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クロが出した影響?

 引き続きクロがお送りいたします。強制休暇中にいろいろ珍事が発生していたようで、僕としてもその報告をまとめるだけで精一杯の状況。

 まず、龍族や卵生魔族の産卵が多数確認された。一番多かったのが初期からいる蛇魔人、インディゴ氏族のメンバーである。何と後宮に住んで居ないクォアやリャエドにも影響があったことが判明。影響があった範囲がかなり広範囲に渡っている。しかし、年ごろの龍族であるのにベラドンナとキアント=ミアには影響がなかった。……僕の魔素が関係しているのは明白なのだが、範囲があるようだ。

 それから僕と接している時間と、抱卵している時間も関係していると見える。インディゴ氏族の魔人は軒並み産卵が確認できた反面、最近の移入で妻関係のスパレンティナ氏族の数名にはその傾向はみられなかったので。もう一つ、種族として、個体としての内包魔素の絶対量が大きく関係している。僕の屋敷と後宮含めた宮殿のある『王祖の迷宮』第6階層に住んで居る大古龍は、全員時期に関係なく産卵が見られた。対して、ダフネ達を例にするとダフネがどこかの誰かと結婚せずに設けた娘、コキアは産卵したがそれよりも若い他の妻の樹龍は産卵ギリギリ手前程の状態。もう少しで産卵と言った感じ。メリアとナタロークは最近はポセイドンとネプチューンにかかりきりなのでその気配はないが、メリアの娘数名が産卵。こんな感じだ。大古龍に近い組成や大魔神と呼ばれるほどに大成したツェーヴェとヴュッカ、その氏族が今回の産卵組である。


「若い個体は軒並み産卵してないね」

「でしょうね。若い子は古龍族には属しても経験も年季も足りないわ。年を取るのは悪いことばかりじゃないのかも知れない」

「エリーカ、貴方はどうなのかしら。妖精族からの派生でしょう? 妖精族って確か魔素分裂よね? 決まった時期になると魔素の放出が始まって別個体が生まれるってやつ」

「たぶんね~。でも、その辺はあんまり気にすることはないと思う。私は今は魔人だけど、たぶん人間族よりだと思うし」


 それから胎生組になんの影響もなかったことはない。カレッサ曰く、多少の成長の早まりはあるというのだ。それはセリアナさんからも言われている。セリアナさんは胎生組で一番妊娠期間が長いので、今現在もうはちきれんばかりである。お腹を大事にしながら仕事の比率を抑えつつ、療養休暇に入る準備中とのこと。いや、もうすぐに休んで欲しい。

 他の早期妊娠組のことを念話で聞いてみたが、僕の魔素?の影響があったのは広くとも『蛇神神殿の迷宮都市』まで。それから妊娠から3か月以上経過していない状態では大きな変化はなく、僕の魔素により肉体が強靭になっているので、胎児の成長が早まれど特に負担は無いと言う。安心できた半面、準備を早めて欲しい。ハーマさんに出産に立ち会える経験者の招集や、その後の子供の世話関係の事も綿密に離さなくてはいけない。その辺りの屋敷のことを取り仕切っているのはハーマさんだからだ。掃除や給仕、整理整頓などの職務関係の配備は家令精霊のエルンが行うけれど、必ず経験が求められ人脈が関わることはハーマさんに一任しているのだ。

 そのハーマさんから連絡があり、妊娠期間が人族より短い獣人族は出産が早いと思われるので、そろそろ準備に入らねばならないという事だ。つまりごく初期の九尾族のホノカやライオン獣人のセラはもう出産が近いという事になる。それから半妖精族も早いのでそちらはそちらで配備してあるという。解ってはいたがハーマさんは仕事のできるメイドさんである。


「まさかクロが本拠地に居るだけでこんな影響があるなんてね~。これまでの出張詰めやふらふら動き回るのも何だかんだバランスが取れていたのかも知れないわね」

「確かに。それよりも産卵組と出産直前の妊婦さん組は早めに休職。その間のサポートも急がないと。それから、ハーマさんだけだといけないから、エルンにこれから長期間続くラッシュ的な産卵や出産に対応していかなくちゃね」

「それから現在進行形の問題も解決しなくちゃいけないわ。子供の関係は貴方にできることはあまりないから、そちらを重点的にお願いするわね。……まさか、大精霊が住み着くなんて思わなかったわよ」


 それなんだよね~……。なんでか、この濃厚な清純な魔素に魅入られた大精霊が僕に挨拶しに来た。何の挨拶かというと、転居の挨拶だったよ。正直、当惑と困惑、そして亜然で言葉も出なかった。さっきも言ったけど、大精霊と言うのは物語でも英雄に力を貸すような存在で、本来こんなにポンポンいるような存在じゃない。今のところ住んで居るのは僕の魔素が流れ込んでいる範囲。……それと、数名はその大精霊と契約して精霊魔法を使っている個々人についているので、その近くに居を構えている。これまでは森といくつかの建物、僕の訓練場しかなかった『王祖の迷宮』第6階層にいきなり泉や二本目の世界樹、物凄いレアな金属がわんさか湧いている鉱脈とか……。普通じゃあり得ない物があちこちにできあがり、エリアナがキレていた。美観が崩れるとかで、大精霊に説教して位置を入れ替えている。エリアナ強い。

 まぁ、迷宮に居候しているのは大精霊の方なので文句も言えず……と言う事だろう。

 それから、これも範囲に限定があったけれど、妖精族に大きな変化があった。『王祖の迷宮』、『豊穣の霊域』、『蛇神神殿の迷宮都市』、『水源の霊都』、『ハープランド分領』に住んでいる一部妖精の位階が一挙に上昇。僕の妻の中にも精霊族が一気に増えた。特に元から妖精の数が他より多い『豊穣の霊域』と『水源の霊都』は物凄い事になっているという。僕が行くほどではないけれど、妖精から精霊にクラスチェンジするとなると、相当に力を付けることになるのだ。それに居着いた大精霊からちょっと気になる言葉も聞こえたし。


「ここの主の氣はこれからも成長するでしょうね~。貴方はこの世界に愛されてるから~」


 などと言うのは水の大精霊だ。ツェーヴェが契約している大精霊で『王祖の迷宮』の第6階層にいきなり泉を作りやがったのはその水の大精霊である。基本的に自然から生まれた精霊族は会話が成り立たないことが多いので、僕もそういう物だと認識している。その水の大精霊から漏れ出た気になる言葉の意味は、僕がこの『エリアナ女王国』から離れない事でいろいろと解っていくことになるのだった。これからも僕はしばらく国内の安定に力を注がねばならない。

 ここ最近は縄張りを一気に拡張し過ぎたこともあり、どこも慢性的な人手不足だ。酷かったのが『紅宮』で資格文化の浸透により、一定の資格を持たねば様々な物の製作や錬成、作業に関われないという部分が人手不足の直接的な原因である。この資格も実験的な物であるので、これをモデルケースにいろいろ変えて行かねばならない。そもそも上級錬金術師以上の実力を持つ錬金術師はかなり数が限られる。そういう配慮を制度を考える側が考えていないのも問題か。なので一部緩和措置を取り入れつつ、僕が監視しながら調整。薬品や医療行為は命に係わる場合が多いので責任も大きい。

 この『紅宮』の人手不足も人手が元々少なかったという訳ではない。短い期間中に縄張りを拡張し、難民の引き受け、移入の増加など。原因はさまざまだ。それから『サーガ王国』方面に疫病の兆し有りという事で備えているのも大きな原因。現在は兆しが出ている疫病が下級魔法薬でも対応可能とわかり、資格がない作りてを各所から動員して何とか回している。


「問題はそれだけに限らないと言うのが悩みどころですね」

「人手不足だけならばよかったんだが……。ゲンブ、報告とは?」

「『バール魔王国』が『グマンナ首長連邦』の最南端の防衛陣を破りました。数による波状攻撃で昼夜関係なく時間をかけて擂り潰しにかかったようですね」

「ふむ。そうなると『サーガ王国』にも被害が出そうだね。じゃ、遠征の防衛軍を出そう。それからメリアとポセイドンに伝令。『バール魔王国』の沿岸から軍事施設へ破壊工作をさせて」

「了解しました。では今回は『エリアナ女王国』陸軍の精鋭で叩き潰しにかかります。『サーガ王国』側に近づくようなら……殲滅します」

「それから疫病の件が少し気になってる。もしかしたら、精霊の加護が弱まったグマンナから漏れ出ている可能性があるんだ。ハードなスケジュールになると思うけど、疫病に耐性のあるインディゴ氏族で少し調べてくれ」

「御意」


 ……とこういう事だ。『サーガ王国』の南東方面に見られている疫病の兆しというのが、『グマンナ首長連邦』由来となると少々面倒なんだよな~。排他的過ぎて対処ができない上に、根源がそのどこか解らないとなると誰も対処ができない。ヨルムンガンドも薬品づくりから徐々にいつもの職務に戻りつつあるけれど、水際対策用の効力の高い魔法薬を今絶やすと爆発的に拡大しかねない。拡大する前と拡大した後のどちらが対処が簡単かというなら前者であろう。

 薬品を使う量も前者の方が格段に少ない。僕も最近は薬品づくりに協力している。機密工房班長も本職の機構錬成を休業して、下級魔法薬の調合に精を出しているくらいには人手を割いている。病気というのは本当に怖いものである。通常の処方薬で対応できる疫病ではないっぽいから、魔王領側からこちらに流れた、もしくは……いや、それが事実ならかなりめんどくさいことになるけどね。

 ゲンブがその事実に行きついた時にどう動くかな~。今回の遠征はゲンブが現地指揮官として急行する。隠蔽魔法で見えなくしている『空飛ぶクロの島(小)』にベルトールさん自ら出陣するらしい風龍空軍と魔人団、幻獣騎士団、義勇隊が参加してのそこそこの規模の軍事作戦となる。はてさて、どうなる事やら。この前みたいにゲンブが整地しないといいけど。


 ~=~


・成長記録→経過

クロ

オス 生後半年(220日~225日)

伴侶 エリアナ・ファンテール

身長130㎝

全長17㎝……身長12㎝

取得称号

~取得済み省略~


取得スキル

~取得済み省略~


 ~=~

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