古龍との繋がり再び
はい、僕です。クロです。
今日は最初から示し合わせて『水源の迷宮』のレストランにて、以前とはまた違う種族の古龍さん達を歓待中。今回は主家族と呼ばれる力が強いポジションの古龍族ではなく、血筋は古いが分家扱いでそれ程勢力は強くない古龍族の当主さんやお嬢さんなどだ。話を持ってきた主家族の古龍さん達からそういう話をされて思ったのは、『古龍にもいろいろあるんだな~』ってことだ。
今回一番多いのはジュネがここに来たことを聞いた光系の龍族の代表さん。ほとんど男性。数名マダムが来ている。これまでの娘達の蛮行を詫びるのが主目的であるらしく、仰々しい挨拶と手土産を用意された。そこまで気を使わないで欲しい。この謝罪の為に来たのが9割。残りが引率者。
次がアースさんの関係者で、鉱石龍族の代表さんと岩石龍族の代表さん。どちらもごっつい男性。挨拶も凄く礼儀正しく堂に入っている。アースさんの幼馴染で忠臣中の忠臣。いわゆる参謀というポジションの人達でどちらも武人だという。
ここからはマチマチ。ヴォルカニアスさんはせっつかれてやむなく。……と裏で謝ってくれた。このおっちゃんは一度身内になるとかなり優しい感じだ。
風龍からはまさかのニンニル嬢からの紹介だ。ニンニル嬢も事情としてはヴォルカニアスさんに似たり寄ったり。続柄としては従妹に当たる龍とのこと。
リヴァイアサンの一族、ギルさんがすっごくやつれた顔で前日訪問。ギルさんのお嫁さんが西方での有力氏族でそこから1人出したいという思惑がある。前日にギルさんが盛大に土下座してきた時は驚いた。実はこの人も奥さんがたくさんいて尻に敷かれているので、苦労を解ってもらえる数少ない龍なのだ。
最後、ガトールさんの奥さん、ティティさんからの紹介で古龍も古龍…大古龍。なんと40000歳を超えている大古龍に話をしてみたとのこと。昔馴染みらしいのだけど、男っ気もないし結婚しない無関心。心配していて、興味を持ってくれたので押せ押せで連れて来たそうな。ガトールさんが疲れてるから相当大変だったんだろう。
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「それではお集まりの皆様。本日は歓談の程、お楽しみください」
僕は同行者の皆さんを別会場でもてなし、隣のフィッティングルームで顔合わせを行う。今回はお見合いの前段階だ。ほとんどの龍が初対面という事もあるし、僕のことは龍づての又聞きや噂から拾っている者も居る。それでは情報不足だ。……部屋に僕が入った瞬間にめちゃくちゃ色めいたから、彼女らの方は問題なさそうだけどね。
なので、今回は一応僕の本当の姿も含め、自己紹介を綿密に行う。僕の力や異能、権能関連では顔を青ざめさせるような者も居たし、妻が30人超えてる辺りも反応はそれぞれで違った。……予想外なのは落胆とか忌避の感情や態度が一切ない事。減らないかと期待したのに……。見る感じ、どんどん興奮している感じがする。怖い。龍族の観念ってどうなってんの?
ここからは女性側からの挨拶だ。僕の側が寂しく感じるくらい女性側が多い。一見して年齢はそれ程離れている様には見えないけれど、龍族は年齢不詳。言い聞かせるようにしてないとだめだ。範囲としては外見年齢10代前半から20代中盤くらい。人族の貴族では普通にお見合いにでる年齢だね。龍族も人族の文化を真似ているところはあるので、近いところはあるのだ。今回も端から挨拶が始まるが、数が居るので僕が椅子を座り変える。挨拶くらい顔を正面から見たいので。
「私からでいいの? いいなら遠慮なく。私はコスモ。星龍。もう私以外にいない」
「……あ、えと。私ですよね? 私はステンです。鉱石龍族の族長の五女になります。よろしくお願いします」
「私はクリス。岩石龍族の三女。よろしく」
大古龍のコスモの挨拶に気圧されたステンが可哀そうだが、その後のクリスのことを考えると性格かもしれない。この三人は特に濃いアピールはない。コスモが銀髪の褐色肌で、白色の瞳と少々外観が異色ではあるが落ち着いた美人と言った風合い。たたずまいが落ち着いていて好印象。鉱石、岩石の2人も印象はコスモに近い。日焼けした健康的な肌色に武器を握ったり独特な道具のタコなど。2人もそれなりに好印象。ただ、腰の据わりから生きて来た時間の違いが感じられる。
次は光龍の系統から三名。閃龍、光龍、輝龍の3族から1人ずつ。外見はジュネに似ているが性格は違いそうだね。髪色や瞳の色は光龍の系統は似通いやすいのか全体的に白色が強く、若干の違いはあるが明るいところで三人を見たら目が痛くなりそう。色白で白髪で、瞳も白っぽい。ついでに派手なデザインの白を基調としたドレスは、趣味なのか一族的な物なのか聞いてみたい。まだ聞けないけど。
「じゃ、ウチからいこか~。ウチはレイやで。閃龍族代表の次女。ここでならお菓子を作り放題って聞いて来たんや。それにあんさんにも興味あるしな~。ショタ最高!」
「私? うん。ライト。光龍族の娘。特技は料理全般だけど。一番得意なのは煮物。貴方のために美味しい料理をつくるからよろしく」
「えっと、こう言う時ってなんて言えばいいの? あ、アタシはブライト。え~と、特技はパン焼きかな? 美味しいパンの開発と……その子、子供、元気な子を産む!」
さすがジュネの親戚。個性が濃い。先ほどの三人が薄すぎる気もするけど、三人ともぐいぐい来る。ここに料理があったら食いながら話したんだろうと思うが、それも予見していたので先手を打った。全員料理関係が得意でジャンルもバラバラ。まぁ、この先に見て行けばいいでしょう。ジュネもそんな感じだったし。
「じゃ、アタシねっ! アタシはフィア。火龍族の娘よ。ヴォルカニアスおじさんから聞いてるわ、強いらしいじゃない! よろしくっ!」
「ではわたくしですね。わたくしはカーム。気龍族の末娘です。ニンニル様よりお話は聞いております。よろしくお願いいたします」
「やっとね。私は西方海龍族の娘でマーリンよ。よろしく」
こっちも濃いな。1人1人の印象が凄く強い。最初のフィアは幼い感じで落ち着きなく揺れるから、頭に装備されてるツインドリルもめっちゃ揺れてる。快活な性格は好印象だけど、そっちのドリルが気になる……。次のカームはこれぞ美人秘書と言った風合いの大人な雰囲気の美人。ニンニルと同年代らしいがやはり龍は年齢不詳だ。血筋なのか、めっちゃメリハリきいたグラマラス。カルディーナさんの方の従弟とのこと。最後のマーリンは気だるそう。けど、最後に不敵にほほ笑むあたり、僕の事に興味ない事はないのだと思われる。明確に僕へ意識を飛ばしてきたから。外観年齢は20歳未満くらい。18とか19とかくらいだ。少々幼い顔立ちなのに、大人の余裕のある雰囲気が混ざり合う独特な子である。
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ここからは気軽に立食形式の食事会になる。
フィッティングルームから出て同伴者の会食会場へ合流。やはり皆さん気になるのか、直ぐに手ごたえを聞きに行ってた。娘の方から父親や同伴者の所に行くパターンもあるけど。ここからは僕の判断と言うよりは、既にいる嫁さん達の判断となる。僕がNO!!と言えないことは既に知れ渡っているので、ここまで持ち込まれた僕の負けなのだ。
仕事というか、これからここで何をして生活するかが問われるからね。あまりにもだと弾かれることは既に全員に周知してある。嫁さん同士の繋がりも僕が重視することも既に話してあるので、これも納得済みの事である。僕自身のことよりも僕は妻や子のことを気にしているつもりだ。だから、それをちゃんと協調してもらえるようにも話している。
まず、コスモに関して。凄い万能選手。なんでもできる。しかもクオリティも高水準というね。ただ、技術職の方はやはり本職の方が腕はいいので、コスモはエリアナに引っ張られていった。妻としての評価も最高得点を更新。
次は鉱石、岩石の2人はセットでスルトにとられた。力があり、鉱石や岩石の磨き加工やカッティングなどの宝飾関係に突出した腕を見せたとのことで、いきなりスルトの推薦でそちらの主任待遇で雇用。もちろん僕の妻としても合格。
ジュネの親戚三人衆は全員蛇神神殿に連れていかれた。お菓子関係やパンなどはあちらで研究開発されているからね。特にレイとブライトは期待されているとのこと。ここの環境に慣れるのに時間はかかりそうだが、それでも問題なし。ライトはヴュッカとも契約し、ジュネの助手として雇用。もちろん三人とも合格。
「今回も当たりが多いわね。相手さんも下手な子は出せないとしても、もっと奇抜な子が来ると思っていたのに」
「そうね~。今回は龍族中心ですからその警戒はありましたが、むしろ変にスレていない分だけ純粋で扱いやすいかと」
「うんむ。龍族は裏表がない。付き合いやすい」
残りの三人は何の問題もなくセリアナさんに連れていかれた。意外という言い方はアレかもだが、フィアがとても事務作業に長けていた。カームに関しては言わずもがなだったし、マリーナは受付担当として採用される程対人関係に強い適性をみせている。セリアナさんのいう通り、龍族はその力と外観から恐れられているが、その実かなり純粋で物事を素直に受け入れるところがあると思う。
扱いやすいというと言い方が悪いかもしれないが、変に人間社会で揉まれてクセがついた人族よりも環境の順応性は高く、趣味に傾倒し過ぎることを除いてはとても有能だと思う。
このように龍族は最初の不安は一瞬で払拭……、粉砕されて住民としても旅行者としても……、妻としても受け入れられていった。ただ、この龍族関係で全く触れてこなかった国と険悪になり、これから面倒なことになろうとはこの時は誰も考えてはいなかった。おそらく本人? 本龍達もこれほどまでに反発があるとは考えていなかったのだろう。けれど、その予想は大きく外れ、現在の『エリアナ女王国』の真南から大きな争乱の波及が始まることとなる。これまで龍が尽力していた部分の均衡が崩れ、人の醜い部分が露見を始める。それが僕らの所まで影響を出すまでには時間はかからなかった。
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・成長記録→経過
クロ
オス 生後135日~140日
主人 エリアナ・ファンテール
身長130㎝
全長17㎝……身長12㎝
取得称号
~省略~
取得スキル
~省略~
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〇初見龍族〇
コスモ
メス 40000歳から数えてない
身長160㎝
星龍
族滅して久しい悠久を生きる龍の末裔。その力は神代龍族すら一撃で滅ぼす。その実性格はのんびりとしており、無関心と言える程。気づけば他の星龍の存在は見受けられず、自分1人で長い年月をひたすら眠っていた。ガトールの妻ティティにより起こされ、クロの所に嫁入りする。彼女が唯一生命の危機を感じた存在こそクロとなりえた瞬間。
ステン
メス 1000歳~1500歳
身長160㎝
鉱石龍族
アースの眷属龍の娘。五女。真面目な性格でいぶし銀の髪色に褐色の肌。職人でもあるがどちらかと言うと武人気質。かなり几帳面な性格で家具が数ミリずれても気になる。整理整頓と清掃の手順や方法にうるさく、生真面目が服を来て歩いているような存在。嫁入り決定後に苦労するのは他の種族との接し方に戸惑うという所から。幼馴染のクリスとよく一緒に居る。ラピスラズリの姉役でもあり、参謀。
クリス
メス 1000歳~1500歳
身長160㎝
岩石龍族
アースの眷属龍の娘。次女。年齢としてはステンと近く、ステン、ラピスラズリともに仲が良い。古風な性質の大地の眷属龍の中では頭が柔らかく柔軟な気質。ステンの抑え役であり、時折暴走するラピスラズリの抑えやくでもある。艶やかな蛍火色の長髪によく日焼けした褐色の肌が特徴。少しルーズなところがあり、整理整頓が苦手で部屋が汚い。部屋では下着で生活してステンに叱られている。
レイ
メス 1000歳程
身長165㎝
閃龍族
光系龍族の一種で飛行速度に長けた種族の娘。お菓子に目が無く、自分でも作る。ジュネの嫁入りを聞き、内情調査の末にその好環境と魔境の主の存在に惹かれ、数居る嫁入り立候補者を薙ぎ倒して一族代表の座を勝ち取った。乳白色のユルフワウェーブが特徴的でかなり色白。瞳も白色系。スレンダー。実はお菓子よりも大のショタ好き。
ライト
メス 1000歳程
身長170㎝
光龍族
光系龍族で最も数の多い種族で族長の娘。おっとりした性格ながら腕っぷしは随一。寄せ来るお見合い志願者を打倒し、一族の代表としてお見合いに参加。白色のストレートヘアが毛足で派手にカールしているのが特徴。光系龍族の特徴で色白に白い瞳、スレンダー。料理が得意なことを推しているが、珍しく人並に自立している。何でも屋。ショタが大好き。
ブライト
メス 1000歳程
身長150㎝
輝龍族
光系龍族では最も希少な最上位種の娘。数が少ない。挙動不審なパン職人。根っからのグルテンジャーなので別にパンにこだわらない。適齢期の娘が1人だけなので普通に参加。光沢質な白色でくせっけ。かな白い瞳で色白……一族で唯一ムチムチしている。原因は言わずもがなで炭水化物。服装でごまかしている隠れ巨乳。かなり童顔なので一部の層には人気。
フィオ
メス 1500歳
身長145㎝
火龍族
焔龍の眷属の中で最も数の居る龍種の族長の娘。強者に惹かれる性質が種族的にあり、クロのお見合い代表者戦は白熱。最終的にフィオが勝ちぬいた。無手での格闘戦が得意。クロに挑んだがぼろ負け。かなりロリっぽいが実はそれなりの年齢。真っ赤なツインドリルが超目を引く。体系はお子様。家事雑事、書類整理や雑務は得意。自立しており料理も得意。オカン力が高い。
カーム
メス 1500歳程
気龍族
風龍族の派生種族で希少種。その娘。とてもまじめな性格ではあるが柔軟な性質も持つ独特な女性。年齢よりも上に見られがちな1500歳の乙女。3000歳のマダム集団に混じっても違和感ない。薄黄緑のロングヘアーが美しく、龍族には珍しく眼鏡をかけている。グラマラスでそれを気にしているらしい。服装もオフィススタイルを好んでいる。スカートは長め。
マーリン
メス 1000歳程
西方海龍族
亜種の多い海龍族の中で西方に住まうシーサーペント型の龍族。別名は海蛇龍。外観も大人になりかかりで性格は既に物腰落ち着いているという独特な雰囲気の美少女。ゆったりとした濃紺の三つ編みを肩側へ流すスタイルで体形は発展途上。色白ではあるが若干日焼けのあとがある。童顔ながら少しツリ目で年齢のわりに大人びて色っぽい。ちなみにスキルに魅了を持っている。……が、クロには効かなかった。