第29話 お茶の誘い
振り返ると、長机から少し離れたところに眼鏡をかけた美しい女性が立っていた。
「クラウディアさん!?」
普段とは違う私服姿のクラウディアさんが立っていた。
普段のヴィクトリア朝式正統派メイドさんのスタイルとはまた違った、質素だが上品な上着とロングスカートのスタイルにヒールを履いた姿は神々しいほどきれいだ。
「お暇なときにお勉強ですか?熱心なのですね」
「いや、戦いに役立つかなって思って・・・・・」
俺は慌てて本を閉じて隠した。
幸い魔法の術式のところは既に閉じた後だったから彼女には見られていない。
「そうですか、それでは少し私とお茶でもいたしませんか?」
いきなりのお誘いに即答したが、どうしたものか・・・。
「お忙しいところですか?」
「え、いいですけど・・・・」
成り行きで俺は付き合うことにした。
行く前に図書はすべて元の書架へと戻した。
俺が脚立に上って書架に戻す光景をクラウディアさんは微笑みながら見ていた。
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クラウディアさんの勧めで、初めて俺は城下町繁華街にある通りに面したカフェに入った。
ギルドのカフェも雰囲気がいいが、このカフェは高級ホテルに隣接したかなり豪華なところだ。
ベルリオーネさんとは一応繁華街の方も案内はされていたが、さわりで通ったくらいでこんな高級ホテルがあるとは知らなかった。
「クラウディアさん・・・。こんな高級なところはちょっと・・・・」
「問題ございません。わたくしが会計を持ちますから」
「いいのですか?」
「ええ、スドウ様とは一度ゆっくりお話ししたと思っておりましたので」
上品にほほ笑む彼女の横顔もひと際きれいだ。
俺たちは通りに面した外の席についた。
通りの喧騒はそれほど気にならない一段高い位置のそこは座る者をなにか優雅にさせる感じがした。




