詰め
赤茶色の髪を少し伸ばした教員は、名前をパダという。ロゼはパダを舎弟にしたが、一切信用していない。なぜなら、ロゼの策略によって証拠を一時的に機能不全にしただけで、時間がたてば効力が戻るからだ。その時をまって報復に走らないとも限らない。それを防ぐために、徹底的に証拠の効力を無くさなくてはならい。また、パダが証拠を手に入れられたのだから、パダ以外の者も証拠を手に入れられる可能性が大いにある。
危険な状態から、それを解決したならそれは数直線上の原点に戻るだけである。もしまだ先を目指すなら、解決だけでなく、さらなる前進にも効力を発揮すべきだとロゼは考えている。でないと努力がもったいないとさえ考えている。
「私は飛び級するが、リーアはどうする?」
ジルガンティア教国国立学校には、飛び級制度は存在しない。六歳以上なら入学が可能である事と、学年は年齢による縛りが無い事、そして一度入学したことのある者は何らかの理由で学校を去った後復帰する場合、能力に応じて学年を決める制度がある。これらを駆使すれば実質的な飛び級が可能なのだ。
「たしか、卒業の為には最低四年は学生でいなきゃいけないんでしょ?わたしはまだ迷おうかな」
能力に応じて学年を決める制度は、実質的に再試験であり、再入学となる。つまり、一度目の不正入学の証拠が挙がったとしても、二度目の入学時に不正をしていなければ処分のしようが無いわけである。
「あ、来た来た。始まるね」
「これよりっっ!! 六回学祭会議を始めるっっ!!」
会議室となっている教室は前回同様ギュウギュウで、人口密度という言葉の範疇にギリギリ収まっているほどである。
「良い報告だっっ!! 生徒会からお達しがあったっっ!! 次回からは大教室を使って良いそうだっっ!!」
もともと、学祭委員は誰もやりたがらない為、上限が設定されていなかったのだが、今まで一度もこのような事態になったことが無かった為に異常事態で生徒会側も対応に遅れたのだ。
「よしっっ!! では店舗出店申請の書類の中から不審な物が三点あったっっ!! これを受け取ったのは前に来てくれっっ!! 詳しい事を教えてくれっっ!!」
「大司教様との取次に成功した者がいるっっ!! 皆拍手をっっ!!」
「設営場所不足で断っていた店舗出店申請を再度受け付けるっっ!! 今年だけ臨時で『通り』の概念を拡張してくれるようにゴネたら通ったっっ!!」
会議の前半はいつも通り委員長の報告と各員の成果を聞く。緊急の報告や新たな提案もこの時間に行われる。そして、後半は学祭の目玉についての討論だ。
「蟲相撲は一般の方も見られるようにすべきだ」
「いいや、最低限学校関係者のみに絞るべきだ」




