弾圧
「ううむっっ。くそっっ!! くそっっ!!」
第三回の学校祭実行委員会会議がはじまろうというのに、ジェゼノベは借り教室へ入らずに、廊下をうろうろしながら声を荒げていた。
「納得できないがっっ。仕方ないのかっっ!!」
会議直前になって、生徒会から渡された書類こそ、ジェゼノベをいきり立たせている主犯である。腹に据えかねに据えかねるが、それでも委員長の責務を果たさねばならず、ジェゼノベは教室へ入っていった。
「では、第三回学祭会議を始めるっっ!! さっそくで悪いが悲しい連絡があるっっ!!」
リーアとロゼももちろん出席しているが、今回は意図的に離れた席に座っている。ロゼが前の方、リーアが奥の方である。
「生徒会から命令があったっっ。蟲相撲の観戦を全面的に禁止せよとのお達しだっっ。」
この一言に、いままで一切積極的に話し合いへ参加してこなかった生徒なども含めて、口々に悲しみの野次が飛んだ。
「皆の言いたいことは分かるっっ!! 学祭当日はどうなのかということだっっ!!」
今や生徒間でもっとも人気の娯楽と化したのが、蟲相撲の観戦だ。いや、生徒どころでなく教員までもが熱を挙げている。
「まだ決まっていないらしいっっ!!」
意外にも、リーアはどうでも良いと思っている。もちろん蟲にキノコが付くのは嫌ではあるが、だからと言って自分が勝つのか相手が勝つのかに影響しないと考えているからである。
「いい連絡もあるっっ!! 何とか知り合いをたどって、蟲相撲軽量級アトスラス選手を当日お招きできる事になったっっ!!」
わっと歓声が上がる。だれもが喜び、浮足立った。しかし、先ほどの規制の事を思い出した者から順におとなしくなっていった。
「連絡は以上だっっ!! 君たちの進捗を聞きたいっっ!!」
そういって、ジェゼノベは話しながらうろうろと教室の前を歩いていた足を止めた。まず初めに会場管理目途の、とペペロチが切り出そうとしたその時。ドン!と乱暴な音と共に、教室の扉が開いた。続いて、ぞろぞろと顔を隠した連中が入ってきた。生徒用のローブを着ている所を見れば、一応は生徒であるという事がわかるが、袋であったり布であったりで顔を隠している者たちであったために、だれであるかはまるで分らなかった。
「委員長はどこだ。」
先頭に立っていた者がドスの聞いた声でしゃべった。目出し帽から除く両目から、鋭い切れ味をジェゼノベは感じ取った。
「僕だっっ!!」
ペペロチは素早く生徒達を一か所に集め始め、いつでも逃げられるように体制を整えた。ジバルはジェゼノベのすぐ後ろへついて、いつでもジェゼノベを庇えるように準備した。
「要求がある。今すぐ技術連への言い渡しを完全に撤廃しろ。」




