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人魚族とスキュラ族の会合

 今日は私、イレーヌのナレーションでお送りいたしま~す。

 クロ様は毎日お忙しく働いていらっしゃるので、たまにはお休みが必要だと思うんですよ。そのお休みには1日中私に鞭を打っていただいて…あはんっ♡

 こほん。今日は私とセリアナ様から許可を得た人魚族の4名の新メンバーと、スキュラ族のユーリアが同じ経緯で連れて来た4名と顔合わせです。あと、最近問題を起こしてクロ様のサンドバッグにされている、リヴァイアサンの一族の皆さんで会合をします。妖精族は今は居住区で妖精族の会合中なので不参加です……。前にもこんなことありましたね。妖精族との予定合わせは難しいです。

 人魚の代表は私、イレーヌです。一応代表の真ん中の娘ですよ。スキュラ族の代表はユーリア。リヴァイアサン族の代表は問題を起こしたナタロークさんです。ナタロークさんは連日クロ様の武芸の鍛練に付き合わされて完全に疲労困憊の様相。いえ、一族皆さんそうですね。ここに居るリヴァイアサンという種族は、海の秩序を力で支える神代龍族のはずなのですが? クロ様が『黒龍』であるというお話の信憑性がグンと増しましたね。


「では、水中のお嫁さん会議を開催いたしますッ!」

「イレーヌ、張り切るのはいいけど、どのみち作戦は一つよ?」

「えッ?」

「ナタロークさん達を前衛にして私達は後衛。さすがのクロ様でも手数を稼げば疲弊すると思うし」


 チっチっチっ……。解ってませんね~、ユーリアは。私もユーリアも水中の種族ですが特技が違います。私や人魚は魔法に長け、水中での薬剤錬成により生き抜いてきた種族です。なお、海の人魚ともまた派閥が違いますからね? ユーリアはスキュラ族。スキュラ族はタコ足の人魚という感じの種族です。人魚と比べると近接戦に長けていて、力の上では私達では敵いません。その上で魔法もそれなりに使うという万能種族ですが……。スキュラ族はあまり頭が良くないのです。いえ、頭が悪いと言うのは間違いですね。考え方が短絡的なんです。

 これまでのクロ様ですが、全員を打ち破っても健在でした。

 自他ともに認めるドМの私ですから判ります。クロ様は本当に底なしなんですよ。たぶん、リヴァイアサンの現状全員をぶつけたとしても……。いいえ、龍族の皆さんを全員ぶつけた上で、獣人族の皆さんをぶつけても勝てません。我々が押しつぶされます。そういうお方なんです。

 まぁ、見ていてとても興奮するので、ユーリアの考える作戦自体には賛成しておきます。私、自分が打たれるのも好きですけど、誰かが嬲られてるのを見るのも大好きなんです。あんッ♡


「それから、これは人魚族とスキュラ族限定ですけど、ヨルムンガンド様からこれまでのお薬の改良版を頂けました。人化薬の強化版です」

「あ~、確かこれまでの人化薬だと完全に人化はできてなくて、いくらクロ様のでも妊娠率がかなり低かったって話ね」

「そうそう。どういう方法かは企業秘密が多いけど、それ用の濃縮液です。使う前に私達が適度に希釈します」

「お願いするわ。それより……ナタロークさん? 大丈夫?」

「大丈夫に見えるかしら? 私、喧嘩には自信があったのに、ここに来て自信を失ったわ……。何なのあの子。私が手も足も出ないなんて……」


 必要な話の最中ではありますが、こういう息抜きは必要です。私はお茶の準備に立ち上がります。たぶん長くなりますから。

 リヴァイアサン族は神代龍族であり、海神の守護龍の扱いでもあります。その強大な力を持つ龍族が全く手も足も出ず、フルボッコにされたらしいです。さすがの私でも悪寒を感じるお話でした。ナタロークさんはメリアさんと同等の力を持っていて、近接戦に関しては勝るとも劣らない実力者として龍族間でも有名だったらしい。それがいくら人間形態で陸上という不利な立地でとはいえ、反応すらできずに一本背負いで地面に頭から埋め込まれたらしいです。それからその他のリヴァイアサンのメンバーと2対1、3対1、4対1と数を増やした。最終的にメリアさん含めて12対1でも3分と経たずに負けたとのこと。

 しかもすっごく痛いらしい。羨ましい。

 最初の一本背負いや寝技の時はいいのだけど、彼のあらゆる打撃には高密度の魔素が乗っていた。それが皆さんの体に衝突する瞬間に放出されて威力が数倍に膨れ上がる。通常の身体強化魔法や魔法格闘術とは一線を画する技を息も乱さず平然と……。

 私はちょっと一撃もらってみたいという欲望が顔を出しましたが、直ぐに正気に戻りました。龍族は人化していても防御力は龍族の時とほとんど同等。その龍族の皆さんがボロボロになる攻撃を受ければ……私、破裂するのでは?


「まぁ、クロ様ですからね。あのツェーヴェ様も今では勝てないらしいですし」

「……ツェーヴェって、あの狂犬ツェーヴェ? 確かこの辺りの魔境の主をしていて、蛟の主名を得てるわよね?」

「はい。ツェーヴェさんはエリアナ様に次ぐ、妻位二位のこの国のトップのお一人ですよ。クロ様の妻の1人です」

「……もしかして、私達ってその中に加えられてるの?」

「何を今更。以前にメリア様とご一緒に昇天しかけたらしいじゃないですか~。知ってますよ~」


 ナタロークさんと10人のリヴァイアサンの皆さんは急激に顔を青くし、お茶菓子を振るえる手でつまんで口に運びます。ああ、クロ様と初エンカウントされた皆さんがされる共通の表情ですね~。

 ツェーヴェ様からそういう類の書籍を陸でお借りして読んだのですけど、これまでにも人族と魔人が恋に落ちるロマンスはあったそうです。しかし、そのお話は全部悲恋で終わります。男性が魔人でも女性が魔人でもです。先に言っておきますが、この類の書籍は基本的に全て成人向けです。グロテスクな表現も性的な表現も満載なので、成人してない方は絶対に見ないでくださいね。

 まぁ、オブラートに包んで言えば、魔人が超越しすぎていてお相手が死んでしまうんですよ。そのケースはさまざまですけど、あまり幸せとは言えない死別をしてしまいます。そこで魔人が狂ってしまい、世界が荒れるような被害が出た末に龍族に討伐されてしまうのです。

 クロ様の場合は最初から番っている人数が二桁だったとのことで、今のところ死者はでていないとのことです。私は三途の川を渡りかけましたが、ヨルムンガンド様のエリクサーでギリギリ蘇生したらしいですよ。その時の記憶はありませんが、とても激しい猛攻に晒された気はします。あと、凄く幸せだった気も……。記憶がないが恨めしいです。


「経験のない子は解らないと思うから、先にナタロークさん達リヴァイアサンの皆さんがどうなるかちゃんと見ておきなさいね。……見たところでもう逃げられないけど」

「志願しちゃいましたからね~。これが半分強制とかならまだ逃げがきいたんでしょうけど」

「そうね~……。私はここに来てプライドもなにもかもぶっ壊されたもの……。本当の意味でもうお嫁にいけないわ」

「え? このままクロ様の妻になればいいのでは?」

「……私達は弁償の為に情婦をしているのよ? それが嫁入りなんて許されるわけないじゃない」


 ナタロークさんは最近中枢の思惑に触れたので知らないのでしょうね。

 クロ様が受け入れた段階で妻なんです。クロ様はなんだかんだ真面目な人だと思います。あの方のご身分でお力があれば100とは言わず1000の情婦を持っても何の問題もありませんから。クロ様は研究者としてもお金を稼いでいらっしゃるので、富も十分。あのちょっと生意気なのに甘さのあるマスクに騙される乙女は後を絶ちません。富、名声、力の全てが揃っているのに、あの方はそれを振りかざして次を求めないという特殊な存在と言えるでしょう。

 人間ならば土地を求めて戦を引き起こしたり、金品を集めてみたり、女や酒におぼれるなんて言う話は多いです。むしろ昔から人族はそうして栄枯盛衰の波を引き起こす迷惑な種族だった訳ですが。

 加えてクロ様は……その、夜の戦闘力も尋常ではないので本当に1000人くらいお相手が居てもおかしくないはずなんですけど……。驚くことにクロ様は特にそういう欲求が強くないのです。私なんか彼を妄想して日になんど……げふんげふん。私のことはいいですが、クロ様は生物としてとても特殊なんです。

 なので、ナタロークさんも直ぐにわかりますよ。貴女も直ぐにこちら側に来ることになります。


「いや、あのね? イレーヌみたいな真正のドМは珍しいと思うわよ? 夜の暴走モードのクロ様ですら貴女の求めるプレイにはドン引きしてたから」

「え? ホントですか? それ」

「嘘言ってどうするのよ……。というか、アブノーマル同盟を組むのはいいけど、他の人魚の子を巻き込むのはやめてあげなよ? あと、私達を巻き込むのも。私、それで一度死にかけたことは忘れてないから」


 ……ユーリアは知らない。セリアナさんに推薦したこの子達全員が私と同じ属性の子達であると。

 ユーリアは根に持っているけれど、アレは事故のような物なのでどうしようもない。というか、私達はどんなに頑張っても超越種の皆さんとは違うんです。体力や防御力、魔力にしても精力の面でもどう考えても劣っていますから。数を揃えて何とか耐え凌ぐ以外に生き永らえる方法はないのですよ。

 まぁ、私や同志のメリアさん、最近では輝龍のブライトさんもこちらに傾いてきてます。……それに一番以外なのですが、実はツェーヴェ様が私達のような性癖の筆頭であるんですよね~。それから九尾族のホノカさんとか。実はこのメンバーでも別の会合を持っています。詳しくは言えません。乙女の秘密ですから。


「なら、私誰かにリヴァイアサンを引き継がせないといけないんだけど」

「その手続きはすでにメリアさんがしたそうですよ? 今回は特殊な案件ですから」

「メリア姉さんも変わったわね~。あんなに手が早くてなんでも壊す暴れん坊が……今では事務仕事を大人しくするんだもの」

「それもクロ様からの調教の賜物かと。クロ様は罰を与える時は容赦ないので」

「……彼にだけは逆らわないようにしとくわ」


 この後すぐにナタロークさんは私達の『ドМ達の集い』へ自発的に参加するんですけどね。ふふふっ♡


 ~=~


・成長記録→経過

クロ

オス 生後165日~170日

主人 エリアナ・ファンテール

身長130㎝

全長17㎝……身長12㎝

取得称号

~省略~


取得スキル

~省略~


 ~=~


ナタローク=リヴァイアサン

メス 18000歳付近

身長160㎝

神代龍族派生リヴァイアサン族

 酒飲み一族のはねっかえり娘。行き遅れとしても有名で未だ未婚。飲酒によるトラブルも多く、ついに『水源の迷宮』でヴュッカによりぼろ雑巾にされてお縄に付いた。現在は神代龍族の外聞の問題と、罪の軽さから労役囚人刑ではなく、司法取引の上で秘密裏に情婦として受け渡された。自業自得である。現在はクロの格闘術の訓練相手として主に活躍中。サンドバッグとして……。これによりドМとして目覚めたとか目覚めないとか?

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