ノエラの王祖の迷宮見学
どうも、僕です。クロです。ノエラの存在が周知された直後、僕は北方での異変とユミルの巨大な縄張りができた事。タケミカヅチの管理する『龍の領域』への拡張を報告した。それとその際に出会った大古龍に伝えられた事実を僕の奥さんにだけ伝えてある。……僕の奥さんの中に居る大古龍やツェーヴェは『知ってるよ!』みたいな表情だったのが解せない。
そんなこんなでノエラの生活をどうしようかと話していたら、ノエラは意外と1人で動けた。それもそうだ。迷宮核が僕らの知識を吸収しているんだから。僕やエリアナと直接触れ合う事で改めて知識を吸収し、生活に活かすことができた。しかし、行動や挙動は幼児のままなので監視というか様子見は必要だ。たまに派手に転ぶんだよね。そして大号泣。
ノエラは基本的にセリアナさんかエリアナの近くに居る。たまに僕の所に来るが、僕が仕事の話をしている時は絶対に近づいて来ない。僕に不都合がある時は近くに居ないと言うべきか? 数日は様子見で近くに居ようと考えていたが、かなり自立しているので僕は早々に仕事に戻ることとなった。
「ノエラ?」
「グリムヒルト! アンネリーゼ! エルン!」
この僕らの家で働きつつ、妻でもある家精霊のエルンと僕の娘の2人、グリムヒルトとアンネリーゼの三人とノエラは戯れていた。この屋敷の中は意外と言うか……必然と言うか。僕の奥さんが増えるとそれだけ部屋数が増える。40人も居れば40部屋は個人の部屋が必要となるもんね。それに合わせてツェーヴェの地下書庫を始め、カレッサの魔道具庫、エリーカの研究室など各自の趣味部屋や仕事部屋もある。それから応接室、ダンスホールと言う名の宴会ホール、食堂、客室、大浴場、僕の個人浴室、大寝室、僕の個人寝室などなど。
家令妖精から家精霊となったエルンの能力でこの家は常時綺麗。同じ能力を持つ家精霊の双子もお手伝いをしているらしい。加えて、何人も家令妖精や家妖精を従えているので、作業も早い。一番安心できた点としては、子供達がとても仲が良くて助かる。ただ、この子達は部屋のことを知り過ぎている気がする。
僕でも把握しきれていない奥さんズの私室を完全に言い当てるし、地下にある倉庫の中身とかもわかるらしい。エルンに聴いてみたら能力でそういう細かいことは全て分かるらしい。家の敷地内だったらどこで何をしているかもわかるとのこと。なので夜に自分も混ぜろと耳元で艶を込めた声を漏らされる。……そういう所は進化しなくていいんだけどね。
「ここは奥様方と私、娘達の私室や子供部屋がある場所ですね。この『王祖の迷宮』は適度な明るさになるように調整されているので、大きさの割にどこも明るいです。太陽の位置はあまり関係ないですよ」
奥さんの部屋の列で唐突に扉を開ける双子とノエラ。その突撃の被害を三人程受けた。慈悲で名前は言わない。扉をノックなしで開いちゃダメだとエルンに叱られていたが、双子とノエラが理解しているかは甚だ疑問。楽し気なので悪戯として覚えた可能性は大きい。
この二階にある奥さんの部屋は大きなコの字型の両側だ。奥さんの部屋と言うが3L風呂トイレ付なのでかなり広い。その両側から中央の棟に行くと、僕の工房、書斎、私室、大寝室、1人で眠れる小寝室がある。大寝室には一遍10mの無駄に巨大なベッドがある。誰かが龍姿で寝るのか?と言いたいが、そういう利用法ではない。詳しくは言わないが、奥さん達の要望らしいので……。小寝室は僕の激しい嘆願と実力行使によって設けられた僕の聖域。緊急事態以外は誰も入れん。子供達は除く。ノエラと双子はドラゴンサイズベッドの上でポインポイン跳ねてる。楽しそうなので良し。
階段を降りると食堂などの皆が使う部屋が固まる区画がある。敢えて明記していないけど、レクリエーションルームや訓練室なる部屋もある。
客室や大浴場などはコの字型の部分にはなく、僕の部屋側に別棟があってそこに巨大な物があるよ。ちなみに客室にはちゃんとした家族風呂がある。
「前から思ってたんだけど、ここ豪華すぎない? お客さんなんて誰も来ないのに」
「いいのですよ。備えあれば憂いなしです」
「にしても多いきがするけど……。それから自動で部屋が増えるこの能力もエルンの力なのか?」
「はい。私の力は迷宮の力に紐づけされています。この屋敷と城関連に限られてしまいますけど。ちなみに、私個人は城とこの屋敷間をノーコストで転移できますよ」
え? めっちゃ便利じゃん……。あ~でもその二か所限定か。でも一階層と六階層を一瞬で飛べるのはいいよなー。めっちゃ楽になるし。まぁ、魔道昇降機を付けてるから今更なんだけど。ツェーヴェの書庫はさらに本が増えてるし、エリーカのラボはさらにおどろおどろしくなった。カレッサの魔道具庫は今更ながらよくわからん道具が多い。子供が喜びそうな道具もあるけど……。カレッサの魔道具には目もくれず、僕の騎獣ゴーレム『ブラックナイト号』がめちゃくちゃ人気。3人で乗っかって楽しんでいる。危ないので、戦闘用の武装は全部パージしてある。
ヨルムンガンドに頼んでブラックナイト号の兄弟機を増やしてもらおうかな?
玄関ホールには普通芸術品の類が置いてあることが多い。絵画とかツボとか。僕の屋敷にはそういう類の美術品は一切ないけどね。壁にかかってるのは僕の作った武器防具が多い。ホールにはスルトの発明品がクリスタルケースに収まっている。防犯システムも万全とのこと。そもそもこの階層に泥棒が入る想定はしてないけどね。
庭に出ると扉の横にいる金ぴかの鎧、疑似魔物のリビングメイルが敬礼してくれる。子供達も敬礼し返していた。庭のオリハルコンの木の本数増えてる……。三本あるね。もしかしなくても子供の数だけ増えるのか? 反対側からはエリアナとケイラ、カナンカの声が聞こえてくる。
「今日は休みの日か。楽しそうでなにより」
「ママあそこ?」
「そうそう、今は他のママとお話中だからグリムとアンネと一緒に遊ぼうか」
「あいッ!」
広いとは思っていたが、改めて見るとめちゃくちゃ広いね。
……今面白い物を見た。金色の鎧が麦わら帽子に軍手、腕覆いを付け、高枝ばさみを持って、しっかりとオーバーオールを着てる姿が……。エルン曰く、意欲的に庭仕事もしてくれるという。彼らは形から入るようだ。意外と似合ってるな。サムズアップしとこ。サムズアップが返って来た。……ノリもいいな。
そのまま少し歩くと庭と同じような囲いがある場所へ到着。そこにも複数の金ぴかが居る。槍を持ったリビングメイルが敬礼してくれる。彼らホントに律儀だね。
ここの区画は第一階層の城の奥へ繋がる魔道昇降機がある場所だ。ここで入れるのは関係者だけ。ノエラも既に登録済み。大きいVIP用の昇降機に乗って城の一番奥へ行く。まだ皆で城に住んでいた時の僕の工房があった位置だ。そこからまた出ると再びの金ぴかさん達。ここにもリビングメイルがいる。彼らそこかしこに居るんだよね。ちなみにさっきから『彼』と言っているが、彼らにはちゃんと性別があるらしい。鎧が明らかに女性物の場合があるので聞いたらジェスチャーで教えてくれた。中は全員空っぽだけど。
ここは城の一階層で基本的に何もない。あるのはトラップとトラップとトラップとトラップ……。カナンカの迷宮構成もかくやと言う無数のトラップがある。それと、無数の金ぴかさん達が各々武器を構えて歩いている。
いちいち反応しているときりがない数のリビングメイルがうろうろしていて、さらに裏側に回ってから魔道昇降機に乗る。ここにも認証機があるんので注意。
ここを上がると今日は休みのエリアナの執務室と、セリアナさんの執務室が並んでいる。
「あら? ノエラじゃない」
「ば~ばッ!!」
「「お疲れ様にございます。セリアナ様」」
「お疲れ様です。セリアナさん。進捗はどうですか?」
「あまり良くないわね~。やはり種族が多いもの。例外ばかりでは法とは言えないわ」
ノエラをしっかりと抱き上げ、頬ずりしながらエルンの問いに答えるセリアナさん。その後ろには金ぴかの上位種、プラチナシルバーカラーの鎧。リビングプレートがポールアックスと大剣を持って敬礼してくれた。くどいんだけど、彼らのアイデンティティみたいな物だからな~。
セリアナさんの案内でノエラに城の中を案内する。
僕の執務室も近くにあるし、他のメンバーの執務室もある。最近はここに泊まり込んでいる政務長官で獣人族総代表だったホノカ。現在は政務副長官に娘のコノハ。獣人族総代表はその手腕と若さからケイラという変化がある。他には龍族の種族統括に就任してもらったアースさんも今ではここに住んでる。他の種族も代表毎に一応席はあるんだ。ほとんどいないけど……。皆何かしら仕事を兼任しているからね。次から次へ若い世代へと継承しているけど、それでも間に合わない速さでここが大きく成長している。エリアナ曰く、『誰かさんがトラブルメーカーだから』と言うけれど……。僕は要望に従ってるだけなんだけどね。
「ふふふ、仕方ないわよ。誰かが耕せば誰かが植えねばならないわ。作業というのは分業すればするほど肥大する。肥大した分を補填することでまた成長する。ここはまだ低迷していないと喜ぶべきところよ」
「そうは言ってもさすがに忙しすぎますけどね。僕も皆も」
「そうね~。それならコツコツと手塩にかけて後輩を育てるしかないわ~。ふふふ。私は皆より長生きしている分だけ手下は多いの。これも年の功よね~」
セリアナさんにそれを言われると、1000歳超えて忙殺されかけてる人が可哀そうすぎるのですが。まぁ、ツェーヴェの場合は自分で拡げ過ぎてるところがあるから、自業自得も否めないんだよね~。セリアナさんもそれに関しては苦笑いしている。そういう人員のことも考え、その内僕らも何かしら考えなくちゃいけないのだろう。
僕だって今は哨戒や偵察を任せられる部下ができたからそこそこ余裕があるけど、前の状態でいたらツェーヴェと同じように忙殺されていたに違いない。今度ツェーヴェの相談に乗ってくれるようにセリアナさんにもお願いする。僕ももちろん相談に乗るけどね。
・成長記録→経過
クロ
オス 生後155日~160日
主人 エリアナ・ファンテール
身長130㎝
全長17㎝……身長12㎝
取得称号
~省略~
取得スキル
~省略~
~=~