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今回は僕の出番ですかね?

 ははは、ど~も~、クロで~す。現在、蜥蜴の姿で騎竜のブラックナイト号に乗って、獣人国の上をゆ~るゆ~ると遊覧飛行。獣人国は山を扇状に切り拓き、その頂上に王城がある。『月を食らう者』の牙や新たな素材で、僕の騎竜ゴーレム『ブラックナイト号』を魔改造した。錬金術師の秘術と言うのはとても面白くて、同じ錬金術師と言っても僕とヨルムンガンドでは使用できる術傾向が大きく違う。もちろんカレッサとも違う。

 ヨルムンガンドは構築や製作などに長けている。僕よりもデザイン面や構造の精密さは段違いである。だから僕の銃も全部ヨルムンガンドにオーバーホールしてもらってからは、威力や弾速などの向上が著しい。カレッサの傾向は美観。通常の錬金術となると、その模様やデザインからも性能の向上や付与のような効果が出る。カレッサはその美観のバフがとても高い。僕やヨルムンガンドは実用一辺倒であり、ごつくてのっぺらぼうなんだけどね。カレッサの仕事の後の武器は凄くカッコいい。彫刻などが精緻で手触りなども良くなった。

 そんで最後の僕の傾向が『直付与』だ。カレッサやヨルムンガンドでもこれはできない。物品に直接魔法や効果を付与できる術傾向である。ちなみに僕の付与率は100%。同じ傾向でも普通ならよくて40%。倍以上の効率であるため、僕の手を加えた武器はカレッサが言うには『神器』に等しいと言われた。


「そんなこと無いと思うんだけども……」

「きゅぉ……」

「そうか? お前も強くなっていいことづくめじゃないか。ブラックナイト」

「くぉぉぉ……。きゅっお」

「発声器官を付けたんだね。それに、いろんなところにいろんな物がついてる。面白い」


 今僕は後ろにケイラを乗っけ、ブラックナイト号で現在の獣人国の状況を観察している。獣人国は人間の国と比べると自然豊かで、開発と言うよりは同調しているような感じだ。ツリーハウスのような物だったり岩穴だったりと、自然の中に住居を作り工夫がみられる。ああいう住み方もいいなぁ。僕は人工物よりそういうののほうが好きだ。

 別に人工物も悪くはないんだけどね。やっぱり野山を駆けずり回る方が気持ちいい。野生が残っておりまする。書類整理ばかりだと息も詰まるからたまに狩りにでるし。

 後ろにいるケイラだが、僕が魔改造と言うか、ブラックナイト号の武装パーツを触って不思議がっているが……。時折ヒヤッとさせられる。このブラックナイト号は僕の組織を錬成されているだけあり、威力は弱いが黒焔も使える。それだけにとどまらず。重火器系の武装と防御系の武装を多数搭載しているので、あまり変なところを触ると魔法弾を乱射とかもあり得る。一番あり得るのは緊急時に複座の2人目に攻撃してもらえるように搭載されている、MG-TG88(重機関銃)のトリガーがあるからね。一応カバーがついてるけど、変に触ると開くから。


「ケイラ、あんまりその辺は触らないで、ちょっと威力の高い武器のスイッチがあるから」

「はっ、はい。解った」

「おっけ。じゃ、城の裏手に降りるよ。王家の隠し通路から行こう。どうせ敵さんも知ってるなら戦いやすい方がいい」

「解りました」


 今回ケイラに来てもらったのは、数か所王家の人間にしか開閉できない扉があるとかで……。僕でもそこの突破は容易でないからだ。中身ごと破壊していいなら僕だけでも問題ないけどさ。それだと僕がここに居る意味もなくなっちゃうからね。セラさんも来たがったけど、身重の彼女はご遠慮願い、ケイラに開いてもらうために同行をお願いした。

 ついでに言うと、ケイラの防衛のためにもブラックナイト号を連れて来た面もある。ケイラは戦闘は完全ど素人。筋力や瞬発力などは獣人だけあり通常の人族なんかとは比べ物にならないんだけど……。なんというか、究極的に運動音痴なんだよね。いくら素材が良くても使う側が下手だと宝の持ち腐れだと思わされた。だから、ケイラには完全に戦闘は避けてもらう。ブラックナイト号か僕さえ近くに居れば防衛はできる。僕も今回はスパイアクション系の装備で来ているからね。軽鎧と楔帷子をいじって作ってある。全オリハルコン製。これだけで国が買えると思う。

 ゴードンやカレッサは感無量という感じで完成した時は泣いていた。

 普通オリハルコンなんて伝説の金属は迷宮か、古代の遺物で残っているごく僅かな物くらい。でも、僕の縄張りがその原産地みたいな扱いだからね、供給元は確保。アダマンタイトの樹木もミスリルの樹木も植えてるから採取はできる。これまで程の量は手に入らないけども。


「やはり結界は王家の者が居れば問題なく抜けられましたね」

「うん。僕まで一緒に抜けられるとは思ってなかったけど」

「同行者として認定されたのでは? こういう系統の魔道具はそういう所ありますし」


 う~む。否定もしきれないが肯定もしきれない。前例として王祖の迷宮のように個人を鍵として認識している物もある。こういう結界タイプとは違うんだろうけど、それでもちょっと解せない。まぁいいや。ケイラに小さくなってもらっているブラックナイト号を抱いてもらい、地下道を進む。ここは王家に何かあった時に使う脱出路で、宝物庫にもつながっているとのこと。

 凄く不用心な気もするけど……、そもそもこの通路自体が魔道具のような構造であるとのこと。

 魔法建築か。凄い技術が残ってたもんだね。僕も作れはするけど、ここまでの規模は面倒くさいって言うのがある。血統認証だけではなく、王家への叛意や国への害意など……。かなり特別な思念波を感じ取る魔法も組み込まれているようだ。かなり用心深い作りだと思う。……というか、これって本当に獣王の代に作られた建物なのか? 正直言って魔法工学の未発展というか、魔法が他種族と比べて苦手な獣人族が作れるとは思えないんだが。正直、エルフに依頼して作ったとしても、いくつかの魔法機構は経年で破綻していてもおかしくないと思う。……つまり。


「ここも迷宮?」

「ここも? とは?」

「あ、うん。ちょっお前に滅んだファンテール王国なんだけど。その城が迷宮を基に作られてたんだ。もしかしたら、この城も迷宮なのかな? って。だとしたら王弟はやらかしたんじゃないかな~と」


 年代や装飾、造りの甘さから考えて王祖の物ではないのは解る。けれど、それだとしてもこの城もかなり高いレベルの技術が使われていることは確かだ。……う~ん。単に迷宮というだけではない気がしてきた。

 ケイラと一本道を進んでいると、王家の脱出路に入った時と同じように王家の紋章がある壁があった。おそらくここにも何かあるんだろう。ケイラは知っているようでそこに何の躊躇もなく手を突いた。……開くとそこにあったのは宝物庫。金銀財宝はもちろんのこと調度品や武具防具、国宝と呼ばれる物だろう物品もある。……けど、これは。僕は無言で金銀財宝を除き、魔道具や王家の秘宝などを全部魔法の鞄に詰め込む。ケイラに金銀財宝も持って行けばいいと言われたので遠慮なく吸い込む。吸引機能を付けてよかった。

 そこから、ファンテール王家の宝物庫と同様に、聖剣のような物が突き刺さっている祭壇を目の前にする。ケイラ曰く、これは『宝剣ブリュンヒルド』という剣とのこと。これが何故ここにあるのかはいろいろ知っているケイラにも解らないという。来ましたね~。ケイラにそのブリュンヒルドを引き抜いてもらう。すんなり抜けた。そのブリュンヒルドを所持してもらった状態で、奥の壁の前に立ってもらった。


「えッ?! こんなところに隠し通路?」

「ケイラが知らなかっただけだと思う。だってセラさん言ってたでしょ? 『月を食らう者』の骨が安置されている空間があるって」

「そ、そうですね」

「たぶん、この城は王家が副主人(サブマスター)なんだと思う。『月を食らう者』はまだ生きてる」

「え、え、えええッ?!」


 僕は迷わず開いた扉の奥にある階段を降りていく。中には人を感知すると自動で点灯する魔道具のランプが並んでいる。ここまでしっかり迷宮の管理ができる存在となると、かなり知性が高い。そもそもツェーヴェと戦うだけの存在が弱い訳がないか。

 階段を降りきると巨大な狼だろう遺骸と、どまんなかに黄金の棺桶が置いてある。……めっちゃ趣味悪い。

 その棺桶の蓋には満月と牙、剣だろう意匠の紋章と……、巨大な爪痕があった。僕はブラックナイト号の後ろにケイラを隠し、近接戦闘に合わせたチューンの武装を展開する。右手に大ぶりなククリ刀アダマンタイト製、総オリハルコン製に改造したsocomMK109に……封印してた例の弾丸を装填した状態で構える。棺の蓋が開き、中から銀髪の女性が出て来た。コイツが『月を食らう者』か?

 そいつは僕を見ると、ニヤリと笑う。これは戦闘を好む輩がする顔だ。それこそ獰猛な獣の表情。どこから取り出したか、半月刀を二刀流。瞬時に僕の眼前に詰めて来た。体をほとんど地面と平行に保った上で蹴り込み、体重と筋力を一切無駄にしない突進。しかも牽制などという言葉や防御などという選択肢はない。二本の半月刀を僕の急所、左の首元、右わき腹へ振り込んで来る。速いけど……反応できない速度じゃない。あんまり近接戦闘自体をしないから感覚が解らないけど、今のこの相手なら余裕。相手も様子見だろうからもう少し力を上げないといけないかも。


「シャァッ!!」

「よっと」


 僕の武器もそれなりの素材だから良いけど、普通の鋼だったらスッパリやられただろうな~。ミスリルを少量含有させた鋼でもダメだと思う。それに相手の剣の腕もかなりいいから単に硬いだけの剣だとすぐにボロボロだと思う。アダマンタイトとオリハルコンに変えて来てよかったかもしれない。

 相手は一瞬驚いたような表情をしたけれど、着地と同時に右足を軸に三点攻撃。体を回しながら上段回し蹴りに合わせて逆袈裟に切り上げ、最後に半月刀には珍しい刺突。全部の動きが速く滑らかだから対応がし難い。単に見えるだけでは対応は難しいだろう。特に最初に入れた上段回し蹴りのフェイクは怖い。あれも結構威力が乗っていたし、アレを普通にガードしたら最後の突きは盾があっても反応は難しい。

 こいつはできる。骨はもってきたいので……。負けることは無いですけどねッ!!


~=~


・成長記録→経過

クロ

オス 生後125日~130日

主人 エリアナ・ファンテール

身長130㎝

全長17㎝……身長9.5㎝

取得称号

~省略~


取得スキル

~省略~


 ~=~

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