ってたけど・・・」


「じゃあどうやって冒険する場所まで移動しとる?」


「馬車で現地まで・・・」


「何と原始的な・・・・。魔導士はなぜ転移を使わぬのじゃ?」


魔女はあきれている。


「おぬしに魔法の指導をしとる魔導士は?」


「ベルリオーネ、マリー・ベルリオーネさん」


「・・・ベルリオーネ・・・・聞かぬ名前じゃな・・・・」


「ハイン王国直属の第一級魔導士。王国でもかなり有名な人らしい」


「第一級魔導士が転移魔法を教えぬじゃと!?どういうことか分からんわい・・・」

考え込む表情は外見相応な感じだが、相当深く考え込んでいるようだ。

知識人としての表情と幼い外見のギャップが引き立つ。

突然、魔女ははっとして手をたたいた。


「あー」


「あー!?」


「あー、・・・・・いや何でもない・・・」


「何だよそれ!?」


「まあ、転移魔法はわしのようなレベルにならないとできんからな」


得意げになる魔女を俺はステータスで検索する。


探知がほぼ不可能。

唯一表示された部分は・・・。

魔法力:表示不能


何だよこれ!?


ステータス検索も役に立たんとは!


この魔女、やはり相当ガードが堅い。


恐らくかなり高度な探知妨害魔法を常に自分の周囲に張っている。


それに時折何か俺に隠すような意味深なことを言ってくるし・・・・。


考える俺の手を少女の手が強く引っ張った。


「おっ、おい!?」


「時間がないぞ、行くぞ!」


俺はガトリングさんに手を引っ張られながら洞窟へぶっつけ本番で突入する。


そうこう俺たちがまさに洞窟入口へ入ろうとした矢先。


「伏せろ!!」


魔女が俺を何かの力で地面に叩き伏せた。


地面に伏せた俺と魔女の頭上を乾いた炸裂音とともにピュンッ!という音がかすめていった。


坑道の方を見ると・・・。


大勢のスケルトンの集団が次々と湧き出してきた。


まるで外敵が近づいてきたことを察知して巣穴から大量に出てくるスズメバチのようだ。


だが、そいつらは俺の知っているスケルトンとは何かが違う。


奴らが手に持っているのは・・・銃!?


それもリヴォルヴァ―だ。


奴らは西部劇のガンマンが持つガンベルトを両肩にかけ、胸元でクロスする形で装着している。


突っ伏せながら奴らの手元を素早く見た。

リヴォルヴァーは恐らくアメリカのコルト・SAAシングルアクションアーミー


45ロングコルト弾を放つ西部劇で必ず出てくる代表的なリヴォルヴァー。


煙がそれほど立ち上っていない所から見て、1890年代以降に製造されたか第二次大戦後に復刻された無煙火薬スモークレスパウダーを使用する物だと分かった。

銃身長7.5インチの騎兵キャバルリーモデルを持つ者と、銃身長5.5インチの砲兵アーティラリー向けの物を持つ者を確認した。


SAAシングルアクションアーミーは1873年にアメリカ陸軍が正式採用したシングルアクションリヴォルヴァーであり、シリンダーは銃本体に固定されていて、弾薬は銃後端のローティングゲートという出し入れ口を開け、そこから装填する。

排莢は銃身に並行してつけられたエジェクターを押して行う。

同時期に作られた中折れ式による一括排莢機構を持つS&Wスコフィールドモデルや、現在のリヴォルヴァーで主流のラッチやサムピースを操作して輪胴弾倉シリンダーをフレーム横に解放させることができるスイングアウトシリンダー方式に比べると装填・排莢に弾がかかるが、構造がシンプルゆえに信頼性が高く、故障が問題視されたスコフィールドとの競争を勝ち抜いてアメリカ陸軍で主力拳銃の地位を長く保った。

やはり戦場の現場では引き金を引けば確実に弾が発射される銃が信頼されるのは現代と変わらない。

SAAの弾薬45ロングコルト弾は後に改良されてM1911A1ガバメントの弾薬である45ACPオートマチック・コルト・ピストル弾になったとされている。


なぜあんなものをモンスターが持っている!?


それだけではない。


中には金属の露出部分を金色や銀色にメッキし、合板性の銃床ストックやハンドガードに派手な彫刻を施した旧東側諸国の代表的なアサルトライフル・AK47やAKMを空中に向けて乱射する者、同じく派手な飾りつけをした旧ソ連の汎用機関銃PKMを持つ者もいる。


スケルトンどもが今度はAKシリーズとPKMをそれぞれ腰だめの状態でフルオートで乱射してきた。


AKの7.62mm×39弾と、PKM汎用機関銃の7.62mm×54R弾がそこら中に放置してあるトロッコの木板部分と薄い金属版の部分を軽々と貫通し、転がっていた人一人が隠れられる岩にも巨大な穴を開け、周囲に岩の破片が雨あられに飛び散っていく。


薄い岩にはぽっかりと複数の穴が開き、やがて粉砕された。


生半可な障害物など無意味。


固そうに見える岩でさえ連続射撃で次々と粉砕されていくのを見て俺は魔法とは違う恐怖を覚える。



死に対する現実感とファンタジーの感覚が入り混じった独特の絶望感だ。


石ころが俺や魔女の頭や頬に当たり痛い。


魔女のグレーのフェルト帽にも岩の破片が当たり、小さなへこみをつけていく。


「ゴロツキモンスターどもめ、相変わらず性根が変わっとらんのう」


固く乾いた岩の地面に伏せた状態で“銀龍の魔女”はニヤリと笑い、余裕のない俺の目に不敵な視線を合わせた。


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