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空き迷宮だった場所の現状

 ほ~い。クロです。今日は特に用事はないんだけど、あまり僕個人と交流のない属性妖精族の居住区へと足を運んでいる。そもそも結構前から居る属性妖精族。その属性妖精族とは何ぞや? という人も多いと思う。それ以前に妖精族の来歴もあいまいだから一般人からすると精霊なんかと混同されていると思うし。

 妖精族とは……。妖精族とは文明を持つ生物の生活圏で動く魔素が、魔力として結びつく際に起きる歪が知性を持った存在。それ故に多くが人型をしており、数は少ないが動物型も存在している。絶対数が少なく、人族に迫害されることが増えてしまい、人里を去って独自の生活環を得て長い種族。精霊族は妖精族の上位種と言われているが、その進化を直接見た者はいない。……らしい。僕は実例を見てるけど。


「今日はすまないね。エリーカ」

「いいよ~。たまには旦那様とデートしとかないと忘れられちゃいそうだし」

「いや、僕が妻を忘れることはないよ」

「どうだか~。どんどん奥さん増えてるでしょ~?」


 今回の同行者はエリーカだ。エリーカは元は妖精で最終的に魔人になった存在という。精霊族ではなく魔人に進化したのだ。そのことを尋ねると、妖精族が進化する際に重要なのは体に取り込む氣なのだそうだ。その氣が淀んでいたり、邪な思念を含む割合が多いと魔人になるという。ただ、魔人になりたいと願っても魔人になるというので、そこは選択次第という考え方でいいらしい。エリーカの場合は研究心が強すぎた結果だろう。

 そのエリーカと連れ立って歩いていると、先に来ていたエルンと10数名の上位妖精族が並んでいる。

 妖精族は派生種が多く、これと種類を限定すると頭が混乱してくるほど居るという。なので、属性妖精族は一塊で会談することにしたのだ。ここは属性妖精族の多くが住まう居住区。妖精族は基本的に個人の自由主義で、村落に必ず所属しないといけないという事はない。他の迷宮に好き勝手に住んでいる妖精族は多いし、場合によっては勝手に他人の家に転がり込んで働いている妖精とかも居る。

 我が家を管理してくれている今では家精霊のエルンもその括りの1人だ。家に憑く妖精にもちゃんとコミュニティがあるのだが、エルンは僕の妻である方が重要とのことで我が家に住み込んでいる。


「ご足労ありがとうございます。旦那様。ほとんどの代表は揃いました」

「やっぱり全員は揃わない?」

「難しいところがありますね。妖精や精霊は自然魔素から生まれているので、自由性を重んじます。あまり縛るとへそを曲げかねないので」

「了解。じゃ、問題や要望を聞いて行こうか」


 妖精族は属性を持とうが持たなかろうが、基本的に働き者だ。人が魔法を使ったり、活動によって漏れ出す吸入魔素を吸収して生きているので、その周囲に居る方が効率がいいのだろう。あと、働くことが好きという事もある。

 表立って働いている妖精族が優先的に僕へ陳情とか嘆願と言える文言を飛ばして来る。

 最初に飛んできたのは羽妖精族からだ。羽妖精は半妖精族という括りになる種族で、妖精と実態のある何らかの種族のハーフだ。彼女らの基本業務は郵便業務である。機密性のある部署には居ないが、迷宮間の情報交換などにはとても重要な役割を持っている。念話魔法は高等魔法なので、誰でも使える訳ではないからね。


「つきましては、エルン殿のように私の娘も……」


 一族から精霊が出ることは妖精族としてはとても名誉なことらしい。僕との繋がりも強くなるので一石二鳥という事だろう。その辺は当人との関係性も重要なのでお茶を濁す。羽妖精は意外と大柄で120㎝くらいだ。外見が子供なのではなく、スケールがそのまま小さくなっただけ。妖精族に共通しているが美人である。羽妖精で僕の妻扱いなのはヴィレッタのはずだけど……。最近毎日遊びに来てますけどね。

 次は『豊穣の迷宮』に本拠地のある土妖精や土小人と呼ばれる種族だ。厳密には土妖精と土小人は違う。有機的な組成が強い土小人の方が人に近い半妖精である。ほとんど違いはないけどね。レレから鉱石の量を増やしてほしいのと、弟子を淹れる余裕が欲しいとのこと。それはゴードンさんと相談して欲しい。それから君も最近は『豊穣の迷宮』組でよく執務室に来るでしょ? あまりがっつかない。


「ヴュッカ様には申し上げているのですが、一向に改善されないのですよ」


 次は水妖精(ウンディーネ)族。外見は半透明で小さな人魚族。大きさは100㎝前後。それなりにばらつくし、不定形の種族なので大きさは自由自在。また、時間制限はあるけど人間の美女へ変身可能。

 水妖精族からの苦情はその美貌から、一定の客からの付き纏いが絶えないとのこと。それは問題なので、僕から防犯用の魔道具と有事の際には攻撃する許可も出しておく。妖精族は環境が合わねば力の弱い種族だが、ホームグラウンドではとても強い種族だ。あまりなめてかかると痛い目を見る。それから貴女のお嬢さんのウェディは寝室に毎日来てますから。むしろ控えるように言っていただきたい。

 その次に挙手したのは火妖精(イフリート)族。火妖精族はあちこちに散っているので、これと言って固定の仕事をしているとは言い難い。鍛冶場で日の温度を管理している者も居れば、厨房でフライパンを振るう者も居るし、魔道街灯の火属性魔素の量を調整したり、野営地のたいまつの管理をするとか。なんでもする。火のある所にはどこにでも居る存在と言っていい。下手をすると、各家庭の竈や魔導キッチンなどにも1人住み着いている可能性もある。

 その火妖精からの嘆願は火属性魔物『火蜥蜴(サラマンダー)』をここに定住する許可を出してほしいとのこと。別に自由に入ればいいと思う。これまでもいろんな妖精が勝手に住み着いてる感があるくらいだし。……そうもいかないのね? 火蜥蜴はけっこう獰猛でテリトリー意識が強いという。なので口が裂けても気軽に引き入れることができるとは言えない。……僕が脅そうか? という事で解決した。だから、貴女の娘も僕の工房に居着いてますので、時間の問題かと。


「紙作り産業の支援をもう少々拡張していただきたく。つきましては樹龍族とコンタクトをとりたく……」

「樹龍の皆さんなら結構前から『豊穣の迷宮』で踊ってますよ。その後は『水源の迷宮』で静かな打ち上げをしてますが?」

「わ、解りました。仲介をお願いします」


 さすがに神代龍族は妖精でも気おくれするらしい。樹妖精(ドリアド)族の居住区にはいろいろな植物系妖精が住んでいる。草や花など、個々人で名前に差がありはするが、妖精種の最上位形態は目の前に居るお色気お姉さん系の妖精だ。樹妖精は他の妖精と比べて大柄である。150㎝でも小さいくらい。それから皆さんボンキュッボンで、スタイルが凄く良い。この人の娘のツバキもとても包容力あふれる子だ。我が家の庭で花をリビングメイルと一緒に手入れをしてくれている。ボンキュッボンの女の子がオーバーオールと軍手、麦わら帽子姿なので凄く目立つ。

 この次は鉱石妖精(メタリア)族だ。体が光沢質なのに柔らかいというか、人の肉質と似ているという奇妙な種族である。この鉱石妖精族は『豊穣の迷宮』で宝石を探す探査役をしている種族だ。この種族は魔素結晶でのロストポジションを引き起こさないので、唯一魔素結晶を安全に掘り出せる種族。あの坑道に住んでいいかということだった。別にいいけど、他の種族を驚かさないように周知はして欲しい。

 ここからは新たに移入した妖精である。その挨拶という程度だ。

 光妖精(ウィスプライト)族と闇妖精(ダークベール)族。2種族でセットという妖精族で最近有名なここに移住してきたという。妖精族は居るだけでいい影響があるので問題なし。

 ここに住み着いたというか、ジオゼルグの縄張りに居住許可を求めに来た砂塵妖精(ジン)族。いや、ジオゼルグに勝手にお願いすればいいよ? あ、ジオゼルグから僕に言えと言われたと。ならおっけーで。


「これくらいかな?」

「ですね。属性妖精はこの辺りです」

「ってことは付喪妖精族がどんどん来ているんだね?」

「はい。一応私の方で管轄してますけれど、増えすぎて困っています」


 属性妖精という括りがあるならば、属性に関与しない妖精ももちろん居る。

 それがエルンの言う付喪妖精という種族だ。東方の島国では付喪神と言われるが、文化が違う故にこちらでは妖精族に分類されている。東方では神と括られているが、権能らしい権能もなく、属性妖精のように属性魔法も使えない。その外見も雑多というか……。物に憑く概念的な存在という事だ。その上位系が家妖精(ブラウニー)族、その上位種の家令妖精(シルキー)なのだ。

 付喪妖精は意志も弱く、家妖精に付き従い働く存在。多くは古い家具や道具に憑いている。なので、エルンに管理を任せているのだが……。ここ最近の迷宮の位階上昇に合わせ、家妖精族が次々と家令妖精へ進化しているのに合わせ、付喪妖精も家妖精へ昇華していると言う。正直、数が多すぎて個人管理は不可能な状態。その為に家令妖精の生え抜きを家精霊に進化させてほしいと……。

 いやいや、君の場合はオリハルコンの大樹が関係しているから位階進化しているが、他は無理じゃない?


「いえ、迷宮の位階進化と共に私も進化しています。私は家令精霊です」

「で、妖精から精霊を増やしたいと」

「はいッ♡ 私も妻友が多いのは嬉しいのです」


 今意味わからないワードがエルンの口から飛び出した。

 エルンが言うには同族の妻が多い種族の皆にあこがれていたらしい。特に多い龍族や魔人メンバーとまでは言わないけれど、一族1人と言わず一族5人くらいがいいと? 他の妖精族の代表や本人からも激しく頷かれる。それにこれまではそういう発想は生まれなかったけれど、これは種族差とみられてもおかしくないと畳みかけられた。

 そうなるとドワーフやハーフフット、人魚、スキュラなんかも増えるのか? 今更だとは思うんだけど、だからと言って気軽に増やし過ぎるのもどうかと思う……。まぁ、女性陣の疲労する姿もちょっと気の毒になりつつあるので、それくらいまでは許容しようではないか。だけど貸1ね。僕の要望も聞いてもらうから。


 ~=~


・成長記録→経過

クロ

オス 生後165日~170日

主人 エリアナ・ファンテール

身長130㎝

全長17㎝……身長12㎝

取得称号

~省略~


取得スキル

~省略~


 ~=~

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