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異世界忍者アクション

 最後の迷宮は迷宮戦争の開始宣言と同時に僕だけでいく。ちょっと他の『パパ軍団』がいるとやりにくいので。僕の能力と新たなスキルなどを全て使って、迷宮核とお宝だけもらっていくつもりです。あと、この前グランデール獣人国で手に入れた、迷宮支配に横槍入れることができる魔道具の活用法が見つかったんで、今使ってます。

 その魔道具の効果は本来なら洗脳系の物で、洗脳したい相手に指定した器物を差し込むことで使える。即興で錬成したアダマンタイトの短剣を移動した先の迷宮の一部に差し込む。

 すると、なんという事でしょう。迷宮の権限に介入できるではありませんか……。本当にこういう魔道具を考えるヤツって、どんな気持ちでこういうせこい魔道具を作るんだろうね。あんまり理解ができない。この行動のおかげで、ユミルの迷宮の魔素板に迷宮内の映像が映し出されているはず。普通なら阻害を受けて繋がらない念話魔法もちゃんとつながる。ユミルに画面に見えるように手を振った直後に、僕は完全気配遮断の外套を着込む。僕のスキルの完全気配遮断は、僕の意志である程度のオンオフができる。けど、この外套を着込むと、迷宮の中では僕の存在は感知できなくなるんだよね。あと真後ろに居るブラックナイト号にも同じ装備を着せているので見えない。


「一応おとーさん中心に映るように設定してあるから様子は解るけど、おとーさんが見えないから不思議」

「彼のあの外套は反則だと思う。しかも、いつもの人姿じゃなくて蜥蜴姿だから、余程気配に敏感じゃないと解らないんじゃないかな? ガトール君は見えてる?」

「否、黒龍の気配、消失。我には、見えぬ」

「あいつってホントに何もんなんだろ~な。龍殺剣(ドラゴンキラー)を冷や汗一つ流さずに持って来たってこたー龍ではね~な」

「魔人と……クロ殿は言っていた。しかし、魔人としても規格外過ぎる。すべての龍に言伝る必要があるな。あの存在と敵対してはならぬと」

「それは前からしてますよ。神代龍族はその意見で纏まってます。その内、血気盛んなおバカ以外は臣従するとおもいますよ」


 トラップは上を通り抜けても作動せず、疑似魔物も足元を抜けて回避。てってけて~っと走り抜けていく。その後ろをポテポテついてくるミニサイズブラックナイト号。もうピクニックだ。おそらく魔素板には僕の姿は映らないだろうけど、僕を中心になるように映像は動いているはず。あっち側にだけ『今ここ!↓』みたいなアイコン出ないかね。そうしないとあんまりおもしろくないと思う。絵的にもネタ的にも。

 構造はちょっと複雑な獣人国にあったグランデール城って感じだね。攻め込まれたことは解っているから、敵さんを増員しているけど僕が見つからないから攻め入る事もできないので困惑している頃だろう。グランデール城では王家の緊急避難用の秘密の抜け道だったけど、これは宝物庫を守る道って感じで奥に行くに従い罠も増える。……作動しないから設置してある意味ないけどね。

 迷宮のトラップって言うのは意外と融通が利かないところがある。トラップ毎に条件が事細かに決められていて、なかなか発動しないんだよね。例えば今僕が走り抜けた『落とし穴』。これは一定重量かスイッチを踏まないと作動しない。場合によっては赤外線センサーとか、存在の感知とか……カスタマイズはいろいろあるけど。この外套来て蜥蜴のサイズだと大概のトラップが無意味なんだよね。迷宮の罠って基本的に人間族基準のトラップだから。……転移魔法でモンスターハウスに送られる罠も、魔素波完全遮断が施されているので。どのトラップも発動しませんね~。


「うん。これはお茶の間の娯楽としていいな。人間の迷宮を抜ける蜥蜴の勇者。子供用の娯楽としては最高だろう」

「確かに。ギル君はそういうのに興味あるの?」

「僕の子はまだ幼いので、こういうの好きなんだよ」

「あ~。ウチの下の子も幼いからいいかもね~。ユミルちゃん。これって録画されてる?」

「モっチ~!!」


 想定していたよりも長い通路だったけど、最後は無理やりククリ刀で宝物庫の扉を……。あ、この剣使えるかな? 僕は一応修理した例の剣を取り出して掲げた。蜥蜴サイズでも魔人なんで、こういう事もできるんですよ~、凄いっしょ? で、思った通り開きました。敵さんも検知してワラワラ来るけど、どこにも何にもいない。ホラー過ぎるよね。

 ここまで順風満帆過ぎて怖いくらいだ。そのまま中に入って扉を閉めてしまう。魔法の登山鞄の吸引機能で金銀財宝や偉物(レガリア)などの諸々を全部吸い込む。これどういう風に見えるか凄く気になる。ユミル録画してたりしないかな? ……と、そんなことより、先程の聖剣をもう一度取り出して、奥の迷宮核のあるだろう主の居室にレッツゴー。生きた迷宮核って吸えるのかな? 時空魔法だと生きている物は吸えないんだよね。吸えないことはないんだけど、吸うと殺しちゃうって言うね。魚を〆る時には便利だけど。

 迷宮核は一応括りとしては魔物だ。鉱石系の器物魔物のゴーレム系は、ゴーレム核のみ残って他は吸える。なら、迷宮核は?

 物は試しと、……吸えちゃったよ。そんで取り出しても光ってる。うん。……という事は生きてる。なら、このままもって帰りましょうか。お持ち帰りです。向こうでどうするか考えよ。どの道、迷宮から迷宮核が取り出されると迷宮は機能を停止する。ここの迷宮が全部停止してしまえば、この国がどうなるかなんてわかりきってるからね~。じゃ、ちゃっちゃとかえろうかな~。てってけて~っと。


 ~=~


「ってなわけで、帰還しました」

「おう。もう何もいわね~よ。お前さんを敵に回したらやべーことだけは解った」

「そうだね~。さすがに恐ろしいね。あの装備は」

「我が義息よ。娘達とのよしみ、裏切らぬよう頼む」

「僕も娘の1人を差し出した方がいいですかね~……」

「おかえり~。さすがおとーさん。すっごいね~」


 純粋に賞賛してくれたのはユミルだけだった。気持ちは解るけどね。なので、皆さん用に隠密の外套をオーダーメイドしてプレゼントするのを約束した。あの外套、いつも隠密にしか使わないけど、シックなデザインで結構かっこいい。

 ごついちょい悪オヤジなヴォルカニアスさんなんかは、マフィアのボス感があって似合うとおもう。アースさんはとある映画の溶鉱炉に消えて行った人みたいに、引き締まったイケオジになると思う。お爺さんな見た目のガトールさんは、シルクハットを被ればそれこそお似合い。ベルトールさんは甘いマスクも相まって普通にイケメン度上がるだろうし。ちょっと猫背君で細身なギルさんはスパイ映画に出てきそうな感じが凄く似合うと思う。……残念ながらユミルと僕が外套着て並ぶと、子供が雨合羽着ているようにしか見えないのが悲しい。

 そんでもって、ユミルとここに住み着いている氷龍の一族の皆さんには、防衛は固くしておくように頼んだ。聖剣技を持った聖剣持ちでも居なければここを簡単に攻略はできないと思うけど、ユミルはまだ戦闘経験が少ない。指揮の経験もあまりない。緊急事態となるならば僕がここに来るよりガイガルト翁に相談する方がいいだろう。僕からも帰りにお願いしておくとしようかな。


 ~=~


「それで、生きてる迷宮核って吸収できると思う?」

「やってみないと解らないけど、できるんじゃない? ノエラはできるみたいな事言ってるし」

「できるの?」

「ちょーだい!」


 恐ろしいことにこの娘、おやつ感覚で迷宮核を吸収した。特に成長した感じはないけれど、僕らの位階が上昇し、エリアナに『秘奥技能(レジェンドスキル)』が解放されるとのことで、ちょっと気を付けておかなければならない。この前のエリアナやセリアナさんのあの変化みたいなことが起こるかもしれないからね。……それから、なんでか今回の『秘奥技能』は僕らにも開放(アクティベート)されるらしいし。僕、凄く嫌な予感がするから。

 それからお約束通りに僕の隠密の外套を模したヤツを、各々の要望に合わせてチューンした物をプレゼントした。

 僕のようにスパイアクションを好んだのはギルさんだけで、その他の皆さんは隠蔽系のスキルはとくに必要がないとのこと……。ヴォルカニアスさんの物とアースさんの物は中にミスリルの繊維の生地を合わせ、物理・魔法共に絶大な防御を持つゴツめのイケオジ外套にした。ベルトールさんは外套の機能は隠蔽から魔素吸引効率化を実現。結構苦労しましたとも。それにハンドガンがお気に召したらしいので、彼の手にあったUSP-cと魔素充填式のマガジンをプレゼントしてある。ベルトールさんは意外と華奢で、魔導師であるのでこちらを伸ばすことにしたのだ。ガトールさんの場合は外套の内側にミスリル繊維を編み込みつつも、ヴォルカニアスさんやアースさん程ごつくしていない。外観は最初のデザインと大差ないが、ダンディーなステッキに隠した仕込み刀がカッコいい。葉巻やパイプが好きらしいので、吹き矢仕込みのパイプをあげた。最後のギルさんは僕の物とほとんど同じ。ただ、彼様にチューンしたのは海中でも抵抗なく着て居られる魔法陣を付与しておいた。いたく外套を気に入ったらしいので。


「ねぇ、最近クロのあの服みたいなのを来た人をたくさん見るんだけど」

「あ~、うん。古龍のパパさんズに僕の外套と同じデザインのをプレゼントしたら……。なんかデザインだけ模倣したヤツが流行したみたい。服飾店にも許可出してるから問題はないよ」


 意外にもあの外套が流行ったのは種族問わず老齢の男性陣と、20代中盤から40代後半くらいまでの外観の女性だった。男性の方は予想していた層より少し後ろ目だし、女性に流行ったのはかなり意外だったんだよね。その理由がなんとジュネだった。何と言うか、龍族って言うのはボンキュッボンの外観が多いんだけど、ジュネはその中で異色のモデル体型。スレンダーで高身長な彼女に女性用に窄めた外套は憧れの的となり、貴族のご婦人の外出着として大人気なのだ。

 まぁ、趣味はいろいろだけどね。

 こうして僕の異世界スパイアクションは別の方面に影響を出すこととなる。もう一つあるんだよ……。このエリアナ女王国に大きな影響を出しつつある物が。


 ~=~


・成長記録→経過

クロ

オス 生後170日~175日

主人 エリアナ・ファンテール

身長130㎝

全長17㎝……身長12㎝

取得称号

~省略~


取得スキル

~省略~


 ~=~

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