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東方大陸へ

 はろ~。お久しぶりです。クロですよ~。

 現在、タケミカヅチとベルトールさんが率いる風龍や、志願した空を高速で飛べる龍族が編隊を組んで東の海域を飛んでいく。この時注意が必要なのが、背中の移送用の座席鞍を背負っているのでね。速度はまだしも機動力が減衰する。なので高空を飛行してそういう機動力のある魔物に狙われるめんどくささを解消するために海面ギリギリを飛んだのだが……。それはそれで海面から飛び出て来る魔物に襲われる。

 まぁ、襲われたところで問題ないメンバーで構成しているので大丈夫ではあるのだが、とりあえず嬉々としてその海からの襲撃を爆散させる我が子、ケイオスのおかげで隊列は別の意味でハラハラしている。僕の爆裂魔法がいかに調整されていたかが分かったことだろう。龍体の大きさから座席鞍を背負っているのはコスモ、ブランジェリア、ヴォルカニアスさん、ジュネだ。風龍はかなり小柄なので体にフル装備状態で彼らを守るように編隊を組んで飛んでいる。そして、僕とその周りをスミオ、カヨ、ハグロ、ヌレバの編隊で動きまわり海底や上空からの襲撃を撃退してるんだけどね……。

 海中から飛び出して来る魔物が可哀そうになる状況なんだよ。

 まず、基本的なことから説明しよう。『爆破魔法』という魔法がある。爆破魔法は炎系の上位系魔法ではない。あらゆる爆発を司る魔法なので、爆発させることさえできるならば、使用者の知識次第で真空環境下でも爆発を起こせる。そういうズルい魔法なのだ。僕の『爆裂魔法』はそれに斬撃補正が入り、連続で爆ぜる魔法。ね? 馬鹿げてるでしょ?


「こら、ケイオス……やりすぎだ。後方をもう少し気にしながら仕留めなさい」

「は、はい。すみません」

「爆破や爆裂魔法はかなり基礎威力が高い。工夫しないと仲間も巻き込むから注意するんだぞ? 使うんならこんな風に使うんだ」


 僕は探査魔法を展開し、海底深くに潜んでいるがこちらの動きに気づいている大型の魔物を数体ピックアップする。ケイオスにも視界を共有し、片側に海底の立体図面が現れているはずだ。その使い方を説明したところで、僕はそのマップの大型魔物の反応がある場所に時限式発動マーカーを添付。おそらく三秒後に海底で大爆発が起きる。なので結界魔法を後続の編隊を守るように展開。

 三秒後、直に受けたら耳がおかしくなっただろう振動が発生する。たぶん、水中での爆発だから急減圧爆破か、水蒸気爆発だと思う。もしくは魔素量でゴリ押しして爆破したか……。

 ケイオスはめっちゃキラキラした表情で真似を始める。ケイオスは凄く素直な性格で、凄く影響されやすい。異様に呑み込みも早い。最近僕が爆破魔法のレクチャーのために一緒に居たせいで何故か僕の真似をするようになったりもしている。ヘビなので無理であるが。そのケイオスと僕のせいで水中での爆破攻撃の振動でやられた魚が浮いてきている。この周辺は魔境の海なので魔物ばかりだから死んではいないようだけど、この広範囲を脳震盪で浮かばせるほどの威力か~……。僕の場合は限界値まで魔素の注入を抑えてこれだ。武術だけじゃなくて魔法も鍛えなくちゃな。それはいいとして、ケイオスもかなりレベルが上がっている。最近気づいたんだけど、必ず相手を殺傷しなくとも上昇量は目減りするが経験値は入って来るようだ。何かをした上での累積という関係だろう。

 そのおかげか広範囲を爆破し、広範囲の大小の生き物を浮き上がらせたせいでかなり経験値が入っている。そして、僕が魔法の袋で美味そうなやつだけピックアップして吸い込んでいるので、その分は殺傷判定で経験値がウハウハなようだ。めっちゃ嬉しそうだもの。


「なぁ、アレって生態系を壊してないか?」

「アレが通常の野生動物ばかりの海域なら問題ですが、ここは既に東大陸側の魔境の海域です。我々リヴァイアサンが侵入を抑えている魔物が跋扈する海の魔境ですから。その内、クロ君に眷属を増やしてもらって制圧してもらう事を考えていますよ」

「ギル坊よぉ……。お前も完全にこっちに着いちまったなぁ」

「それはそうですよ。死にたくはありませんから。僕は長い物には巻かれます。ないより、彼は接していて横暴さがないので」

「お前んとこは姉貴共や妹連中がやべーのばっかだもんな」


 一応海洋のあれこれも関係してくるかと思い、ギルさんも同行している。ギルさんはヴォルカニアスさんの背の上で何やら会話していたが、気にするようなことでもないだろう。どうせ僕らがボンボン爆破することに対してだろうから。大型の魚類系やシーサーペント、軟体動物系も出て来たね。環形動物に……超巨大な甲殻類か。アレが主だろうね。かなりの高圧縮されたブレスがこちらを狙っているが、僕が先手を打つ。ちょっと威力を上げた爆裂魔法を添着した魔法添着弾を撃ち込んだ。海面から10mくらいで推進力が減衰し、止まるがこれが目的だ。巨大な甲殻類が放った泡と水のブレスが触れた瞬間爆裂。敵さんは継戦能力がレッドラインだ。あの程度か。ならどのタイミングで生まれて来るか知らないけど、海に行ける眷属が生まれ、ギルさんが許可したら送り込んでもいいかもね。

 こんなことをしていると、東方大陸が見えて来た。

 コスモの上に乗っているカレッサと、東方大陸出身のエルフのキンバリーの方から懐かし気な空気が発せられた。忘れてたけど、実はエルフにもいろいろ居るのは周知の事実ながらちゃんといろいろ違いがある。まずわかり易いところとしてエルフ族をノーマルとするなら、ダークエルフは肌が茶褐色の上で瞳が紫色。暗い森の中に適応したエルフらしく、エルフの亜種だ。次にハイエルフ。エリーカがいろいろ調べた結果わかったのは、ハイエルフがエルフ族の祖である事。濃い魔素の立ち込める森に適応していたハイエルフが、その密度の低下に適応していったのがエルフ族だ。そして、東方エルフ族は見た目が少々異なる。東方エルフ族は耳が比較的短く上に尖っていて、身長も平均140㎝とかなり小柄。なんでも東方大陸の森林の中で鬱蒼とした場所で隠れ住まう上で小柄に、体もシェイプになったとのこと。


「キンバリー!! 着陸はどうしよう!!」

「どこからでも問題ないかと!! どのみち魔物に襲われます!! 先に先制攻撃できる皆さんで露払いすることをお勧めします!!」

「了解!! ヴォルカニアスさん!! 僕らが先に露払いを行います!! 終了したら閃光弾を上げますので!!」

「おう、解った!!」


 僕と黒騎士隊でかなり海面ギリギリを滑空し、陸の魔物から注意が向かないようにしながら急速接近する。これまで敢えて話して無いけど、実はスミオ、カヨ、ヌレバ、ハグロの四名の背中の上に10体ずつトリブロノータス族の戦士が搭乗している。この日のために選抜された生え抜きとのこと。全40名で構成されたこのトリブロノータス隊と僕、黒騎士隊でそこそこの範囲を急襲、制圧する。どうもこの東方大陸は全域が魔境らしい。どこがどの魔物の縄張りかは知らないが、黒騎士隊と僕が最終的には相当な速度でそのまま着地。海浜の森を扇状に吹き飛ばすように突っ込む。けりを入れながら僕が着地しただけでかなり数が目減りしたね。

 そこにすかさずトリブロノータス隊が展開。G-36tというアサルトライフルを構えた雨合羽を着たような連中が物凄い速さで散って行く。人員は20名。5人組で一隊として大小の敵を殲滅しているようだ。その後詰としてMG-LVt(軽機関銃)を構えた5人が森との境を固め、残りの15名でトリブロノータス隊用の天幕を複数設営している。こいつらいつの間にこんな軍事訓練をしたんだか。

 使ってる装備も僕の物をミニチュアにしただけだから、普通の魔物じゃどうしようもない。それこそ魔人にでも鉢合わせしない限りは彼らに危機が舞い込むことはないだろう。その際の合図を僕は聞いているので。僕も油断はしていない。黒騎士隊も僕の周りで各々の武器を展開して臨戦態勢だ。そして、トリブロノータス隊の4番隊から照明弾が上がる。色が黄色だから危急の状態ではないけど、危険が近いという所か。僕ではなく、カヨとハグロが先行。カヨから念話が飛んできた。原住民が魔物に襲撃を受けていたか。被害としては軽微。怪我人多数ではあるが落命に繋がる前で何とかなったとのこと。ただ、この東方大陸の奥地には魔人が居るらしいので、僕らも注意しなくちゃいけないという情報を得たらしい。僕は閃光弾を空高くに打ち出し、空で待機していた輸送班と護衛の風龍班に着陸を促す。


「おいおい……マジかよ」

「数千人単位の難民ですか……」


 ヴォルカニアスさんとギルさんがつぶやいたように、僕らの目の前に居るのは数千人単位の難民というか移住希望者だった。今回は東方エルフ族だけの予定だったが、各族の長から話を聞く限りではどの種族もかなり逼迫していた。東方大陸はかなり広いのだが、エルフ族でも侵入を躊躇するような濃い魔素に満ちた魔境があちこちに存在するまさに未開の地?だという。いや、僕の気になる点はあとにして、とりあえずこの状況をどうするかだ。

 トリブロノータス隊は無理しない程度にここに残るとのこと。ここに新たな集落を築き上げつつ調査をしながら問題の洗い出しを行うつもりだとのこと。

 ……確かにどの種族もかなり疲弊している。助けたいがいきなりこの数を移送するのは物理的に無理だ。時間をかければ可能だが、その場合は古龍族の数名を何度も往復させねばならないという問題もある。僕らの住んでいる大陸から東方大陸までは片道数時間。時間との勝負と考えてもあまりよい条件とは言えない。かと言ってこの状況では東方エルフだけをお引越しという訳にはいかない。……仕方ない。あまりやりたくないけど。やりますか。


 ~=~


・成長記録→経過

クロ

オス 生後半年(210日~215日)

伴侶 エリアナ・ファンテー

身長130㎝

全長17㎝……身長12㎝

取得称号

~取得済み省略~


取得スキル

~取得済み省略~


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