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豊穣の迷宮での会合

 キールです。ナレーションは初めてなので緊張してます。今日はクロさんが他のお仕事で忙しいようなので、『豊穣の迷宮』に居る少数民族の妻代表での会合をする日にしました。何故か、スルちゃんがしれっと参加しているのですが、誰も口にしません。気にしたら負けなんです。

 この『豊穣の迷宮』の少数民族には私達ドワーフと農民系の小人族、ハーフフットが居ます。他は妖精族だったり龍族、獣人族です。今日はその中でスルちゃん含めた12人でのお話となります。

 今日の議題はドワーフ族、ハーフフット族の両種族と最近本格的に移入した神代龍族の樹龍族からお一人が嫁入りするとのことで、そのコキアさんも交えてのお話です。数日前にセリアナ様からのお話があり、個々人の命を守るために各種族から5人は嫁を出すことにしようという提案があったのです。私はもろ手を挙げて賛成しました。なので数少ない同年代のドワーフの女の子から志願者を募り、セリアナ様の審査を見事通過。めでたく今日の顔見せも兼ねた作戦会議に持ち込みました。ハーフフット代表のトリアも4人の追加を連れてここに来ています。同じ迷宮に住んでいますが、実はあまりハーフフットとは出会う事はないんです。なので親しいかと言うと微妙なんですけど。最後に樹龍のコキアさんが挨拶をしました。


「じゃ、作戦会議しよう。ここからはスルが仕切る」

「よ、よろしくね」

「よろしくお願いいたします」

「お願い」


 スルちゃんの作戦は単純明快です。樹龍族のコキアさんを最初に投入。あとは体力のある順に投入。以上。予想できた質問がコキアさんから出ます。その作戦の意図は? と。

 あまり開けっ広げに言うのは恥ずかしいですが、クロさんは超絶倫です。たぶん、私1人でお相手したら確実に死にます。30分も耐えられず冗談抜きで擦り切れて燃え尽きて死にます。この際精力とかその辺は抜きに言うと、クロさんの一番恐ろしいところは無限の体力に有りますからね。超越種の龍族ですらぼろ雑巾のようになるあの体力は毎度恐怖を覚えます。鍛冶作業の際は凄く心強いのですけど、夜に相対した時は死を覚悟するものです。

 それを包み隠さずコキアさんにお伝えしました。

 コキアさんは外見はエルフのようですが、体のあちこちから枝のようなものが出ています。それが樹龍族の人化状態だそうで。私もトリアも知っていますが、樹妖精や樹龍は超絶倫種族というか、サキュバスもかくやという種族と文献でみました。……そういえば、この領地にはまだ亜人のサキュバスは居ませんね。どこかで呼び込むべきかもしれません。

 ……話がそれましたね。そのコキアさんですが、何故か身震いをし始めました。まだコキアさんは寝所に上がってはないはずですが。


「ち、ちがう。族長から聞いてる。あの黒い龍にだけは敵対してはいけないと」

「黒い龍? ああ、クロさんのことですね。クロさんは敵対しなければとても優しいですよ? 夜以外は」

「そ、そう……。確かに、クロさん?は栄養豊富そう。たっぷり吸える」


 やはり樹龍族はサキュバスか何かなのではないでしょうか?

 そこにトリアが初めて口を開き、何かを机の上に置きました。実は『豊穣の迷宮』は希少種族が集まる率が高いのです。それ用の薬だと言っています。ドワーフは希少とまでは言いませんが、あまり大きなコミュニティを作らないので数はそれ程多くありません。ハーフフットは古い時代に人族に迫害された歴史のある種族であるので、細々と辺境で隠れ住まう種族。必然的に数は少ない。樹龍は……龍族自体が個体数が少ないはずです。

 獣人族もそうですね。モデルを鑑みなければ確かに数は多いですが、モデル毎の数はそうでもありません。特にホノカさんのような妖獣や聖獣の血を引く個体はどんどん減っているとも聞きます。そういう特殊な血筋は優先的にクロさんと番うように勧められているんです。

 魔人の学識で確定している点は、彼らが超越種であることと異種族と、交わった際に生まれるのは相手方の種族に限定される。魔人と魔人が交わらなければ魔人は生まれない。さらに魔人と交わった種族の個体はとても精強な子として生まれるという。これは大昔の学術書や生き証人のエリーカさんの証言からも確証が得られています。


「ヨルムンガンドさんからもらいました」

「という事は薬品ですね」

「らしいです。クロ様の寝室に行く前に、一緒に用意した説明書の通りに希釈して飲むように……とのことです」

「? どういう薬?」

「あ~、まぁここからは実体験した方が早いかとは思いますが……」


 私やトリアは既に体験しているのでよくわかっているのですが、クロさんの体力は本当に無尽蔵。1対1では確実に負けますし、下手をすればベッドの上で情死というちょっと悲しい死を迎える可能性も……。なので娘様であるエリアナ様のその時を案じてか、セリアナ様が私達を生贄に捧げることで、戦闘力の均衡を図ろうとしているのです。それでも今のところ均衡がとられている雰囲気はないです。最近ではツェーヴェ様を含めた初期のメンバーや、幸運にも子宝に恵まれた皆さんが妊娠しています。その初期組が出産するまでは仕事が回らなくなることを危惧し、妊娠者を増やさない方向で話がまとまっています。

 それでも妻となった多くの子女がクロさんの寝室へ詰めかけます。今は比較的若いメンバーが多く。今の内に慣れておこうというメンバーですね。私もその1人です。

 ヨルムンガンド様が製作してくれている避妊薬で妊娠こそしませんが、やはり人数が増えても体がもちません。最近では私達が寝所に上がる日にはほとんどの子女が集まっていますが、人数が多かろうと少なかろうと、スタミナで圧し負けているんですよね。それこそ卑猥な話ですがテクニックだとか相性だとか関係なく力技なんです。


「ふーむ。それは手ごわそう。私達も増やしてもいいのかな?」

「それはセリアナ様に許可を取らないとどうにも」

「……セリアナ? ……あぁ、あのロリ法務長官?」

「あまりその言い方は良くないですが、そうですね。かなり幼い外観ですけど、あれでエリアナ様のお母様ですから」

「驚き……。女体の神秘ね」


 まぁ、確かにそうですね。今では迷宮の位階進化に合わせて獣人や他の種族の形質を使える様ですが、根本は人間のはずです。セリアナ様は人間族の肉体でエリアナ様のご年齢のことを考えると、18歳の時にエリアナ様を産んでいるはずです。ハーマさんから聞いていますが、セリアナ様は10歳の頃から容姿が一切変わらないらしいです。

 ドワーフの私やハーフフットのトリアと横並びになっても、あのお方は何の違和感もないですからね。

 最近ではエリアナ様の方が発育が良くて、身長も追い抜いてしまったのでエリアナ様とセリアナ様とが逆転して覚えられていたりもするという……。この辺りはあまり触れないようにした方がいいと思います。トリアがヨルムンガンド様からもらった薬の詳細は、体力の一時的な超強化と、興奮作用とのことです。あとは多少の媚薬効果があり、痛みを感じにくくする効能を少し強めにしたらしい。小柄な種族だと初エンカウントは本当につらいのでありがたいと思いますよ。

 樹龍のコキアさんもしきりに数を増やすか増やさないかを考え込んでいるようですから、これなら何とかなりそうですね。

 そこで私は顔が広いだろう龍族のコキアさんに、サキュバス族のことを聞いてみました。サキュバス族は人間に迫害されている面もありますが、一定の需要がある種族なので飼い殺しにされているという複雑な事情を持つ種族です。なので昔からの伝統を重んじるサキュバスの一族は僻地に隠れ住んでいるようです。


「知ってる。そうね……あの子達に声かけるのもいいかも。夜側の亜人を集めたら移入を認めてくれるかな?」

「夜側?」

「うん。サキュバスは昼間も特に問題ないけど、ヴァンパイアとかの日光に弱い種族の事。他にもアンデッドみたいでアンデッドじゃない種族、ここでいう魔族の括りがいくつか知り合いに居る。最近は人の迫害が厳しくて、私達が森の奥で匿ってる」

「セリアナ様やエリアナ様に相談しないとどうにもなりませんが、迷宮領ならば環境を整えることは容易かと。しかも、その口ぶりから始祖も居ますよね?」

「もち、居る」

「それなら早めに言うといいかもしれません」


 その後、『豊穣の迷宮』で新たに加わったメンバーの調整も終わったので、私とトリアでセリアナ様に面会するアポイントメントを取りました。意外とすんなりと会えることになり、法務長官の執務室へ。このお城は鎧の博物館なのかという程たくさんのリビングアーマー系のアンデッドがうろうろしています。正直怖いです。

 法務長官室前にも白金色のリビングアーマーが居て、彼ら?彼女ら?は敬礼の後、扉をノック。セリアナ様のお返事の後に扉を開けて私達三人を入れてくれました。そのまま後ろについています。

 セリアナ様から少しの世間話と樹龍の長へコキアさんの派遣のお礼を言いたい旨をセリアナさんは冒頭に告げています。コキアさんとしては戦力不足ならまだ数人呼べるからよければ呼ぶと繋ぐ。セリアナ様も嬉しそうです。そして、コキアさんというか樹龍全体で匿っている『夜族』の皆さんの話題に触れました。最近の人族が繁栄している方面は政情不安や亜人排斥が進みいろいろな種族が追いやられている。先ほど話した夜側の種族以外にもそれなりに居るので、まだ話してみないと解らないが移入の受け入れをこちらはするつもりはあるか? というスタンスでコキアさんはゆったりとしたテンポでセリアナ様に問う。セリアナ様もサキュバスやヴァンパイアの辺りで凄く食いついてきました。相手が移入を望むなら迷宮の空はあるので移入は受け入れることはできる。しかし、相手の素行などもいろいろと調べる必要があるので、全て丸々おっけーとはいかないようです。


「それでもかまわない。少しでも受け入れ可能なら私達も安心できる」

「それなら今度エリアナも介して話し合いましょう。よろしくね。コキアちゃん」

「ん、よろしくお願いする」


 ~=~


・成長記録→経過

クロ

オス 生後165日~170日

主人 エリアナ・ファンテール

身長130㎝

全長17㎝……身長12㎝

取得称号

~省略~


取得スキル

~省略~


 ~=~

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