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ターン0魔王ウィング

ーー我が名はジャーシン。古の魔王の1人が目覚めた祝いとして、新しき魔王を5人選ぶ事とした。汝は選ばれた。ついては、「魔王様スタートセット」と「魔王様応援セット」「魔王様のガチャチケット」を配布する。


「忙しくしすぎたかな。幻聴が聞こえる」


ーー幻聴ではない。魔王様応援セットは汝の希望を反映してやろう。汝は何を望む?


「悪魔に魂売るほどの願いはないね。僕は自分の望みは自分で叶える」


ーーそれもまたよし! ならば汝の能力を強化することとしよう。自らの手で望みを掴み取るがいい。


ーーでは、魔王としての名を名乗れ。


「魔王になるのは確定なのかな? そうだな。ウィング。我が社と同じ名前だ」


ーーウィングだな。楽しい魔王ライフを送るが良い。魔王ウィング。我が名はジャーシン、魔王を導きし者……


 そして声と気配は去った。

 くらりと眩暈がして、私は早々に家に帰った。








 目が覚めると、妻に抱きつかれた。

 三日も眠っていたのだという。


「働きすぎよ、貴方」

「本当に三日も眠っていたのか?」

「ええ、もう体は大丈夫?」

「問題ないよ。今すぐ会社に行けるくらいだ」

「今日は休んでいて。私は会社に行くけど、大人しく寝ていてね、ハニー」

「わかったよ」


 妻を見送った僕は、ニュースをつける。


「月に生物の基地だって? エイプリルフールかな?」

「おそらく、他の魔王だろう」


 横を見ると僕そっくりの妖精がいて、びっくりして身をひいた。


「初めまして、魔王ウィング。僕はフェアリー。君のコピーでサポートだ」

「ええと、幻聴……じゃなかったみたいだね。ジャーシンだっけ?」

「ジャーシン様だ、魔王ウィング。君はもう魔王なのだから、弁えたまえ」

「はぁ……」

「それでは、魔王になる為のレッスンを始めよう。別に力を使わなくても構わないが、説明は僕の仕事だからね。義務は果たさせてもらう」

「まあ、何もしなくていいというのなら、聞くだけ聞こう」

「まずは鏡の前で、服を脱ぐイメージをしてほしい」


 言われた通りにすると、真っ黒な影のような化け物が現れて腰を抜かした。


「これが君の真の姿だ。この姿だと魔法が容易に扱える。レベルが上がると、どんどん禍々しくなっていくよ。君は君自身の能力が強化されているから、既に禍々しいがね。魔力を感じ取れるだろ? この魔力は君の配下や眷属の生存、ダンジョンコアの稼働に必要なものだ。魔王とは、魔法生物にとっての太陽や酸素といった絶対必要なものなのさ。魔力を垂れ流しにしていると周囲のものが魔力に適応して軽率に進化してしまうので、元の姿に戻るように。服を着るイメージだ。そのうち魔力を垂れ流さないようにする訓練をしてくれ」

「こう、かな。言うなれば汚染物質みたいなモノじゃないか」

「そうかもね。次に、システムアクセスと思い浮かべて」


 僕の頭の中に、四角いウィンドウが現れる。


『ショップ

 アバター

 スキル

 アイテムボックス

 マイハウス

 領地

 配下

 魔石の生成』


「アイテムボックスを選択して下さい。スタートセットとガチャカードがあるはずです。中身を見て下さい」


『魔王様スタートセット

 魔王様ガチャカード』


「眷属カード、配下カード、領地カード、魔法カード、ダンジョンコアカード、魔法書カード、アバターカード、ショップ・ガチャ用アイテムセット、ジャーシン様のショップコインカード、魔物限定現代の魔王ガチャSSR確定チケット。SSR確定古の魔王ガチャ、古の魔王ガチャ、SSR確定現代の魔王ガチャ、現代の魔王ガチャ、魔王ショップガチャ」


 随分と盛りだくさんだね。


「まず、ショップを選択して、店の名前を設定するといい」

「ふむ。ウィングショップ、と」

「よろしい。これが君の店となる。ショップ・ガチャ用アイテムセットをショップに移すといい。君の配下が出来たら、通貨を発行してここから買い物をしてもらう」

「なるほど」

「魔石の生成ボタンを開き、ジャーシン様に献上、魔王ショップ、貯蓄で1:1:9で設定するように。ショップで魔石が買えることは大事だよ。なにせ、命の源だからね。ジャーシン様に魔力を献上することで、ジャーシン様のお店の通貨も貰える。必要投資だ。ああ、ショップコインカードは全て使ってしまうといい」

「終わったよ」

「次に魔法書カードを使って設定を行う」

「これだね」

「これは君のテリトリーで許可され、魔力を持った人間が魔法を使えるようになる書だ。魔法書にこの国の言葉である輝星語、魔王語、あと契約時の君の知識がダウンロードされている。これは翻訳魔法や君が新たな命を生み出す際に使われる。書物やデータや君自身が知識を増やすことでもアップデートしていける。魔法カードを使うことで、ここに魔法を登録できる」

「魔法は……選択できるようだね。自分で設定もできるようだが」

「眷属カード、配下カード、アバターカードは他人に力を与える、生み出す、自身に使うという違いがある。既存の種族から選べるが、自分で設定もできる。ただし、魔法カードの比ではない難しさだよ」

「なるほどなるほど」

「領地カードは領地を設定できる。ダンジョンコアは魔物と資源溢れる迷宮を設定できる」

「資源! それは興味深い」

「じゃあ、ガチャを使ってしまおうか。魔法や種族はその後で説明してあげるよ」

「待ってくれ。月に領地をつくることも可能なのかい?」

「あれは多分、最初の願いじゃないか? 宇宙船代わりになる宙行蟲もいるし、宇宙船団と月基地を望んだのだろう。目的はわからないが」

「へぇ。初めから飛ばすじゃないか。凄いな」

「では、ガチャカードをめくってくれたまえ」


 ガチャの結果はこちら。


 魔物「夢魔」

 宙行蟲の群れ

 ドラゴンの卵セット 


「SSR確定は軒並みハズレだね」

「いいさ。使わないし」


 ポーション 5

 アバターカード 蟲族

 配下カード 鏡族

 眷属カード 幼族

 眷属カード 蟲族

 眷属カード 蟲族

 魔法カード「ヒーリング」

 魔法カード「エアブレイド」

 ジャーシン様のショップコイン 3

 マイハウス:城

 鏡族用ショップアイテムセット

 鏡族用ショップアイテムセット

 勇族用ショップアイテムセット

 鉱物セット


「アイテムセットは似たような物が多いね」

「母国と外国のスーパーの違いみたいな物さ。文化によって多少ある品、ない品がある。領民達はこのショップアイテムで生きる事も多いからね。君もこれはと思うものは追加してあげるといい」

「魔王とは1人でインフラを担うのか?」

「初めのうちはね。でもそれだと力尽きるから、せっせと発展させるなり侵略するなりするわけだ」

「へぇ。興味が湧いてきたよ」



 早速妻と息子達と社の弁護士と秘書に話してみよう。


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