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クロはお休み。今日はネプチューンとポセイドンの日

 は~い。ネプチューンです。お姉ちゃん達よりも先に来ちゃったけどいいのかな? とスルトお姉ちゃんに聞いたら。全然かまわないとの事。順番は特にこだわりはないし、ユミルお姉ちゃんの縄張りはかなり遠いらしい。なので先に手近な僕とポセイドンの縄張りを見てテコ入れしておこうという事だ。

 実は僕の縄張りと言っても、一応僕が占拠したというだけで優良な漁場を獲得したと考えている。

 ここに来た時に案内役として来てくれたソレアは元々あの周辺に住んで居たけど、大型の魔物も多いので危険だし安全な場所がある方がいいという事で……。ハムシーンお姉ちゃんの縄張りの海岸部に円形の窪みを作ってもらい、古代人魚族の集落をつくった。綺麗なサンゴ礁の中に大きなサンゴのお家を僕がデザインして作った村だ。古代人魚族は数がそれほど多くなくて500人も居ないんじゃないかな? なので、気前のいいハムシーンお姉ちゃんから南の一角をごっそりもらってそこを海と区切り、安全な集落をつくった。それと同時に二次加工が可能な海産物の養殖と加工を行っている。最近だとシーサーペントを飼育して騎竜にしているので、古代人魚の皆の安全も確保できている。古代人魚族は淡水人魚族のイレーヌさん達よりもかなり大柄で筋肉質な感じ。肌も小麦色だし。


「我々は貝類の養殖を行っております。人間種の間では貝の生食は無いらしいので、干物にしたり焼いたりといろいろですが、現状の取引状態ですと荒野蜥蜴人さん達か死屍魔人の方々だけですからね」

「でも、それだけじゃなさそうだな」

「ふふふ。さすがスルト様。お目が高いですね。ヤコウガイという貝の貝殻を研磨しましてランプシェードにするなどの工芸品が我々の産物です。貝類は美味しいですよ。それからアコヤガイからパールなど。人間種からすれば獲得が難しい物も我々ならばそれなりに安易に獲得できます」

「その話はあまり喧伝しない方がいいな。パールはかなりお高いし、希少だ。狙われるぞ」

「大丈夫です。我々もそこまで軟ではありません。人間種程度ならば噛み殺してやりましょう。手に負えない場合は……ゼシカ様が直ぐに相談するようにとおっしゃっていましたし」


 リヴァイアサン族も僕らにはとても目をかけてくれる。ナタロークお母さんがここに常駐しているし、この近海を元から管理しているゼシカお姉ちゃんも何かあるなら相談して欲しいとしっかりと言ってくれている。今のところは漁で行方不明になったりとか、戦闘になったとかはない。ヨルムンガンドお姉ちゃんがこっぴどくお仕置きしたらしい『ラグナディエル人魚王国』はもうズタボロ。陸上の人族との戦争もままならないくらいに疲弊しているからね。僕らから何かしなければ特に問題ない。

 僕の所は浅瀬にサンゴ礁の入り江を作った人工的なところだからあんまり自然な感じはない。

 どっちかというならばジオゼルグお姉ちゃんのリゾートパークの迷宮である『南国の楽園』に近い感じかな? 名前を付けるなら『真珠の入り江』ってところだろう。

 実際、アコヤガイの養殖をどうやって居るのかは知らないけど、古代人魚の皆は凄く手際よく作業している。場所も教えてもらったけど……。僕には理解できない行程が多いし、他にも急に深く沈み込む海溝が近くにあって、危険ではあるけど宝石サンゴも手に入るんだって。その周辺はまだ僕の管轄じゃないから行かないように厳しく言ってある。僕がいつでも助けにいければいいけど、皆の命の方が重要だからね。


「おう。その通りだぜ。まだ生まれたばっかなのに頭いいな~。羨ましいぜ」

「えへへへ……。褒められちゃった。嬉しい」

「でも、宝石サンゴやパールに関してはスルやパパにちゃんと相談すべきだぞ? 機会が少なかったから今回は仕方なかったと妥協するけど、パールは陸の人族では戦争してでも欲しがるバカがいる。注意するべき」

「う、うん。気を付ける」

「うんむ。今ちゃんと報告してくれたから今回はいいんだぞ。よしよし」

「えへへへ……」


 古代人魚のお姉さん達に魔人の逸話をいろいろ聴いたけど、僕の兄弟姉妹の魔人さん達は皆優しい。特に一番上のお姉ちゃんのスルトお姉ちゃんは凄く優しい。あとタケミカヅチお兄ちゃんは凄く頼もしい感じがするし、明るい双子のお兄ちゃんたちも楽しい。もちろん最初にいろいろ教えてくれたヨルムンガンドお姉ちゃんには凄く感謝している。

 僕の構築した色とりどりのサンゴ礁が美しい集落を一周見て回り、今度はヨルムンガンドお姉ちゃんが神獣化してその背中に乗る。実はポセイドンの本拠地は少し離れているからね。そこに行くと、なんだろう……海藻の畑?と言えばいいのかな?その中から穏やかな雰囲気の海洋人魚族の女性がポセイドンの名を呼んでいる。あ~、今度は彼女が案内役なんだ。じゃ、次はポセイドンだね。


 ~=~


 はい。ネプから引き継いでポセイドンがお送りするんだぞ~。

 僕と双子みたいに生まれたネプは小ぢんまりとした感じに抑えたみたいだけど、僕はばば~んと大きく手を拡げた。今、昆布の群生地から顔を出してくれたのが、『ポセイドン人魚王国』の王女の1人でオーレリアだ。実はこの周辺は海洋人魚の小集落が点在しているところで、対外的には王国とみられていたようだけど、『ラグナディエル人魚王国』に対抗するために連合を組んでいただけなんだって。

 そこに僕がメリアお母さんと連れ立って来たもんだから……。言わなくても解るだろうけど大パニック。ついに『ラグナディエル人魚王国』がリヴァイアサン族を仲間につけて侵攻してきた?! ……みたいな事になってたらしい。

 で、誤解を解くのに相当苦労した結果……。孵化から半日で魔人化、同じく半日で国王就任? みたいな状況になった訳だ。ただ、僕はちゃんと説明もしている。僕は『エリアナ女王国』の象徴である大魔人のクロお父さんが寄り親。つまり、この国はできた途端に属国となるという事を。ちゃんと説明したんだけど、特に問題を感じなかったらしい。海洋の人魚族というのは陸とそれほど関わろうとはしない感じがあるんだよね。だから、今回のスルトお姉ちゃんの提案は渡りに船だった。この数の魔人が僕の双子の兄弟と、上の兄弟姉妹となれば考えも少しは変わるだろうと。海の防衛は絶対ではない。……むしろ、スルトお姉ちゃんなんかに攻め込まれたら干上がって終わるんじゃない?


「ポス……スルは攻め込まないから。面倒事は嫌」

「という事は面倒なだけでできるんだよね?」

「うんむ……。できなくはない。できなくはないけど……面倒くさ過ぎて絶対取らない手段」

「……ポセイドン様のお兄様やお姉様方? 皆さま陸の魔人様なのですか?」

「いんや? 俺はどっちかというと空だな。タケミカヅチと言う」

「俺っちも光だから天空だろうな~。俺はアポロン」

「闇はどの位置に入るのでしょうか? 私はイオと申します」

「一応地属性方面らしいで。一部海も関わるけんどあ、ワイはシェイドな」


 僕の奥さんということになっているオーレリアは、絶望的な表情を浮かべて気絶した。

 なので、メリアお母さんを呼んでもらい、僕とメリアお母さんとで作った海底宮殿に代表者を集めていろいろ説明した。大きな人魚の集落の代表が5名。その大集落についている小集落の代表者が総勢40名ほど。オーレリア含めて5人の人魚のお嫁さんは大集落の代表の娘さんや猛者になると代表さん自身だったりする。全員事実を聞いて気絶したけど。海洋人魚族はよく気絶するよね。それから途中から空気になってたけど、古代人魚族の代表のソレアもネプの奥さんポジで同行している。淡水でも海水でも人魚族が恋愛種族なのは変わらないみたいだ。

 何とか説明して、海洋人魚族の代表に今度お父さんに会ってもらう事で決着。ここは僕の治める海洋人魚族の領域という事で安定した。それから古代人魚族って一応海洋人魚族よりも高位の種族なので、皆ビビってる。それが僕の双子の兄弟のネプの伴侶ポジに居るからもうビビり倒している。面倒なので、僕の兄弟姉妹を全員紹介して、今日は魔人がこの地の庇護をする上での環境確認をしに来たことをちゃんと説いた。


「あんまり大っぴらに戦うと環境をぶっ壊すかんな~。特に大地組は被害が尋常じゃね~し」

「うんむ。スルとヨルの戦闘は大地をいろいろ動かすからな。ちゃんと場所を理解して使わないと非常に大変なことになる」

「あ……、言うの忘れてたけどこの前、『ラグナディエル人魚王国』をお仕置きしといたから。警戒はするべきだけど、僕らの庇護はあるといいと思うぞ」


 このヨルムンガンドお姉ちゃんの一言でその場の代表達は沸き立った。長い間あの傍若無人な一族の横暴なふるまいに悩まされていたのだ。彼らとしてはそれを魔人という絶対的な戦力が保証してくれるのだ。これほど安心できることはない。

 というか、リヴァイアサンのメリアお母さんが居るんだから万が一にも負けることはないだろうけどね。ここは『バール魔王国』とも隣接している海域だ。気を付けることは必要か。生産施設や漁場はこちらの方が規模が大きい。陸の漁師たちとも今度引き合わせるし、淡水人魚やこれまで交易していたスキュラ族の生き残りとも引き合わせることを約束した。

 ここの海洋人魚の人々はスキュラ族とも交友があったらしい。

 電撃的に『ラグナディエル人魚王国』がスキュラ族の王国を攻め落とし、救援に向かう暇もなかった。悔いていたというのだ。なのでちゃんと生き残りが居るならば謝りたいし、しっかりと話したいと……。こんな感じで設備見学よりもいろいろと予定を詰める時間になった。今日はここで会食をして、メリアお母さんにお留守番をお願いしてから僕らはアポロン兄さんの縄張りから上陸。今度はコンゴウ兄さんの縄張り、『星の聖地』へと向かうらしい。またタケミカヅチ兄さんに乗るんだって。楽しいから良いんだけど、長兄を馬車馬代わりはいいのだろうか? まぁ、本人が気にして無いならいいんだけどさ。


 ~=~

・成長記録→経過

クロ

オス 生後半年(220日~225日)

伴侶 エリアナ・ファンテール

身長130㎝

全長17㎝……身長12㎝

取得称号

~取得済み省略~


取得スキル

~取得済み省略~


 ~=~


ポセイドン

オス 生後10日~15日

主人 エリアナ・ファンテール

身長130㎝

全長5m 神獣形態 未確認


 クロの17番目の眷属。かなり最近に確立された技術で生まれて来た特殊な眷属でもある。甘えん坊で母親と認識しているメリアを溺愛。しかし戦闘能力としては新たに海中の眷属として生まれただけあり、新天地を切り取り守り抜くだけの物を持つ。基本的に防衛や魔物狩りに出ており、執務は嫌う。魔法と近接戦闘どちらもこなす、極度の戦闘特化。


ネプチューン

オス 生後10日~15日

主人 エリアナ・ファンテール

身長130㎝

全長5m 神獣形態 未確認


 クロの18番目の眷属。落ち着いた性格で物事をまとめる運営が大好きな性質をしている。双子として生まれたポセイドンとも異なりどちらかと言うと魔法に偏りはあるが剣術にも秀でている。ホワホワした性格からか、特にえり好みせずにいろいろ受け入れなんでも形にしていく。眷属の中でも特に女性にモテるらしく、陸と海の区別なく好まれるモテ男。本人に自覚のない天然タイプ。

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