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クロはお休み。今日はイオとアポロンの日

 引き続き私イオがお送りいたします。妹のアフラがトラップハウスを設営し、そこを拠点にしたことで今度はそこから西へと進路を取る。その先にあり元は『エルフ王国』の勢力下にあった土地に到着。この森はスルトお姉様やヨルムンガンドお姉様の管理する森とは異なり、新緑の若芽が芽吹く美しい森です。その森の中でひときわ目立つ大樹、『エルフ王国』でもっとも古い大木の『ユグドラシル』が聳えたって居る。そのお隣に王城があり、現在ではカレッサ様が選出した代官や管理者が執務を行う役所の役割をする場所です。

 この土地をアポロンから割譲され、同時に『暗夜の森』の西端部の一部を私もマンユに譲り彼女の縄張りとなります。

 マンユの最初の仕事は新たな中間管理職というか、防衛的管理者として自分がアポロンに代わり配備されたことを代官や役所のエルフ達に連絡すること。つつがなくその最初の業務を終えたマンユは、迷宮核を用いてユグドラシルを上手く傷つけないようにツリーハウスを作り上げた。エルフ族の一部が行う居住方法で、この土地は陸上がそれほど危険ではないので取られない方法ではありますが、地方によってはツリーハウススタイルらしいです。


「これでマンユの縄張りもできましたね」

「できた……と言いますか。私の場合は管理地を引き継いだだけですから。アフラのように危険度も高くなく、防衛の手を堅固にし、エルフさん達との関係を良好に維持するのみです」


 何とも無げに語るマンユですが、それが一番難しいんですよ? 人間関係というのは同族同士でも軋轢が起きる物で考え方の相違はよくある物。それをどう落とし込み、主張し、折り合いをつけていくか……。正直、力任せに解決することが簡単な我々ならば力による統治の方が簡単です。わざわざ信頼を構築するような面倒な方法を取るよりも恐怖による押さえつけの方がやり方としては簡単なことなんです。

 簡単ではありますが、力の維持ができなくなればあっさりと破綻する事をお父様は理解なさっているので、それを極度に嫌がります。あのお方がそういう傾向にあるので、我々兄弟姉妹の全員がそういった方向性に舵を切るんです。あの方は本当に偉大なお方だ。


 ~=~


 おうおう。んじゃ、こっからは俺っちがナレーションを引き継ごうかね。

 元々『エルフ王国』の管理はカレッサさんの管理地で、技師として忙しいあの人の代わりに俺がやってたんだが……。目まぐるしくあちこちが動いて、俺も忙しくてな。だんだん手が回らなくなって雑になってたんだ。エルフ自治区の代官さんが頑張ってくれてたから、円滑にことは進んでたが……。あんまり彼らに負担をかけ通しにしても気分がよくねぇ。……ってことで、新たな妹マンユが俺の代わりにあそこの防衛の手を管理し、俺との中継ぎや事務作業の手伝いをしてくれるとのことだ。

 マンユはイオ姉さんから話を聞くと、かなり情報管理とその後の推察が得意らしいんで、俺もかなり期待してる。俺の本拠地、『太陽の大地』と『太陽の宮殿』。後入りの管理地になる離れ小島の『鬼ヶ島』。暫定的に俺が管轄してっけど、元『アルジャレド通商連合国』の住民が住んでる海浜の街。この海浜の街もおやじの話じゃ直ぐに別の兄弟に割譲する予定ってことらしい。まぁ、あそこは魔境でもなければ魔物も居ない普通の土地だからな。どちらかというと魔人の管理よりかは普通に人間種の代官で管理した方が正解な気がするような土地だと俺は思うんだがね。

 おっといけねぇ。俺の本拠地の案内の方が先だな。

 ここはおやじが迷宮の機能で『ヒヒイロカエデ』を生産する以外の方法でヒヒイロカネを手に入れる方法の最有力地。鉱山というか、迷宮が自動的にヒヒイロカネを産出するらしくて、定期的に器物から砕いて集めねーと後々面倒になるんだよな~。ヒヒイロカネはそれ程硬い金属じゃねーんだ。どちらかというとミスリルよりも魔法媒体として有力な金属で、魔素の透過性が高く刃物にすると属性魔法を刃に乗せられるっていう金属だ。維持能力、燃費の面でもかなり高い水準だからヒヒイロカネは有用。伝説級の金属として有名なんだ。それにヒヒイロカネは鉱脈で掘られた赤茶色の岩石から製錬しなくちゃならねー。数百キロの岩石から数グラムのヒヒイロカネしか取れないからな。純度が性能に直結するヒヒイロカネはできるだけ高純度の方がいい。


「アポロンはここで製錬までしてんの?」

「いや、俺はそういう作業はしてねーな。定期的に生えて来るヒヒイロカネの岩石塊をエルフの連中と採掘はしてるけどな。ホントに、伝説級の金属にこんな事言うのはアレなんだが……。正直、迷惑この上ねーよ」

「お前さんからするとチリとかゴミみたいな扱いなんやな……ヒヒイロカネ」

「……まぁ、ヒヒイロカネは凄いと思うぜ? でもな? それを極少量含んだ岩石がどんどん生えるから、それを壊さねーと通路がふさがれるとかなるとなぁ……」

「そら迷惑やね。同情するわ」


 迷宮核のアルテミス曰く、これは迷宮の機能とこの土地の状態が関わっているとのこと。ここが『太陽の大地』という名になったのもそれが理由。ここは大昔からある『陽光神の聖地』だった場所らしくて、その中心地であるここはその陽光神の加護も強いという。その加護と魔人の俺の魔素が関わって以前よりも数段生産効率がいいらしい。確かにあれば嬉しい金属ではあるんだが、生活するために週一で採掘作業をしなくちゃならないってのはなかなか鬱陶しいぞ。

 余談だが、おやじが欲しがるような伝説級の他の鉱石も、この世界を管理していた神族の聖地に多くあるという。ただ、その聖地も度々起こる厄災の関係で隠れていることが多いので見つけるのは難しいとも言ってた。

 俺は鬼ヶ島の管理も任されたから時折あそこに行っては、エルフと和鬼の交友関係の確認と……。なんでかミノタウロス族が多く移入して来ててな? その人らがヒヒイロカネの採掘をしてくれてるのを管理している。俺とエルフ達の拠点である『太陽の神殿』も攻略時のパズル迷宮をそのままに、合言葉と掌紋認証式で入場の簡便化を図っている。これはハイエルフのロバートとエリック、名前は出てなかったけどドット、フォボス、バーダスなんかの側近が運営してくれている。俺は頭が悪いのと、要領がそんなに良くないんで、力仕事をするのが性に合う。その点、初期にアルテミスが嫁入りして来てくれて助かってる。元が迷宮核だからかタスクの処理管理を円滑に行えるのと、俺の縄張りは特に見ているかのように管理してくれるから凄くやりやすい。


「へ~。最初見た時は驚いたけど、あの人そんなに優秀なんだな」

「まぁ、迷宮核だからね。僕達の研究とアルテミス本人の証言からして迷宮核は疑似生命体。迷宮と紐づけされたシステムと生命のハイブリッドって感じらしい」

「一つ疑問なんだが、子供を残せるのか?」

「可能らしいぜ。結構前からだけど、エルフの嫁さん達に混じって……もがもが」

「コイツのこの明け透けすぎるとこどうにかならんのかいや……」


 まぁ、俺もおやじの子だからな。いやにモテる。エルフ、和鬼、ミノタウロス……。あと、元アルジャレド難民の皆さんも最近じゃかなり友好的に接してくれている。嫁入り目的の女の子もかなり多い。そこからも有力者の娘さんをもらいつつ、管理を総合的に行っているよ。和鬼とアルジャレドの国民とで軋轢があるからどうなるかひやひやしたもんだが、アルジャレドの民の事を和鬼は知ってたんだな。上層部が腐ってるだけで、下層の民は日々をしのぐので精一杯という事もよく知っていた。

 和鬼族もアルジャレドの民も昔のことは水に流し、新たにアポロン組としてしっかりと協力し合うことを誓いあっていた。そこはアポロン組じゃなくて『エリアナ女王国』として欲しかったんだが、彼らとしてはまずは管理官のためという事らしい。よくわからんが、俺は俺で彼らが住みよいように頑張るだけなんで、深くは考えないことにした。政治向きのことは全部アルテミスが良きに計らってくれる。へたくそな俺はその辺りほとんどノータッチなんだよ。

 兄弟姉妹全員に呆れられたけども、俺としては俺が触って二度手間になるよか能率がいいと思うぜ? 理屈は判るんだが、どうしてもその辺を上手く回すには俺には不向きみたいでな~……。できるんならおやじみたいにしっかりとまるっとやりたいもんだが、それは難しいみたいなんで。練習というかゆっくりと慣れつつって感じだな。あんまり一気にやってもことを仕損じるだけ。上手く回すためには焦りは禁物なんだ。


「うんむ。そこは同意する。それを先に言わないから勘違いされるんだぞ?」

「お、おう……ごめん。スル姉ちゃん」

「確かにな。最初は他力本願で任せきりなのかと思ったが、なんだよ。ちゃんと考えてんじゃねーか。その考え方ができてんなら本当に後は慣れ次第だな。それにここに居る全員が何かしらの方面に突出しているパターンもある。アポロンには実地指揮の方が向いてるのかも知んねーよ」

「ふ~む。それもあるな。スルも1人仕事の方が向いている。もちろん会議にも出るけど。仕切り、持ってくだけの方がいい。交渉、相談は苦手だ」

「それもそれでどうかと思いますよ。姉上……」


 すぐ下の妹のハムシーンは割と怖い物知らずだな。俺達の兄弟姉妹で一番怖いのは間違いなくスル姉ちゃんだから。あの人だけは起こらせちゃならん。それだけは感じる。

 まぁ、スル姉ちゃんは仕事に関しては厳しいけれど、悪口を言われても特に気にしないところがあるからそんなに問題ないとは思う。そこからはスル姉ちゃんやコンゴウに意見を聞きつつ、採掘の効率化や拠点の案内を行い。大広間で宴会して、男女で分かれた大部屋で布団を並べて就寝。アルテミスが仕切ってくれたから助かったぜ。

 『太陽の宮殿』の最奥は武家屋敷づくりの空間にしてある。俺が畳好きだからだけどな……。そこで皆で寝てから、明日はいよいよ問題の下の兄弟姉妹の縄張り。あそこは開拓の部分からテコ入れせなならんと聞いてる。さて、どうなるやら……。


 ~=~


・成長記録→経過

クロ

オス 生後半年(215日~220日)

伴侶 エリアナ・ファンテール

身長130㎝

全長17㎝……身長12㎝

取得称号

~取得済み省略~


取得スキル

~取得済み省略~


 ~=~

アポロン

オス 生後85日~90日

主人 エリアナ・ファンテール

身長130㎝

全長10m 神獣形態50m


 クロの8番目の眷属。何にでも興味を持ち、持ち前の明るさとコミュ力で物事をこなす器用なところがある。反面、事務能力は皆無でそういう仕事は迷宮を手に入れた際に成り行きで第一夫人となったアルテミスに任せている。……というよりも触らせてもらえない。アポロン自身は前向きな性格であるのであまり失敗を悔いることはせず、それを糧に前進することのみに注力。あまり失敗を省みなさ過ぎるのと、何にでもオープンすぎるので、双子のシェイドと高頻度で喧嘩になり、一定時間で仲直りする。

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