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閑話休題44『乙姫の困惑』

 初めまして。私は乙姫と言います。父は東方の海龍。母はリヴァイアサン族の放蕩娘と未だ名高いメリアです。最近、とある有名な学術誌に『リヴァイアサン女性はドМが多い』という表題が出て、私や10数名の族長でタコ殴りにしました。その時でさえ、母の痴態を見せつけられ、いろいろと手遅れ感がします。言っておきますが、私はノーマルですから。

 その母関連でもう一つ最近困惑が増えました。

 私は数日前まで、母の娘としては一番下だったんです。それが、私は下から1個上になりました。母が私の義父でもあるクロ様と再婚したこともかなり困惑していましたが、まさか子供までこさえるなんて思いもよりませんでしたよ。確かに淫乱でドМでスケベな母ですからね。その可能性が0%とは言いません。言いませんが……。私、33番目の娘なんです。リヴァイアサンが多産で有名でもさすがに多すぎる。リヴァイアサンの歴代随一です。私ですか? 私はまだ子宝には恵まれてません。ですが、時間の問題だと思います。お父上のことを奥さんの多さで弄る私達の旦那様ですが、ウチの旦那様もかなり夜が激しいので……。そろそろあと2人くらい増やさないかと相談しています。もちろん『我が家のお嫁さん会議』でです。やはり受け継がれる物なんですよ。


「そういえば、姉さん達もクロ様の寝所に上がってるんですよね?」

「……ま、まぁ、ね。弁償のために。ナタローク様を煽ったのは私達だから」

「そんな事言って、実は……」

「な、何よ。それを言うなら乙姫はどうなのよ。タケミカヅチ様との間の子。欲しくないの?」

「ふっ……。時間の問題ですよ」


 実は私の困惑はここに来てから1つや2つではないんです。

 まず、ここっていろんな種族が雑多にいすぎていろいろ困るんですよ。種族によって配慮されている面はあるんですが、それで会計や販売点選びが複雑化して面倒くさいんです。私もリヴァイアサンなので細かいことは苦手です。母譲りの超の付く不器用ですとも。戦闘は得意ですけど。

 私生活は特に問題なくても、今話している姉さんのことも困惑の1つです。私には32人の姉が居ます。そうです。私の兄弟姉妹は姉しかいないんです。次も妹らしいですよ。その姉の内、5人。5人ですよッ?! ナタローク様は伯母上にあたるのですが、実は一番上の姉より若いです。今話しているのはその一番上の姉です。ナタローク様の取り巻きで、酒飲み集団に5人も居たんですッ!! つまり、母だけには留まらず、姉が5人もあの方の所にごめいわ……嫁いでいるんですッ!!!!! はぁ…はぁ…はぁ…。

 龍族は誇りある血族とか思ってる人間種は多いかと思いますが、そんなことありません。母を幼い頃から見ている私が断言します。怠惰で酒浸り、物をよく壊す、おまけに淫乱ッ!! その母に新たな妹です。私は自分の子供よりも先に妹は私が育てなければと思っています。ついでに言えば、その話で目をそらしている5人中3人の愚姉……。お前らも妊娠しただと? そっちの夜事情はどうなってるんですか?!


「えっと……とりあえず落ち着こうか。乙姫…ストレスかけてたのは謝るからさ。ね?」

「姉さん達は3日で忘れるので信用なりませんが、いいでしょう。それで、どういう状況なんですか? まさか、クロ様は姉さん達みたいなドМが大好きな人なんですか?」

「……ドSなのは否定しないけど。それだけだけじゃないわ。これを見て」


 アレ? クロ様がいらっしゃる。掌サイズの時はとても愛らしいお方です。人化形態の時は小生意気な感じがして庇護欲が湧きますが。問題はその数です。え? どういう事? クロ様が妊娠した3人の淫乱ドМ姉の掌で右手を挙げてます。私はどうしても思い至らず、愚姉たちから聞きました。

 困惑の坩堝の中で転がっている気分です。

 なんでもクロ様が分裂したそうですよ。クロ様は伝説級の腕前を持つ錬金術師です。そういう錬成術でも手に入れたのかと思いましたが、違いました。正妻のエリアナ様が持つ迷宮核の機能を一部でも管理室の外で使いたい。……と考えたクロ様。クロ様はそれを完成させた上で、今度は自分が増えたら楽だと考えたと……。

 頭の悪い私でも理解できてきました。おそらくですが、以前から夜の大魔王として君臨していたクロ様が分裂し、夜に寝屋に居る数が増えたのでは? 正解とのこと。しかも一桁ならず二桁居るそうなので、妻集団は本当に死ぬんでないかと思える目に遭っているらしい。……姉さんやお母様はいいのでは? いじめ抜かれる訳でしょ?

 ……あ、それを超えて来るわけですか? まぁ、詳しくは聞きません。我が家も大して変わりません。その内、同士を増やさねば私も死ぬかもしれないので。そのことに関しては姉達の気持ちもわかります。気絶してからが本番なんですよね~。起こされるんです。


「あれ? そっちも?」

「そうですよ~。やはり親子なんです。そういう意味ではお一人で対応していたテュポーンさんの強きこと強きこと……」

「ふ~ん。なら、ウチから行き遅れを出したら?」

「最終的にはそこに行きつきますよね? というか、疑問があるんです。その掌の上のクロ様は皆さん蜥蜴のお姿ですが……」


 人化しました。なんか微妙に違いますね。

 姉達にも詳しくは解らないらしいですが、なんでもクロ様が作れる最高数がおおよそ1600人くらいだそうです。千を超えて来るのは反則ですね。ただ、その場合はほとんど蜥蜴姿のままでないと安定しないようですね。なので通常の時は100人の分体が他の迷宮間も含めて移動し周り、いろいろしてくれているらしいですよ。それからクロ様の分体は個体毎に知性があり、性格と個性があるらしく自分で判断して行動するとのこと。

 それもう別人なのでは?

 姉達の手の上に戻ったクロ様は常時展開されている個体で、かなり知性が高く姉達のボディガードという事だ。凄いですね。困惑は深まりますが、クロ様のぶっ飛び具合が凄いことは解りました。そこからも姉達と近況を語り合いながら、いろいろとこの領地のぶっ飛び具合に困惑したり驚いたりしています。そもそも龍族と人族が一緒に生活している土地なんて普通はあり得ません。そのことに驚かなくなっている自分の変化にも少し思う所がありますね。


「困惑と言えばさ。聞いた? 星龍様もご懐妊だってさ」

「え? ホントですか? 確かあの方って40000歳は超えてらしたはずでは?」

「それは今更じゃない? ママも18000歳って豪語してるけど、18000歳代の終盤でしょ」

「それはまぁそうですね」

「それからもう一個」

「今度は誰です?」


 呆れました。いつ頃からかは忘れましたが、母の昔の悪友らしいダフネ様も手籠めにされてたんですね。クロ様という至高の存在には不釣り合いな我が愚母とその悪友な気もします。若い頃は次から次へと男をとっかえひっかえしていた古龍の恥さらし、クソ〇ッチと有名だった不良娘コンビの2人。仲良く大魔人の所でお縄についたようです。姉達曰く、クロ様は可愛い顔してそれなりに『躾け』が上手とのこと。

 あの愚母を躾けられた事自体が奇跡的ですが、それ以上にここで大古龍が集まっていることに困惑です。白龍王ブランジェリア様や煌龍ジュネ様など、まだまだ大御所はいます。私の困惑と呆れはどんどん深まります。姉達はそれを面白がるようにどんどん掘り起こしますが……。この領地はどうなってるんでしょうかね? ここの異常性はまだまだ止まるところを知らない。そう思う日がこれから連続して続くことになります。


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