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第102話 仮借なき市街戦

「もらったあああああああっっっ!!!!」


イーストマンの放った技“呪言・原子分解”が真下にいた須藤のゴーレムを直撃した!



黒く重い、魔法というより光線のような光が真上から須藤の乗るゴーレムを直撃した!


文字通り原子レベルで分解されていくゴーレム。


強大な武装などもまるで砂のように消えていく。



「スドウさん!!!」


ルイーゼの搭乗するモニターから須藤の搭乗するゴーレムの魔力反応の表示が消えていく。


「スドウ!!!!!」


「スドウさん!!!」


ルイーゼたちが叫んだ時、既に須藤が搭乗していたゴーレムは影も形もなくなっていた。


「がっはっはっはっは!!!!口ほどにもない奴め!!!!」


「そんな・・・・、スドウさんが・・・・・」


「さて、残るはお前らエルフだけか・・・・。我ら国内治安騎士団に逆らった場合どうなっているか分かっているだろうな?」


傲慢な表情のイーストマンは配下の督戦隊に合図を送った。


甲冑を着込みながらRPG7を構えるアンバランスな兵士たちが続々とルイーゼたちの搭乗する


「くっ、ルニエール!!操縦を頼む!」


エールはゴーレムから下車し、須藤からもらった魔剣サラマンダーソードを抜いた。

燃え盛る炎を帯びた刀身を前方で勝ち誇る甲冑の男に向けた。


「ほう、オレに剣術で勝負を挑む気か、エルフの小娘よ」


「お前は私たちの村を襲った奴らだ!!どのみち絶対に許すわけにはいかない、この場で殺す!」


「やってみろ」


イーストマンは腰に差した両刃の大剣を抜いた。


ダッッッッッッッッ!!!


エールはイーストマンに突撃し、強烈な斬撃を浴びせた。


オーソドックスな袈裟斬りから横なぎ、脳天への唐竹割の一撃に細かい突きの連続。


荒々しくも流れるようなエールの剣裁き。


しかし、イーストマンはそれをことごとく剣で払う、またはかわした。


かなりのレアアイテムと思しき甲冑を着込んでいる上に、多少首や顔に傷をつけるも致命傷をことごとく避けるイーストマンの回避能力の高さ。


息が切れてきたエールにイーストマンは余裕めいた口調を言い放った。


「太刀筋は見事だ、小娘。それなりに修練を積んできたことは認めてやろう」


「上から目線でものを言うな!!唸れサラマンダー!!!」


「むっ!?」


一瞬で後方20メートルほどまで下がったイーストマン。


エールが叫ぶと切り結んだサラマンダーソードが光り輝き、刀身から発した灼熱の熱線がイーストマンめがけて放たれた!


「こざかしい芸だ」

「アイスウウウウッッッ、ブロウウウウウッッッッッッッ!!!!」

大声と共にイーストマンの口から激しい吹雪が吹き荒れる!


「ぐっっっ!!!」


直撃する前にかわそうとしたエールだったが、吹雪の直撃を受けた彼女の左手が一瞬で凍り付いてしまった。


「ぐはっ!!いっ、痛い・・・!!」


エールの左腕全体が凍り付いた。


しかもその氷はなぜかやや黒みがかっており、禍々しい雰囲気を放っていた。


「エール!!」


ゴーレムから下車したルイーゼは即座に状態異常回復魔法と体力回復魔法を同時にエールに唱えた。


だが、黒ずんだ氷に覆われたエールの左腕は一向に溶ける様子がない。


「ぐああああああっっ!!!痛い!!!!!」

苦悶の表情を見せるエールにルイーゼが焦った。


「どっどうしたのエール!?」


「おっと、あまり状態異常回復の魔法は使わんほうが方が身のためだぞ」

得意げな表情のイーストマンにルイーゼが叫ぶ。


「貴様何をした!?」


「俺のブレスは地獄の魔水を凍らせて放つもの。並の状態異常の回復魔法は通用せん。それどころか神聖な力をくわえればそれを逆転させて傷を悪化させる呪詛を込めてあるからな。それ以上やるとその小娘の腕が砕けてなくなるぞ」


「ルイーゼさん!」


「おっとゴーレム、下手なことをすればこの2人の首が飛ぶぞ」


ルニエールはゴーレムの30mmバルカンをイーストマンらに向けるが手を出せない。


そうこうしているうちに督戦隊兵士が周囲を包囲していた。


一斉にRPG7をルニエールの搭乗するゴーレムに向ける。


「あのスドウという厄介なガキが始末された今、どのみちこれだけの数を相手に貴様らでは勝ち目はない。降伏しろ。なあに、ちと人間相手にファッショナブルなサービス業に従事するだけだ。殺しはせんよ」


「誰がくたばったってか?」


「何!?」


背後からする余裕めいた声。


ニヤついていたイーストマンの背筋に一瞬で緊張が走り、急いで振り返った彼の目に先ほど仕留めたと思われた少年の姿が飛び込んできた。


「ばっバカな!!?俺の“原子分解呪法”を喰らって消滅しなかった奴はいまだかつておらんはず!?」


「呪法・原子分解とか言ったな。喰らう瞬間まで魔力周波数を計測していたが、この世界の魔法とは微妙に似ているようで違う。魔法というより呪いに近い感じだったな。まあアンデット系のモンスターが使う攻撃や即死系の魔法に近いと言えば近いが、俺が元居た世界の呪術に近い雰囲気かな。昔オカルト関係の本で読んだときに感じたのと同じものをお前の攻撃からは感じたぜ」


「貴様何をした!?なぜオレの原子分解を喰らって平気でいられる!?」


「そんなことは俺に聞くより自分の体に聞いたらどうだ?頭に血が上って冷静さがなくなったのか?」


「何をっ!?生意気なことを言いやがって!こうなったらもう一発“原子分解“を喰らわせ…!」


「できるのかよ?自分の魔力が自由に使えるならな?」


「何だと、この野郎!!えっ!?」


須藤は右手を高く掲げた。


すると周囲のがれきが一気に砕け散り、その下から青白い巨大な魔法陣が現れた。


それはイーストマンやその他の兵士全員をすべて円のうちに収めていた。




「さあ、尋問の時間だ!」




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