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上からと下からも

 現在、エリアナ運転の魔道具で加速するトロッコで爆走中。

 王祖の迷宮(エリアナ管轄)を出発。

 →豊穣の迷宮(スルト管轄)。スルトが下車。スルトは残念そうな表情をしたが、職人ドワーフとノーム族に帰還を歓迎され、嬉しそうにフニフニ尻尾を振っている。

 →ここからはいくつか空きテナント迷宮を経由。いずれはここも何とかしないといけない。今はノーム族や羽妖精族などが声をかけた他の妖精族が避難所のように使っているらしいけど……。

 →水源の迷宮(ヴュッカ管轄)。現在は虹色湖畔の原住民である人魚族や、水中生活をする妖精族などが移住中。ここでヴュッカを降ろす。ヴュッカも人魚族に笑顔で出迎えられて嬉しそう。彼女の迷宮にも住民が居ついたのが嬉しいようだ。これまでボッチだったもんな。

 →蛇神神殿迷宮(ゲンブ管轄)に到着。現在の終点だ。ここからまだ数十㎞は間隔があるけれど、お隣はラザーク王国。既にいくつも獣人農奴を収容しているらしいキャンプ施設を発見したと、神官長のクォアさんが教えてくれた。蛇魔人は水魔法に長けており、水源付近ではかなり優秀なのだろう。

 ここから僕とエリアナはセンテン高地の方面へ向けて歩く。一応、護衛にゲンブはつくけどそれは違和感のある場所まで。たぶん、あれって風化浸食の影響で土砂が堆積しているけれど、迷宮の入口のような気がするんだよね。近づくとそれはよくわかって来た。うん……。これは迷宮の入口だな。


「父上、ここは私が開きます」

(なんで? 僕がドカンとやれば……)

「おやめください。上が崩れたら母上やタケミカヅチに危害を加える結果になりかねませんっ! 少しはご自重くださいっ!!」

(う、うん。解った)

「ゲンブちゃんが怒ると怖いんだね……」


 ゲンブに怒られたので、僕は後ろでゲンブが水で削り出すのを見学。見事なお手並みで……。正直なところ器用さ具合なら、既にツェーヴェよりもゲンブの方が上回っている気がする。

 とりあえず、僕とエリアナは入口ホールらしき場所で立ち止まる。ここはゴーレム系の迷宮か……。これは面倒そうな迷宮だ。ゴーレムの面倒なところは複数あるけれどその最も怖い部分は、生物系の疑似魔物と違い迷宮主の任意タイミングで起動でき、配置された場所の近くにある補給地点で何度でも回復する点。迷宮にもよるけれど、この規模ならもれなく完備されているはずだ。……まぁ、ある意味当たりとも言える。この迷宮、欲しいな。このタイプの迷宮を手に入れると……迷宮の管理ポイント辺りは損するんだが、簡単には手に入らない鉱石が手に入るようになる。そう……、憧れのオリハルコンとか。ゴーレムを解体しなくちゃいけないけど。

 オリハルコンはミスリル7に対し、アダマンタイト2と触媒にゼロフィムという特殊触媒を1加えて、錬金釜で溶解攪拌する。それを鋳型に入れてインゴッドに整形中、高圧の魔素で締め込む必要があるらしいのだ。錬金術の秘術書的な本が何故かツェーヴェの蔵書にあり、古代ドワーフ言語をカレッサやゴードンさんと一緒に解読して解き明かした。……実はこの言語をツェーヴェが読めたというのが落ちなんだけどね。


「これは上に行く感じだね」

「よっと! エリアナは僕から離れないようにね。ここはちょっと危険だから」

「う、うん!!」


 何故かめちゃくちゃ嬉しそうなエリアナ。僕もちょこっと身長が伸びはしているが、最近急に成長しているエリアナの方が大きい。傍から見れば仲の良いご近所の子みたいな感じだろうか?

 まぁ、僕の両手に握られているブツは物騒極まりないけども。

 今回はsocomMK109は使わない。アレは反動が大きく戦闘に慣れた者を護衛するには問題ないけれど、エリアナのようなど素人にアレをいきなり見せるとビビられる。それに、耳当てを用意してエリアナの耳に被せておいた。ハンドガンとは言え、実弾仕様の銃を使うとなるとすぐには慣れない……。特に軟な人間では鼓膜を破りかねないからだ。今回使うのはHk68(ハンドガン)サプレッサー仕様。威力の面と僕の使うサイズの好みでコイツを採用。で、一応、エリアナにもUSP-c(ハンドガン)を渡してある。女性やスパイが使う小型のハンドガンだ。僕は重さが無くて使いにくいけど、女の子で射撃も護身訓練でしかしてないエリアナに大口径拳銃は使わせられない。

 この迷宮に変な形態のゴーレムが居ないことを願う。

 時折あるんだよ。虫系統とか、動物系、古典的なゴーレム系の疑似魔物ガーゴイルとか。一番怖いのが虫系統。虫は一つの種族にいろんな系統が居る。一言に虫と言えども、対処方はさまざまに変わるし、蜘蛛や百足なんかは女の子からしたら大敵だと思う。……あと、単純にエリアナが虫嫌いと言うのもある。


「人型ゴーレムが中心だね。しかも、金属系ばかりだ。アイアン、ブロンズ、シルバー、ゴールド、ミスリル、アダマンタイト、オリハルコン……オンパレードだな。ってことは絶対生きてる。エリアナ、ちょっと走るぞ!!」

「ひゃぁッ?!」


 うん。予想通り。部屋の真ん中あたりで急に人型ゴーレムの団体が僕らに密集する。けど、遅い。体をかがめ、同時にエリアナを抱え上げて上階へ向かう階段へ向けて走り込んだ。最後にオリハルコンゴーレムが目からビームを撃った気がするけど気にしない。

 階段を駆け上がる。途中に予想通り虫型ゴーレムが湧いた。しかも百足。勘弁してくれ。ここの迷宮主は一筋縄ではいかないかもしれない。けど、ゴーレムの作り込みは甘く、僕の鋼の弾丸でも十分に関節を壊すことができた。球体関節系のゴーレムはそこが弱点だ。一番負荷がかかるから重点的にそこを攻撃しているといずれは壊れる。僕の攻撃は一撃が高火力なこともあり、アイアンやブロンズ、シルバー、ゴールドくらいまでなら余裕。なんでか稀にいる合金製ゴーレムが鬱陶しいけど。アイアンゴーレムの亜種『鋼人形』やシルバーゴーレムの亜種なのか? 単に古いだけな気もするが『飯伏銀』なんかは意外と堅くて鬱陶しいのだ。

 それでもスタミナに任せてこの迷宮を駆け上がり10階を登ったところでなんと、ツェーヴェとタケミカヅチが楽しそうにゴーレムをボコっている風景に遭遇。

 あっちもかなり驚いていた。それもそうだ。まさかこの迷宮には上と下に入口? があり、双方向から攻略可能なのだから。ツェーヴェとタケミカヅチはゴーレムの胸部を貫通させる高威力の魔法を階段のギリギリから撃ち込んで、ヤバい時は逃げるというせこいレベリングをしていたらしい。


「ビックリしたわ~。まさかこの迷宮は下にも入口があるなんてね~」

「そうだね。下もかなり面倒だった。上は何もないのかい?」

「そうね~。あることはあるけど、弱っちい虫ゴーレムや無害なメタルスライムしかいないわ。ボスらしき物は見当たらないわね」


 これは非常にめんどくさいかもしれない。僕らが登ってここに来て11階層。ツェーヴェとタケミカヅチが上から降りてきて11階層。力任せに叩き潰せるツェーヴェが居たからそれまでは楽なんだけど、ミスリルゴーレムの魔法防除に悩まされていたらしい。……僕らは基本的な火力不足に悩まされていただけだから、ミスリルゴーレムなんか目じゃないんだけどね。

 とりあえず、一度体勢を立て直すのと、ここに拠点を作るためにもツェーヴェとタケミカヅチのキャンプで休憩し、タケミカヅチとエリアナをここに残して僕とツェーヴェで、上下から見て中心階層11階の敵を掃討することを考える。

そうすればどっかしらが開いてボス部屋に行けるんじゃない? っていう安直な考えだけど。

 でも、正直、一番下の階かここが一番怪しいんだよね。まず、ゴーレムの構成の問題。ここと地上一階にだけオリハルコンゴーレムが居た。他には居ない。上下5階層にはヘルハウンドゴーレムが居た。犬型の危険な魔物を模したゴーレムだったけど、四足系ゴーレムは脚が異常に脆く、爆裂魔法球で……爆裂魔法球?


「ツェーヴェ。ちょっといい?」

「何~? 何するの?」

「爆裂魔法球を投げ込んでみようと思う」

「本気? 下手したらここが崩れるかもよ?」

「大丈夫。ここの壁は僕が直に爆裂魔法を撃ちこんでも崩れなかったから!」

「はぁ~……貴方といると珍事には事欠かないわね」


 失礼な。僕は大真面目なんだぞ? 実際、爆裂魔法をミスリルゴーレムを直接対象に発動しても防除されるけど、ミスリルゴーレムではなく、その近くの地面を爆裂させると爆発に巻き込まれて破壊できた。それに、ゴーレムの壊し方でリペアハウスへ持ち込まれないゴーレムが増えることも確認している。

 その辺りをツェーヴェに報告し、ツェーヴェは最近移り住んだ木妖精族が作った紙にメモしていた。ツェーヴェの学者気質には本当に恐れ入る。

 僕も何の準備もしない訳にはいかない。これまで壊して回収したオリハルコンゴーレムのパーツと、アダマンタイトゴーレムのパーツを簡単に錬成して大盾を作った。これでもまだ不安なんだけどね。爆裂魔法は……制御を謝ると小山を崩落させる威力になるバカげた魔法だ。爆裂魔法球って、その時封じられた魔法基準の威力補正だから、全てが均一ではない。だから、今握っているこれがどんな威力なのかは出たとこ勝負!! ちなみに、怒られそうだからこの辺はツェーヴェには言ってない……。

 そして、僕だけが一歩ゴーレムの集団がリポップしているのを確認し、入る。うおっ……。一斉にこっち見た。怖っ……。気味が悪いぞ。そこに囮にするための光球魔法を部屋の中心に、爆裂魔法球と共に投げ入れる。ここのゴーレムは単純だからか面白いくらい素直に反応。そして、爆裂……。


「……」

「……ちょっと、何なのよこの威力は」

「あ~、えっと、うん。爆裂魔法球の……」

「説明して」

「はい……」


 爆裂の威力が予想以上で埃まみれのツェーヴェに見つめられてます。うん。フラグ回収してばっちり怒られました。ツェーヴェが怒ると笑顔になるから、怒鳴られたりとか喚かれるよりも怖いんだよね。静かに怒る人ほど怖いってのは本当のことでさ。ここで下手なことを言うと墓穴を掘ることは解っているから、僕は黙って正座のまま小一時間叱られた。

 その間にラストフロアの隠し扉が開いていたんだけどね。

 あまりに怖くて、上から下る階段の入口でエリアナとタケミカヅチが隠れてた。お願い。僕を助けて……。


~=~


・成長記録→経過

クロ

オス 生後80日~85日

主人 エリアナ・ファンテール

身長110㎝

→変化なし


 ~=~


・記録

ツェーヴェ

メス 1000歳超え

主人 エリアナ・ファンテール

取得称号

~省略~

人間形態……身長160㎝ 

藍蛇……全長5m 

蛟……全長100m

モンストルスネーク族 #位階進化→蛟 モデル=テキサスインディゴスネーク

武器 長杖『蛟』……2m50㎝の大型魔法杖

取得スキル

~省略~


 ~=~


・攻略中分隊

〇センテン高地

 →隊長ツェーヴェ +タケミカヅチ

〇虹色湖畔・ゼバーニアン大湿原 clear!!

 →隊長エリアナ +クロ +スルト +ゲンブ

  ●虹色湖畔水源迷宮  clear!!

   →隊長クロ +スルト

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