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第27話 叙勲式

ハイン城西側にある練兵場は騎士団や冒険者の一団でにぎわっていた。


城壁に囲まれている中とは思えぬほど広大な面積を持つ練兵場。


北部地域を攻略し始めて早一か月。


一部地域の奪還と敵の攻勢の撃退に貢献した騎士団と冒険者を称え、本日は女王陛下から各人へ勲章が授与される日である。


「気を付けーい!!!!!!!」


騎士団総長が練兵場にいる全員に向かって激を飛ばした。


「女王陛下の御成~り~!!!!!!」


騎士団たちは直立不動で剣を構え、女王へ最敬礼を行った。


冒険者たちもそれに倣い臣下の礼をとった。


その中にはスドウやベルリオーネ、スコットの姿もある。


練兵場に特設された閲兵式用の壇上に従者に先導された女王ミレオール・ハインが微笑みながら登った。


従者の中にいたローブを被った魔導士と思われる者たちが女王の前に小さな魔法陣を展開する。


「この度の働きは見事であった。皆の者、礼を言うぞ」


「オオオォォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!!!!!!!!!!」


「女王陛下万歳ィィィィィィィィィィ!!!!!!!!!!!!!!!」


大きくとどろく女王の感謝の言葉にその場にいた全員が歓喜の雄たけびを上げてそれに答えた。


「皆の者!この度の働きにより特に女王陛下より勲章が授与される。謹んで受けるように!」


この後、練兵場の全員に勲章が配られたが、冒険者各グループには今回の戦いで特に功績があったとして、騎士団に送られるのとは別の特別勲章が授与された。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「勲章をくれるのか?」


「ええ、働きに応じた褒美です」


「ひゃっひゃひゃっ、これでギルドでも箔がつくわい」


俺は各グループのリーダーが代表して受け取った勲章をベルリオーネさんからギルドの酒場で受け取った。


受けとった豪華な箱を開け、中に入った勲章を見た。


赤い宝石にクロスされた剣と頭が2つあるワシがデザインされ、黒とオレンジのリボンが付いている。


周囲のグループもスコットさんと同じく大はしゃぎしながらビールやワインをあおりまくっている。


なんだろう・・・・・、なんかこの勲章を持っていると妙に頭がくらくらする気がする・・・。


俺は勲章の箱を閉じ、それをマブクロに急いでしまった。


なんかその勲章を見たい気分になれなかった。


「スドウ様、それではお祝いをしましょう。今日は私のおごりで食べましょう!」


俺はベルリオーネさんの好意に甘えることにし、ギルド直営の酒場に席を取った。


残念ながらスコットさんは急用で先に帰った。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「なかなか店員が捕まらないんで言ってきますね」


席を離れるベルリオーネは店員がいるカウンター付近へ行った。


須藤はそのまま席に着いたまま、何か落ち着かない様子を続ける。


須藤に背を向けてカウンターへ向かったベルリオーネに顔に先ほどの笑顔はない。


須藤から見えない所に差し掛かると、ベルリオーネは女子便所へ向かった。


トイレに入ると誰もいないことを何気なく確認し、ドアに誰も入れないよう特殊な魔法で鍵をかけた。


内部に誰もいないことを確認した後、そこで彼女は勲章を取り出し、洗面所の前の物を置くスペースに置いた。


目を閉じてそれに何かを唱え始める。


小さな青い魔法陣が洗面所前のスペースに出現し、その中心にある勲章を包む。


魔術文字と思われる複雑な術式を示す文字が、彼女の脳内にPCのプログラムのように次々と示されていく。


!?


美しい顔を大きくゆがませた後、彼女は再度、誰も周囲にいないことを確認し、右手のひらに勲章を載せて何かを唱えた。


直後、熱が集束した高温の火柱が出現し、双頭の鷲と黒とオレンジのリボンは消し炭と消えた。


火柱に映った彼女の顔。


そこには歯ぎしりする彼女の口元が映し出されていた。


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