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第36話 情報屋との遭遇

「ここか・・・・」


オホロシュタット市街地北東部。


上下水道が未整備な区画が目立つ典型的な貧民街。


しかし、当局の目に付きにくいことから曰くありの人物が隠れるにはうってつけの場所である。


歩いていると早速変なのが来た。


「何だジャリンコ!?ここはお嬢ちゃんが来るような場所じゃねえんだぞ!」


昼間からアルコールの臭気をまき散らす粗暴な男2匹が入るなり威嚇してきた。


ボロ布と見間違うようなくたびれ切った布の服に何度も補修した後のあるブーツ。


顔は酒に酔って日焼けしたように赤く爛れたようになり、目つきは明後日の方向を見ながらこちらを威嚇してくる。


もう1匹はオーク。


といっても人間の飲んだくれと全く変わらない。


「う~しゃー!お嬢ちゃんんんん♬オレの寝床のせわしてくんね~か~にゃ~♬」


男たちはポケットから飛び出しのジャックナイフを取り出し、ちょろちょろ空を切るふりをしてチンケな威嚇をしてきた。



「黙れゲス!」


「シュネーシュトルム!」


ベルリオーネが放った氷属性の攻撃魔法は本来広範囲を攻撃するそれだが、彼女は卓越した魔法力でそれをピンポイントに集束する。


それでゴロツキ2匹の金的を共にピンポイントで凍らせた。


「いでえええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


「このんんん!!!!ずんばぜん!!!!だじげでぐだぜえええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!」


一瞬で戦闘不能になり、ご自慢のジャックナイフをポロリと地面に落とす男とオーク。


地面をのたうち回る2匹をあばら小屋のような場末の酒場で同じように昼から酒をあおる連中は誰も助ける様子はない。


これ見よがしに下品な高笑いをする者、酒なのか薬物かで他人そのものが視界に入っていない連中ばかりだ。


「先を急ごう」


ベルリオーネは速足でその場を立ち去った。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


貧民街を抜けると、空気が変わった。


こちらも治安はよくない地区だが、先ほどより雰囲気が段違いに違う。


妙に静かで暗黒街の中でも割と整備された地区だ。


それゆえにさっきとはまた違った独特の緊張感がある。


その中にあるひと際立派な建物があった。


見た限り6階建てで、1階入り口付近には地下階への入り口も併設された強固なレンガ造りの建物。


「見つけた」


雰囲気は現実世界の中東諸国にある乾いた白壁の建築物を彷彿とさせるそこの階段をベルリオーネは上がり始めた。


“3階312号室”


目的の階の部屋の前に来て、ベルリオーネはドアをノックする前に一息ついた。


“私が得た情報はこの場所に情報屋がいることだけ・・・・。会ってくれるだろうか・・・・”


ドアに手をかけようとした瞬間、彼女はかすかに殺気を感じた。


「くっ!!!?」


ドガッッッ!!!!


パスッ!パスッ!パスッ!


勢いよく開けられた木製ドアからオープンと同時に何かが飛んできた!


瞬間的に防御魔法を展開し、飛んできた何かを防いだベルリオーネは同時に背後に飛んだ!


ビルの壁に体が打ち付けられて頭に振動が走る。


すぐに立ち上がろうとした時。


「動くな!!」


開いたドアから薄暗い室内が見え、そこから人影らしきものが何かを片手で構えてこちらへ歩いてくる。


ビルの廊下に出てきたそれは廊下の窓から差し込む日光で全体像が見えてきた。


そこにいたのは・・・。


年老いてしわだらけの顔。


くたびれたハンチング帽をかぶった小型のモンスター。


口には独特のキツイ紫色の煙を出す細長い葉巻をくわえた身長約140センチくらいのゴブリンが部屋の中からゆっくりとした歩調で出てきた。


右手には銃口に黒く長い消音器サプレッサーをつけた口径11.43mm×23・45ACPオートマティック・コルト・ピストル弾を使用するコルトM1911A1ガバメントピストルをしっかり保持し、視線はどこから来たかもわからぬ突然の来訪者の全身を探る動きをしていた。


重量が1100gあるM1911A1にさらに消音器サプレッサーをつけたそれを保持するゴブリンの右腕は小柄な体格からは想像もできぬほどたくましく鍛え抜かれ、しわの入った顔と小人のような身長からは到底想像できぬ威圧感を持っている。


弾頭重量が重く初速が9mmパラベラム弾や7.62mmトカレフ弾よりも遅い45ACP弾はその特性上消音器サプレッサーとの相性がよく、マンストッピングパワーの威力を維持しつつ銃声を抑えやすいことから特殊部隊にも用いられることがある組み合わせである。


「あらかじめ秘密のアポを取らないで来訪する奴は例外なく殺すと聞いていなかったのか貴様!死ね!!」


「待ってください!!私はどうしてもあなたにお聞きしたいことがあってきたのです!」


パスッ!パスッ!パスッ!パスッ!


ゴブリンは問答無用に引き金を絞った。


ガバメントから先ほどの射撃と合わせてすべての弾が発射され、スライドが後退した状態で止まった。


だが、ベルリオーネは防御魔法を展開し青白い魔法陣が彼女の前面に瞬時に展開された。


青白い魔法陣は銅色に輝くフルメタルジャケット弾をすべて空中で静止させ、運動エネルギーを瞬時に奪われたそれらが雨のように力なく床に落ちた。


ゴブリンはやや焦った表情になった。


素早く弾倉を抜き、予備弾倉をピストル本体へ押し込んだ。


すぐにスライドを引き発射可能な状態へ戻す。


ゴブリンが引き金を再び絞ろうとした時。


「私はどうしてもお聞きしたいことがあってきたのです!これを!」


ベルリオーネが重量感のある物が入った袋を床に放り投げて差し出した。


床に置かれた際の鈍い金属の音をゴブリンの聴覚は聞き逃さなかった。


「金貨か・・・・・。金はそれなりにあるようだな・・・・。入れ」


ゴブリンは葉巻を口にくわえた状態で銃口をベルリオーネに向けながら、床に置いた袋を左手で持ちあげた。


その際、ゴブリンの口元が一瞬緩んだのがベルリオーネに見えた。


ベルリオーネはゴブリンの後についって部屋に入った。


室内は質素そのもので、ワンルームマンションくらいの大きさに地味な柄のじゅうたんが敷かれ、後は机と椅子、そして多少の本がある本棚くらい。


ゴブリンはしかし椅子に腰かけると、全7発の入ったシングルローの弾倉を再び本体から抜いて弾薬を確かめた後、再びガバメントに差し込み、サムセフティをかけてコック&ロックの状態にした。

それを右手に保持したまま椅子にもたれ、左手で口にくわえた細長い葉巻を人差し指と親指でつまんで口から紫色の煙をふかした。

撃鉄は起きたまま、つまりフルコックの状態が維持されている。

何かあればすぐに発砲可能な状態だ。


自動式拳銃はスライドを引いて薬室チュンバーに第一弾を送り込んで発砲可能な状態になる。

そして、スライドを引いた後に撃鉄を発砲せずに安全に倒すことが可能な機能が付いている近代的ダブルアクションオートとは違い、シングルアクションオートはスライドを引くと撃鉄が起きた状態のままなので携行する際の安全性に難がある。


しかし、ガバメントの上に押し上げて作動させるサムセフティは撃鉄と引き金を連動させる逆鈎シアの動きを遮断し、かつ、握りこまなければ解除できないグリップセーフティも同時に付いているガバメントはシングルアクションオートの中でもすぐに発砲可能な状態で携行する際の安全性に優れていると評価されている。


“ガバメントのことは習ったことがあるから特性は分かる。この世界のモンスターが一体どこであれを手に入れた・・・?”


頭の中で思考をめぐらすベルリオーネに対しゴブリンが口を開いた。


「隠しているようだが一瞬感じた魔力。おぬしただものではあるまい。わしの銃弾には防御魔法を貫通する魔力を込めてあった。それさえも防ぐその魔法防御力、反応の速さ、普通の行商人のものじゃない。正体を申せ」



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