第45話 禁術の存在
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俺は魔導機雷を作りながら、ふと昔のことを思い出していた。
小学生の時、一年生の先生はとてもいい人だった。
子供が子供らしくすることを認めてくれる優しい先生だった。
だが、2年生になって以降が地獄の始まりだった。
2年生から俺のクラスの担任になった奴は他校で問題を起こしたろくでもない奴で、突然キレる、怒鳴る、都合が悪いと体育の授業中に小学生の俺らを突き放して授業を放棄し、俺らに自ら頭を下げさせるという今から考えると明らかにパワハラを小2に対して行うゲス野郎だった。
しかも小1の俺たちによくしてくれた先生は意味不明な理由で担任を外されて退職を余儀なくされた。
教師になる人間が少ない中、有能であったにもかかわらずと後で知った。
マジでむかつく。
今の俺なら間違いなくバカ先公どもを生きたまま頭の皮を剥いでなぶり殺しにしているだろう。
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詰まって昔のことを考えてしまった。
頭を切り替える。
理想としては敵の魔力に反応して爆弾自体が敵をホーミングし、敵に引っ付いて爆発するのがいいのだが。
それにできれば探知魔法の力がある者でも探知できないようにしたい。
他にも、雷管が反応する魔力の周波数を自在に変えられるようにもしておいた方がいいかもしれぬ。
要は、魔法に反応するだけでなく特殊な気とか呪術と言った西洋式魔法とは違うベクトルの特殊能力を使う奴らが出てくることを想定してそれに対応することも想定しておく必要も頭によぎる。
あるいは暗殺に使うことなども想定し、個人固有の魔力などの周波数さえ分かっていればそいつにだけ爆発する爆弾に変更することも可能にしたい。
「あー!!!しんどい!!!」
そんなこんな色々理想を詰め込みすぎて疲れてしまった。
俺は一休みして昼食をとる。
メイドさんたちが用意してくれた昼食をカバンから取り出す。
特殊な水筒にはコーヒーを淹れてくれた。
水筒は外見上何の変哲もない物。
だが、中のコーヒーは全く冷えていない。
この世界には存在しないはずなのに・・・・・・。
まさに正真正銘の“魔法瓶”だわ、これは。
俺は机の上に散らかった物を一旦かたずけ、その上に弁当とコーヒーを置いた。
中身はハムやサラダ、卵やローストビーフを挟んだ豪華なサンドイッチにピクルスを添えた物だった。
俺は空腹が脳に伝達する電気信号に身を任せるごとくひたすらパクつく。
早食いの後悔をしたときには既にサンドイッチは弁当箱の中に一つも存在しなかった。
俺はコーヒーを飲みながら図書館で記したノートをひたすら見返す。
その中に俺が気になった情報の中でも特に興味がある部分を書き留めたページに目線が行った。
“禁術の魔導士・銀龍のガトリング”
約800年前にこの世界で活躍した大魔導士。
既に存在した魔術をさらに特殊チューンした独自の魔法を編み出し、あらゆるモンスターを屠ったことで恐れられた。
だが、当時の基準からしても禁術とされる禁忌の魔法を使うがゆえに他の魔導士から忌み嫌われてどこかに隠遁して以来、消息はつかめていないと書かれてあった。
どのみちもう死んでいるか、生きててもしわくちゃ梅干し婆さんの類だろうな・・・。
それとどうしても気になる魔法が図書館で見た記述の中にあった。
深淵の禁術“回天冥獄陣”
具体的にどのようなものかはよくわからないが、この魔法は強大な魔力を持つ者の力を逆転し、それを仇にして倒す一発逆転の魔法。
強大な魔力を持つ者の長所を帰って仇にする魔法であるらしい。
魔法の革命とまでうたわれたそれはしかし、極めて危険なものとされて時の大魔導士たちから忌み嫌われ、禁術として永久封印されたと魔導書には記載されていた。
しかし、その魔導書の後世に追記された痕跡があるページには気になる記載があった。
曰く、その禁術をしぶとく伝承する異端の魔導士が一人だけいたと・・・。
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俺は一旦ノートを閉じ、コーヒーをあおり一息ついてから中古で買ったマブクロの何個かを今の俺の実力で開錠できるか確認する。
今の俺の実力では初歩的なピッキングしかできないとはいえ、たまに何かの拍子で解除魔法が通じて開錠できるときがある。
偶然成功したときはレアアイテムと金のバーが5キロ入っていた。
その時の偶然がもう一度と念じて机の上に山積になった中古マブクロの中から一つを適当にとった。
何かファンシーな柄の特注品っぽい袋で、たぶん女性物であろうことは容易に想像できる。
その中に手を突っ込み、解除魔法をイメージして唱えた。
その時、俺はつい頭の中でひらめいた言葉を頭の中で同時に念じてしまった。
“この世で信用できるものは金と武器、そして力”
すると・・・。
突っ込んだ手に何かの違和感があった!
開いた!
俺はファンシーなマブクロをひっくり返して机にぶちまけると、中から魔導具の類が大量に出てきた。
レアな魔法系のアイテムに、フレイムボールが込められたサラマンダーダガー、体力や混乱なども治せる上級聖水も全部で25本ほどあった。
偶然に加えてあたりを引いた。
俺の運の良さを実感するのはこういう時。
にしても、この所有者はかなりの魔術に詳しい人間のようだ。
やたらマニアックな感じの魔法のおそらく実験器具のようなものが多数出てきたし、まるで理科の実験室で使うような感じ。
何に使うのかさっぱりわからんが・・・・。
その実験器具らしき物の中に黒皮のバッグがあった。
その中を調べると、茶革製のカバーで覆われた手帳が入っていた。
「何だこれは?」
中を見る。
この世界の文字だが、翻訳魔法により日本語の感覚で分かる。
漠然と見てみたが、どうやら何らかの日記のようで、それも何か重要な事っぽいが、よく読まないと分からなさそう。
俺の目がはっきり止まったのは最後のページ。
エリザベート・ガトリング
オホロシュタット ガーランド通り 傳馬町350
そう書かれてある箇所を発見して、俺はどこかで見た名前を見て急いでノートを見返す。
ノートには確かに書き写してあった。
“禁術の伝承者にて異端の魔導士・銀龍のガトリング”と。
わざわざご丁寧に住所まで書いてあるとは・・・。
どうする・・・?
禁術使いというなら、もしや俺の目当ての魔法のことも知っている可能性はある・・・・。
次の冒険まで2週間ほどまだある。
調査する価値はあるか。
後日、ハイン王国長距離駅馬車停留所に須藤の姿があった。




