表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
164/322

宗主国と属国という見方

 はい。どーも。クロです。

 今日は珍しく『王祖の迷宮』で会議です。今回コンタクトがあった2国からは、予想外の意見が飛び出した。僕としては国という物には歴史や王権の堅固さが重要と考えていたのだけど。2国はどちらも従属した方が利益になると考えたようだ。普通ならばそんなことをすれば国内で不和が起こり、情勢が急激に不安定になりかねない。なのだがどちらの上層部も満場一致で僕ら『エリアナ女王国』を宗主国として置き、2つの国は属国として従属するという考えが主流だというのだ。

 当事者が居ないと話にならないので、両国の代表者を呼んでいる。

 『トラマンタ帝国』からは政治部門の代表としてエイズミー・ローベント伯爵。軍事防衛部門からティガー・ライゼン伯爵が来てくれた。代り映えしないが、やりやすいので良い。

 『サーガ王国』からは4名。代表はカルカッテ姫の部下で、外務大臣のアイゼン・ポートマン伯爵。同じくロッテンハイマー姫の部下扱いであるが、軍閥貴族の代表でフリッツ・コールマン辺境伯だ。

 まず、先にコンタクトを取る理由が理由であったことで、『トラマンタ帝国』の軍事関係の報告をティガーから受ける。現在の『トラマンタ帝国』は『アルジャレド通商連合国』との間に深い軋轢がある事と、南方に存在する魔境からの浸食に悩まされている。その2つから来る食料問題は既に大きな問題となっており、外郭防衛はもちろん国民の維持にも問題が出ている。加えて『トラマンタ帝国』は陸の孤島で貿易しようにも『エリアナ女王国』以外の国とは現実的ではないとエイズミーからの言。


「それでも属国化はやりすぎじゃないか? 支援はするんだし」

「いえ、そういう事ではないんですよ、陛下。防衛能力も当てにしているんです。魔境の浸食というのは本当にゆゆしき問題。属国化されれば辺境とはいえ守らねばならない土地と考えてもらえる。……このように言いだす貴族は多いのです」

「そういう事ね……。最初から戦力目当ての連中もいるのか」

「えぇ、私共としてはこういう言い方は本当に心苦しいのですが……。ただの支援を受けるだけだとして、いつ切り捨てられるか解らない立場より、身を切った方が早いという考えが上層部も主流なのです」


 ティガーとエイズミーがその後も続けるところによると。『エリアナ女王国』の存在が知れ渡ったタイミングでウチから攻撃されると考える者も少なくなく……。属国化されて身内に取り込まれれば、多少締め上げられる程度で大きな被害は抑えられる。そういう意味で『身を切って身を護る』という意味とのことだ。それに『トラマンタ帝国』では任命帝位制なので、結婚同盟などの婚姻製作は取れない。有力貴族から出すことも可能だが、『エリアナ女王国』の国力が大きすぎ対等の付き合いはできない。逆に失礼に当たるので、トラマンタ側からそういう政策を切り出せないことも一因だという。

 ここで『トラマンタ帝国』からの理由と現状説明が終了。

 『サーガ王国』の4人からも似た感じの事由が連続してあげられる。『サーガ王国』の場合は完全に庇護下に入れて欲しい理由がある。海を挟んで対岸の半島に勢力基盤を持つ、『バール魔王国』の存在だ。先日、『サーガ王国』からの使者をもてなしている間も激しい戦闘となり、結果的にウチの哨戒部隊が敵の戦艦の船底に穴を開けてうやむやにしたようだ。マジで穴開けたんだ……。

 現状の『サーガ王国』の国力ではとても太刀打ちできず、上陸作戦に移行されるまでもほとんど秒読み状態とのこと。海戦での勇名があった『サーガ王国』は白兵戦はそれ程強くない。人口がそれほど多くないので押し負けてしまうだろうという。

 また、『グマンナ首長連邦』のことも問題である。強い関わりはないが、たまに行商や近隣の村が威嚇攻撃の被害に遭うとのことで、そちらもどうにかしなくてはならない。貿易の観点からも鬼ヶ島経由で食料だけでなく、軍需物資や技術を入れたいという目論見もあるのだろう


「我々の場合は本当に後がない。国王からも国が残るか民を残すかならば、民を優先するように言付かっております。どうか早いご決断をお願いしたい」

「軍事同盟という方向もできない程疲弊しているという事ですか?」

「……既に我らがまともに出せる軍などないのです。度重なる攻撃による疲弊で、ただでさえ種族的に差のある悪魔族との戦闘。兵は減り、軍船も多く沈みました。もはや議論をしているような余裕はないのです」


 ふむ……。外交の代表は僕だから僕が一応基本的なことは聴いたけど、ここからはエリアナにシフトしよう。僕がエリアナに話を振ると、まずエリアナはその『宗主国』と『属国』という立場が気にいらないという言葉をあげた。対等の立場としては気が引けると言うならば、従えるのではなく融和するという考え方をしたいと力強く述べた。一応10歳児なんだけどね~。相手の大使は全員ビビりまくっている。

 相手の方が気圧されて可哀そうだ。

 続いてエリアナからはメリアへ意見を求めた。緊急の事案として『サーガ王国』の防衛は先に考えなくてはいけない。神代龍族のリヴァイアサンは戦に肯定的か? と言うことだ。メリアは既に一族から離れ、僕の妻という待遇で食っちゃ寝している。なので働けと言うなら、ここに居る一族を率いて食いつぶしに行くとカラカラ笑う。

 その次は光系の龍族、ジュネに哨戒と魔境周辺の動向調査は可能か? という所だ。ジュネからは飛行速度や隠密性で時空龍族の方が適している。なので光龍族ではなく、それは時空龍の一族の方が適任だろうからそちらを派遣してくれという言葉が出た。それにはディオが応え、3人で哨戒と場合によっては即魔境を焼き払うという実力行使に出ることを告げる。


「緊急の案件はこの辺りですね。では、今後の立ち位置についてなのですが……」


 エリアナの人族な判断により、メリアとディオ、ピオン、アリアドネが離席。直ぐにでも結果が出るだろう。時空龍組には僕にも念話で報告をお願いしておく。彼女らが対応できない敵となると主級でも大御所となる。そうなると僕や子供達が動く方が確実になるからだ。あくまで彼女らは哨戒部隊である。あまり激しい動きはしないで欲しい。

 両国の代表は息を飲んだが、こちらとしては特になんともない。予備戦力というか、出すところがなかった戦力を一時的に出したのみ。直接衝突の戦となれば軍を動かすためにヨハネスさんやハーマさんなどの軍関係に長じた人物の意見も必要だろうが、『アルジャレド通商連合国』は『グマンナ首長連邦』と盛大な喧嘩をしている。こちらといきなり戦端を開くとなれば余程のアホだろう。一部の要人を逃がすために何らかの取引を求める可能性はあるだろうけど、こちらは現状それを受ける意味がない。得はなく損しかないので。

 その上で、これからの付き合いとして、どちらかに従うという考え方はエリアナが嫌う。

 僕もあまり好きではない。しかし、多少の上下差はないと調子に乗るので、その辺りは時間をかけて馴染ませると言うのが最適解だろう。そこは僕やセリアナさんが口添えして折衷案とした。属国と言うと、本当に配下となってしまう。しかし、少し立場の上の隣人という程度が落としどころなのだ。外交としてやりにくいだけでなく、人によってはそれで反発したり問題を起こす。なので僕の仕事を増やさない方面に舵を切って欲しいことも僕の口から説明しておく。


「確かに、大勢が占めるとは言え反発はあるでしょうね。プライドの高い者は一定数います」

「こちらもそれは同じです。そこが貴国が抑え込むために奔走しなくて済む落としどころ……という訳ですな?」

「そうですね。受け取り方としてはそうです。庇護、支援を友人としてするという考え方でしょう。こちらが大きな貸しを持つので、自動的に立場は我々が上ですからね。わざわざ名前まで変えて呼び合う必要も無い。付き合いは滑らかに、荒立てないことが重要です」

「ははは、貴殿は本当に兄の言う通りなのだな。本当に不思議な男だ」


 驚いた……。フリッツ氏は一度王家を出奔し、一軍人として辺境伯まで上り詰めた人とのこと。王家の窮屈な世界から飛び出して彼は大成したと自分で言っている。この人も苦労しているようだ。まぁ、それはいいとして、メリアやリヴァイアサンが鬼ヶ島から近海へ入ったと念話で報告が来た。じきに食いつぶしにかかるという。たぶん、ウチの最新鋭艦艇でもなければリヴァイアサンの相手を船でするのは無理だと思う。ついでにアポロン組に協力要請してくれたとのことで一小隊をリアス式海岸の防衛拠点に配備するようにするとのこと。戦艦はどうしようかと考えたが、特に必要ないか……。

 その直後、ディオ隊からも連絡が来た。

 こっちは想像以上に面倒なことになっているらしい。どうも反対側の『サタナニア魔王国』という悪魔族の国が圧迫しているとのことだ。魔境を開拓しているのではなく、迷宮を攻略し、地上に核を置いて収奪する方法で魔素を吸収して、魔素結晶を生成する方法を取っているらしい。魔素結晶は確かに重要な軍需物資になるからね。問題の根本的な解決には『サタナニア魔王国』とかいう連中とことを構える必要があるのか……。いや? 僕が忍者アクションすれば解決じゃね?


「今クロちゃん、忍者アクションしたら解決するとか思ったでしょ?」

「なんでわかるんですか」

「顔に出てたもの。さすがに1人で行かせるのは問題だし、あまり刺激しない方がいいわ。今回は新しい眷属が生まれるのを待ちましょう。ハムシーンとコンゴウは北西と東を抑えてもらいたいし」


 という事で、今回来た皆さんをスミオ、ヌレバ組とカヨ、ハグロ組に分けて各国へエリアナ直筆の書状を送ってもらう。一緒に大使の皆さんも帰国してもらう。龍族が向かっているから各勢力も簡単にはこちらに手は出せない。

 そういう安定感もあるから僕もあまり急いで何かをしなくてはいけない訳ではない。こうなると鬱陶しいのは『アルジャレド通商連合国』の存在だが……。別にこちらから手を出す必要はない。噛みついて来たら、ゲンブ辺りが噛みつき返すだろうし。


 ~=~


・成長記録→経過

クロ

オス 生後180日~185日

主人 エリアナ・ファンテール

身長130㎝

全長17㎝……身長12㎝

取得称号

~省略~


取得スキル

~省略~


 ~=~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ