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その存在、危険につき

 おうおう、ナレーションは初めてじゃの~。私はリヴァイアサン一族の『はねっ返り』と言われておったメリアじゃ。最近じゃ旦那様の勢力の出現で完全に縮こまってしもうたがな……。あの一族は例外にしてほしいが、私は神代龍族でも有数の力の持ち主。龍体での巨躯とその膨大な内在魔素による大味な攻撃は、世界を守る一柱に数えられるに相応しいものじゃ。

 まぁ、今じゃ旦那様にサンドバッグ代わりにされる哀れな龍じゃが。

 その私と妹のナタローク。実は私の娘も混じっているこの前やらかしたメンバーを引き連れ、鬼ヶ島の近海から潜り『バール魔王国』とかいう連中の艦船を根こそぎつぶしにかかる。『サーガ王国』の船の特徴は聴いておるし、空から見て居るハイエルフの先行部隊がおるらしいから最悪ソヤツから情報をもらおう。言うとるまに我らの哨戒船の船底が見えよる。リヴァイアサンの姿ではさすがに見わけもつかんだろうから私だけ船に上がり、情報をもらう。


「おう、生きとるか?」

「メリア様、この度は援軍ありがとうございます」

「なに、構わぬよ……。私やリヴァイアサンはこういう事くらいしかできぬでな」

「ははは……。えっと、ここにいらしたという事は上方ですね? あっちで一列に艦列を組んで進んできているのが、『バール魔王国』の魔道戦艦です。一応外板が金属製でしたが、魔法防除はなく普通に攻撃可能かと」

「解った。船の舳先を敵の艦隊方向へ向けるのを忘れるでないぞ。私達の戦はかなり荒れるでな」


 私と姉妹、何人か私の娘や他の姉妹の娘も居るが……。それらで一挙に顔を出す。そして、敵が認識しきる前に咆哮をあげて恐慌に陥れる。リヴァイアサンは1頭で島を潰せる巨躯じゃ。首を出した程度で敵の艦列は揺らぎ、船同士でぶつかり転覆もしよる。それで私や他が容赦することはない。これまでの鬱憤というか……。無力感の分を弱気者にぶつけねば、私も他も心がつぶれそうであったからな……。クロ一族はおかしい。何なのじゃあれは……。

 女王の筆頭であるエリアナはまだ子供である故、人死にを嫌うし身内が虐げられることを嫌がる。甘いとは思うが、人族の子供としては十分大人びて居ると思う。私ややれる大人がやればいい。母のセリアナもそうやって汚れ仕事をまだ幼い王女の長がこなせるまでは請け負っておるのだ。私や他の年長者もあの子や若い世代を支えねばなるまい。物の数分で敵の艦船は全滅。浮いている敵の船員を潰すまではやらんでもいいじゃろう。逆に私やリヴァイアサンが出張っているという事を伝えさせねばならんな。

 私が咆哮をあげ、あまり使わぬブレスを使う。

 海神の吐息は威力があり過ぎて使い難くて困る。確か、『サーガ王国』方面から真南に『バール魔王国』があるはずじゃ。私が海神の吐息を吹きかけると、ほうほう……こんな仕掛けをしておったか。海神の吐息により何か魔道具で構築されておったらしい大規模結界が無残に砕け、かなり先の方に陸地が見えておる。意外と近いな。まぁ、この周辺の海は群島地帯で大きな大陸の周囲に小さな陸地が集まる形状じゃから、こういう事は往々にしてある。自国を守るためにはこういう事をするのも解る。


「姉さん、私達もやる?」

「威嚇程度でいいぞえ」

「久々でうれしいわ~」


 ナタロークのヤツめ……。じゃから最後まで結婚できんかったのじゃぞ?

 ナタロークは頭が私より悪い。猪突猛進の気が強く、他の強者を知らずに育った故に生意気でお調子者なんじゃ。私は長女であるから今は亡き母上にきっちり仕込まれた。世界のどこかには必ず強者が居ることを脳の髄まで叩き込まれて育ったんじゃ。ナタロークは老い初めて丸くなっておった母上に甘やかされて育った妹の1人。……の中で一番の暴れん坊じゃ。今では姉妹揃ってとある男に躾けられておるから、アホなことはもうせぬよ。

 殺されはせぬだろうが、あの仕置きはもう沢山じゃ。クロという存在は優しいが故に、相手の嫌がることをせぬという気遣いができる。それ以上に相手をよく見て生活しておるからの。相手が嫌がる事や、絶対に耐えられないであろう手を使って容赦なく攻めて来る。何度それで死に目を見たか……。私は不器用じゃからの。基本なにもできん。勉学は積んだもんでそれなりじゃろうが、他は無理じゃ。ナタロークにはそれもないからの。最近では優先的に体術訓練や武器術の訓練に引き回され、毎日ボロボロになって自室に入って行く。その時の横顔が喜色に満ちていて……ちょっと様子がおかしい気もしているが、深みには入らぬことだろう。下手を打てば私も引きずり込まれるやもしれんからな。


「これだけ叩いておけば直ぐには悪さもできまいて。軍港3つの付近を荒らしまわったんじゃ。普通は動かん」

「でしょうね~。これで動くようならよっぽどよ~」


 私達の予想通り、『バール魔王国』とかいう連中はそれからしばらく一切動かなんだ。その後もすることと言えば軍港の修繕と艦船の修繕程度。……修繕するという事はいつか攻寄るという事か、2度目も私達が行っていいだろうか? その辺りもちゃんと話しておこう。勝手にやると、旦那様にお仕置きされてしまうから……。


 ~=~


 は~い。初めまして~。時空龍族のディオですよ~。今回はエリアナちゃんにお願いされて哨戒を中心に、場合によってはその場で対処することを目的に飛んでま~す。時空龍は変身しても人間と同じ見た目で、龍と呼ばれるカテゴリーではとても異色。新参も良いところです。実際、お父様とお母様が初代なので私達もまだまだ若い世代なんですよ。土地の力が強く働き鱗と翼を持つので龍と呼ばれますが、どちらかと言うと旦那様が提唱する魔族に近いのかもしれません。

 細かいことはいいんですけどね。旦那様も私達のことは時空龍という種族で呼びますし。

 私達が空を飛んでいる時に、戦闘に一番長けているアリアドネちゃんが海の方向を睨みつけています。リヴァイアサンの一族の皆さんが大暴れを始めたのが理由のようですね。ブレスまで使って敵の主だった拠点を全部壊してしまったようです。あの超大質量攻撃は本当に反則ですよね~。でも、あのブレスも旦那様には効かないんですから……もっとも恐るべきは旦那様でしょう。

 旦那様は時間や空間を操る私達の攻撃も一切効果がありません。

 私達が大古龍と相対することができるのは、ひとえにこの能力のおかげ。魔法に近いですが時空を歪ませ、ポケット空間に敵の攻撃を呑み込んでそのままお返しできるから。それだけではありません。歪曲空間を利用した格闘戦や、斬撃、狙撃など……。なんでも可能ですけど。その全ての攻撃にもある重大な欠点があるんです。私達の膨大な内包魔素量を超える魔素の存在が、肉体強化魔法で魔素を纏ってしまうとお手上げ……。魔素由来の攻撃なので全て弾かれます。


「ディオ姉~。見えて来たよ」

「ピオンちゃんどう? 森に違和感はあるかしら」

「違和感どころかおかしいところばっかりだよ。なんでこんなに魔素の流れが歪んでるんだろう。調べないとまずいと思う」


 私達は3人が3人とも特技が違います。私は情報をまとめて統合し、任務を円滑に遂行するための思考加速が得意です。これも時空魔法ですよ。ピオンちゃんは空間中のいろいろな概念の動きを感じ取る魔法が得意です。索敵や探査などはピオンちゃんの右に出るのはクロ一家の皆さんくらいかと。最後のアリアドネちゃんは完全に戦闘特化。攻撃系の時空魔法が軒並み高威力で、お父様でもアリアドネちゃんとの模擬戦はそれなりに手数を見せるほどです。……クロ様には一瞬でボコボコにされたそうですけど。

 そのまま私達が少し調査しただけでそれなりに面倒な事が浮き彫りになりました。

 私達3人で攻め込んでも問題なさそうな戦力ではありました。……が、クロ様に逆らってお仕置きされるのは怖いので誰も命令無視はしません。最初の内に口答えばかりをしていたメリアさんの惨状を知っているので、なおさら私達の龍族第1期組は逆らいません。アリアドネちゃんすら逆らわないので。

 迷宮核を用いるとああいう事もできるんですね。魔境の高濃度の魔素は1点に集約すると、稀に綺麗な結晶になります。それは魔素結晶とか魔石と呼ばれていて、魔道具の燃料やそのまま砕かれて使われたり、錬金術の触媒などにも使われます。つまり、直接的な軍需物資です。

 私はすぐさま念話でクロ様に繋ぎ、報告。……クロ様は忍者アクションのプロですからね。あの方は気配を消す事に長け過ぎていて、本当にどこにいるか解らなくなることがあります。それが私生活中に何の気なしで起きることであるので手に負えない。


「もしかして、クロ様来るの?」

「いいえ、今回は見送りよ。たぶん、防衛のために龍族が交代で駐屯することになると思うわ。私達は魔境と『トラマンタ帝国』の境に戻るようにって」

「よかったですね。またあの黒い焔で丸禿になる事件が起きるかと思いました」

「……アレは見る度に恐怖が走る。恐怖が物質化してるみたいな感覚がする」


 あまり物事に動じないというか、強者故に気にしないアリアドネちゃんでもクロ様のことは怖がります。ですが、クロ様は私達を大切にしてくれるので、私達は誰一人として彼の傍から離れません。本当に不思議な存在です。ツェーヴェ様の最高位鑑定魔法でも彼にはそういったスキルは無いらしいので、これは純粋に彼の魅力なんだと思います。……でも、あまり彼の魅力に囚われすぎるのも危険かもしれませんが。

 あの方は本当にお強いので、一部の若い龍族やイレーヌのような性癖のメンバーは既に溺れている感じです。私も注意してないとまずいですね。あの魔人は本当に危険です。表面上というか、刺激しなければ本当にアレほど平和でとぼけた存在も無いと思うのですけど……。一度でもその魅力に魅入られると抜け出せません。そして、彼の逆鱗に触れた物は影も形もなく消し去られると思います。……危険ではあるのでしょうが、彼がああいう性格だからバランスが取れているのかもしれません。その魔人危険につき、私も注意深く接します。


 ~=~


・成長記録→経過

クロ

オス 生後180日~185日

主人 エリアナ・ファンテール

身長130㎝

全長17㎝……身長12㎝

取得称号

~省略~


取得スキル

~省略~


 ~=~

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