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ノエラの豊穣の迷宮見学

 城の見学を終え、僕とノエラ、エルン、グリムヒルト、アンネリーゼで爆走魔道列車で『豊穣の迷宮』に向かう。向かうと言うか、トロッコから魔道列車にしたことで速さが段違いだから、五分くらいでつくんだよね。直ぐについて子供達は少し残念がっているが、ブラックナイト号に乗っかって楽し気に下車。

 ここは豊穣の迷宮。地上の段階から畑に包まれた豊かな地だ。何故かここの魔物は穏やかでここの住人と友好的だし、外から来る魔物を撃退してくれるくらい共生が進んでいる。

 そこの主は何でか僕が来ると察知するのが早い。娘のスルトが珍しく可愛らしい服装で走って来た。肩だしの七分袖にショートパンツ。動きやすさを追求している服装だが、いかにもスルトらしい服装と言えよう。そのスルトにノエラとグリムとアンネが殺到する。スルトも面倒見がいいから抱き寄せて撫でているね。そして、後ろから4人の少女があらわれる。その3人は僕より年上なんだけどさ。ドワーフのキール。焔龍のアグニアス。鉱石龍族のステン。岩石龍族のクリス。スルト曰く、休日に5人で『水源の迷宮』で服を買い込んできたらしい。


「いいじゃん。皆よく似合ってるよ」

「ほ、ホントですか?」

「キールも作業服以外の印象が薄かったけど、スカート姿も良いね。かわいいと思うよ」


 キールは人族より体格的に小柄なドワーフだ。でも、キールはドワーフの中では高身長で肉付きも柔らかい。そのキールは肩口を隠す膨らんだ袖が印象的なロングタイプのワンピース。作業着姿が印象深いけど、やっぱり女の子だね。服装で化ける。


「アグニアスも似合ってるよ。いつもそういう服装でもいいんじゃない?」

「い、いや、俺……に、にあって…る?」

「似合ってるよ。かわいいじゃないか」


 アグニアスは大人っぽい服装に、彼女の童顔が合わさりなんとも言えないギャップがいい。レリーフのガラを染めこまれているシャツにダメージジーンズ、一番いいのは竜革のジャケット。アグニアスのちょっと勝気な感じに映えている。


「ステンはいつも大人っぽい服装だけど、甘い感じのワンピースも良いね。明るい色合いも似合うじゃないか」

「そ、そうですか?」

「クリスも良いね。涼やかな感じのロングスカートに薄手のシルクジャケット。いつもダボっとした感じだけどそうやって細身のスタイルもいいね」

「あ、あり、がとう……」


 スルトにジト目を向けられているが、心当たりがないので困る。自分の奥さんを褒めるのは当然じゃない? そうやって言ってやると、大きくため息を吐かれた。そのスルトが指さす先には真っ赤になっている4人が居る。表情としてはとても可愛いが、ここで僕がまた何かを言うともっと大変になりそうなので笑顔でスルー。

 ここで空気を読んでか読まずか、ノエラとグリムとアンネが突撃。

 4人娘もほんわかしてくれたので、このままスルトを加えた5人でここの見学をする。豊穣の迷宮は調剤研究所が『紅宮』に移動してからは農耕と工芸に特化している。地上の食料生産系の施設はあまり面白くないけど、子供が好きそうな動きのある場所は下に多い。

 僕達がそこに行くと、ちょうど耐熱効果と防毒効果のあるマスクを着けて、インゴットを作っている土妖精(ノーム)族のレレが居た。妖精族は小柄。レレも例外ではなくスルトと同じくらいだから120㎝くらいだ。レレはわかり易く狼狽えて僕に挨拶するけど、キラキラした瞳で彼女を見るちびっこ達に気づいてびっくりしている。机の上にあるインゴットに興味深々だ。だがしかし、それは重いぞ。アダマンタイトだからね。


「はい、これで見やすい」

「よっこいせ」

「よっと」


 スルト、クリス、アグニアスがちびっこを抱き上げてインゴットを見せている。レレや土妖精の作りだすインゴットはとてもいい品質をしているんだよね。何に使うかも加味して作るくらいに魔力制御に長けているから、いつも使いやすい金属が使える。

 子供にはこのことは解らないが、レレの作るインゴットはこの『豊穣の迷宮』でも一部の者しか使えないくらいの高品質で希少品。5人の中ではスルトにしか使用の権限はないくらい貴重なんだよ。ちなみに部外者の僕にも使用の権限はないはずなんだけど、ここでゴードンさんやカレッサと作業することが多いから僕も良く触る。本当にいい仕事するよね。

 スルト以外の4人が膨れている。……一応レレも僕の奥さんなんだけどね。

 ちびっこにはここは危ないので、インゴットを見せて僕達も次の場所に向かう。僕もここの方が関わりがある。ドワーフのゴードンさんが可愛らしいワンピース姿の娘を見て亜然としてるよ。あ、やめてあげて、さすがに可哀そう。そんなに殴らないであげて……。ゴードンさんが正式にはここの管理者なんだけど、ドワーフ族の代表だからその方面での管理業務もあるからね。ほとんどキールが代表みたいなものなんだ。キールは魔槌の扱いに長けている。鍛造する時に最も有用な魔力を叩き込める魔道具のハンマーだ。ドワーフでもアレを扱えるのは一握りだと思う。ここに来る前からゴードンさんに鍛えられていたキールは、魔力を操る力に長けた魔人のスルトと同等の等級の品質を出せる。


「かっこいい」

「ね~。どわーふさんかっこいい」

「むきむき」


 ちびっこは武器とか製品よりもムキムキのお兄さんたちに興奮している。確かにドワーフの成人男性は凄くムッキムキだ。毎日槌を振るっているおかげで彼らの肉体は締まっている。酒の暴飲が無ければ本当に凄くいい人達なんだけどね。気のいいお兄さん達だから。

 ここのドワーフは大体3割くらい。残り7割は獣人と人族が半々くらい。獣人は純粋なパワーでの鍛造なので魔力の乗った武器は作れない。その代わり力だけはドワーフよりあるので、とても鋭く丈夫な刃の包丁やハサミを作ってくれる。それとは別に人族は鋸や特殊な形状の刃を作ることに長けている。細かい作業に関して獣人より優れているので、様々な工具の製作を請け負う事が多い。

 ここでは作っていないが、裏手にはキールやスルトなどが使う工房がある。奥では魔剣や……実は聖剣を作っているんだよ。備えあれば憂いなし。当代の剣聖はエリアナが正式にリリアとして任命したが、ハーマさんや……実は数人が剣聖技を持っていることが判明している。それも加味して作って密かにハーマさん含め、剣聖部隊を育成中なのだ。それに聖剣は簡単には作れない。キールとスルトが本気を出しても成功と言える作品は10本中1本ほど。それも代々受け継がれた聖剣に劣る。なかなかむつかしいのだ。


「次はここですか。エルフの工房ですね」

「ここは面白いものたくさんあるからな~」

「うん。ここで作られる道具は便利」

「そうだよね~。前の道具なんてもう使えない」


 カレッサがちょうど居たので簡単な作業を見せてもらっている。超簡単な魔道具だ。自動点灯の魔道具である。組みつけの精度で光の強さに多少影響するとは思うが、魔力さえあれば誰でも作れる。込める魔力もかなり低いから。しかし、先に言っておくけどキールやアグニアス、ステン、クリスの使う魔道具は口が裂けても簡単な魔道具ではない。今ウチのちびっこ三人がカレッサに見守られながらポン付けする照明系の魔道具とは数十段階レベルが違う。

 ここでは本来あのレベルの魔道具は作らない。たぶん、アレは他の魔道具に使う分の余剰分を即席で使ってくれているだけだ。

 カレッサのこういう粋なところは本当に年の功と言うか、年長だからできる気配りだろう。カレッサがお土産にその点灯魔道具を持たせ、そのまま僕やちびっこ、エルンと5人を案内してこの下にある鉱山区画へ向かう。先にカレッサは子供達へ迷子鈴の魔道具を付ける。アレがついていると一定以上離れるとうるさく鈴の音が響くようになっている便利グッズだ。ここ最近、いろんな迷宮でおめでたが続出してたし、以前から居る子供の迷子は懸案事項だった。それで毎回警備隊が出動するのは問題なので……。

 点灯魔道具を付けて3人が走って行くが、うるさく鈴の音が鳴り響く。そこにスルト、アグニアス、キールがダッシュして抱き上げ、捕獲。3人もそれほど暴れん坊でもないので大人しく捕まえられてくれた。そこで点灯魔道具を強制的にカレッサが消す魔法を使う。防犯上用意されている魔法だ。


「うわ~ッ!!」

「すっご~いッ!!」

「きれ~……」


 ホントにね。ここはいろいろな魔法石が輝く鉱山区画の1つ。たぶん、ここでは一番綺麗な場所だと思う。ここは地底湖に繋がっていて、湖面に反射していろいろは色の光が混ざり合う場所だ。ただ、ここはそれのせいで遭難者が出やすい場所でもある。魔法石のせいで方向感覚が狂わされるだけでなく、あちこちに光る魔法石は深部に入るだけ記憶を惑わす。通常の人族では道具なしには脱出は不可能。ここでよく遭難していたのはドワーフ族だったから助かっていたが、他の種族は危ない。

 なのであくまで浅いここまで。かわいい子供達も瞬発力のある女の子達に捕まえられて安全だし。

 『豊穣の迷宮』は上から下までいろいろな意味で盛りだくさんの場所だ。ここが工業と食料生産の中枢であるとこの子達が理解する必要はない。今はこの美しい坑道やムキムキなドワーフが居ること。金属の加工をしていること。美味しいごはんに……。温泉があることを知っていれば。

 僕は男なので男湯に入ります。数居る女性陣全員から『問題ないから混浴しよう』と言われるけど、倫理的にアウトなので。それからそういう桃色展開を許可するのは『王祖の迷宮』の大浴場だけだから。そうやって何とか抑え込んだ。娘三人だけなら許せるかもだけど、嫁さんとは言え年ごろの女の子がそういう発言は拙いとおもうんだけどな~……。こういう事言ってるからカレッサに怒られるんだろうけど、これも僕なので。開き直るにも時間はかかるんですよ~。


 ~=~


・成長記録→経過

クロ

オス 生後155日~160日

主人 エリアナ・ファンテール

身長130㎝

全長17㎝……身長12㎝

取得称号

~省略~


取得スキル

~省略~


 ~=~

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