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それからのハイエルフとエルフの付き合い

 エルフ王国は名を改められ、エリアナ女王国エルフ自治区と名付けられた。僕らは迷宮戦争を仕掛けられ、報復で特権階級を捕らえたがエルフの国民を虐げたい訳ではない。なのでエルフ自治区で政治できな事以外のあれこれの改善を図った。まず、エルフ自治区のライフラインの改善を行う事でエリアナと意見を合わせる。

 実は疑似迷宮核は取り込めなかったのだ。そりゃ『疑似』と付くだけあり、本物ではないので仕様が合わないのは当然である。なのでエリーカとヨルムンガンド、ツェーヴェ、カレッサという我が国の最高権威と言っていい専門家が立ち上げた研究チームで疑似迷宮核は研究してもらい、……撤去。僕のオリハルコンの大樹から収穫した迷宮核で機能を補完。上下水道や魔素を用いた街灯などの敷設、『大森林』の管理を行うようにした。ここの迷宮はカレッサを管理人に設定してある。あちこちにある迷宮で言う副主人なのだが、この管理人は副主人よりも高位だ。副主人よりも管理上の権限が多いだけだけども。

 加えて、食料生産の場をスルトが外部に伸ばしている畑型の階層に指定。また、魔道具師の再教育や薬師の再教育など。これまでの閉鎖的過ぎる故の文明の未発展なところを埋め合わせている。


「結局あそこから得られた物は疑似迷宮核と人足だけだったの?」

「あら? そんなことはないでしょ~? 美人の情婦をた…」

「セリアナさん? さすがに怒りますよ? 正座、したいですか?」

「ご、ごめんなさい。許して、ね? ね?」

「ふぅ~。次はありませんからね? 次は何キロ重石をのせようかな~」


 にっこり笑って脅しておく。例のエロフ量産計画の首謀者はこのセリアナさんとハーマさん。確かに僕の自由な夜という条件の中に奥さんが僕の部屋に来る日の指定をした。それを掻い潜って今度はある意味奥さんの下位互換を作り出そうとしたわけだ。ようは『愛人ならいいでしょ?』という事だ。

 良くありません。

 英雄色を好むとか、色ボケ主人公が成り立つのはお話の中だけなんですよ。僕がどれだけ神経すり減らして、種族間の折衝や奥さんどうしの兼ね合いを取ってるか理解しているのだろうか? 言い方はあれですけど、僕はすることだけしてポイすることはしない。これまでの女性だって完全に拒絶するような人が居なかったので受け入れたけれど……。さすがに目に余るので正座刑を施行。他にも数名居たけどね。

 で、結局どうなったかと言うと、クラリッサ以下30名程のチョロフは……完全に堕ちていた。何にとは言わない。けれど、何度追い出しても僕の部屋の前で恍惚としているようになったので……。虐げられることに快感を覚えるようになるともうどうしようもない。僕はそういう趣味はないので無視を決め込んでますけども。


「で、エルフ自治区の様子はどう? カレッサ」

「うむ。元王族の男共は真面目だからの、数人ずつ様子を見ながら戻して居る。特に罰金額の低い者は次々と返しておるよ」

「へ~、早いね」

「うむ。100万クロ以下ならばそれ程のこともないからな。それに娘っ子共より魔道具師としても有能じゃったし」


 本当にボロクソ言うね……。

 それで、出来上がったエロフの集団はヨルムンガンドに預けた。本当はグレーなんだけど、ちょっと副作用の強かったり、副作用が特殊な薬だったりと……。ちょっとアレな薬品のモルモットになってもらってる。これくらいしないと本当に返済しきれないので。特にクラリッサが断トツで罰金の金額が高いから。それでいて魔道具製作スキルや調薬スキルが全く使えない上、公営娼館での労働は嫌がるので……。ここしかなくて。僕の狩りに同行させると本当に死にかねないし。

 僕の悩みは増えるばかりだ。エルフ自治区のまじめなエルフのおかげであの国は回っていたんだなと……。今しみじみ思う。

 不毛なのでポンコツエロフ共のことは忘れよう。僕の精神をすり減らす原因だから。それよりも気になるのが、『大森林』の奥地にある『陽光の荒野』という魔境のことだ。実力のあるエルフの兵士を付けて、アポロンが今制圧中。結構敵が強いとかでなかなか進んでいないらしいが……。アポロンがまさかエルフを眷属化できるとは思わなかった。特に男性のハイエルフを仲間にして攻勢を仕掛けているという。まぁ、頑張ってほしいが無理はしないで欲しい。

 それから人間と交友を持ちたいという進歩的なエルフが多いことに僕は驚いた。

 なので、スルトが開いた畑と開拓地を中継地点に交流の場を持つこともしている。今のところ大きな問題にはなっていないが、他国からの奴隷狩りが居ないとも限らないので注意喚起はしている。


 ~=~


「それで、お主らは受け入れられていないと……」

「し、しかたなかろう! さすがに妾や女子が迫ったところで相手が格上も格上じゃ! 魔人に組み伏せられてしまえばひとたまりもないぞ!!」

「う~む。クロはそういう所は真面目じゃからのう。アレだけの存在なら妻の100、愛人の1000は居ても問題ないと思うのじゃが」


 ここは労役エルフの収容施設。そこには定期的にカレッサが来ている。ここの労役エルフは許可が無いと外出も許されていないので、カレッサが面会に来るのだ。一緒にヨルムンガンドも来ることが多い。薬剤試験中のエルフの様子見とかが理由ではあるが。

 実のところ、レイのエロフ量産作戦の主犯の1人であるカレッサにはとある目論見があった。正直に話せばクロは認めてくれるやもしれないが、そのように簡単にこの愚妹が愛しい旦那の寵愛を受けることも、受け入れたくない複雑なカレッサなのだ。クラリッサは凡才とはいえハイエルフだ。ハイエルフは徐々に数が減っている。カレッサはヨルムンガンドに手助けされて何とか妊娠にこぎつけたが、元来エルフの出生数は極端に少ない。また、血筋が固まり過ぎて死産が増えているのも事実。この辺りで何かをせねばハイエルフは数千年と時間を経た頃には滅びてしまう。

 1人が長命でも繁殖できねば族滅する。カレッサは星龍のコスモと出会い、少々考えたらしい。カレッサが国を追い出された時には既に血筋が重なり過ぎてハイエルフはハイエルフ足り得る力を持たない個体ばかりになっていたのだ。血が濃くなりすぎていることを解消するのにクロとの交わりは光明となるのでは? と考えていた。


「魔人と交わると、何故か母親の種族の子が精強になり生まれる。私はそれなりの力を持っておるが、クラリッサ、おぬしは少しは自覚せねばならんぞ。王族は崇め奉られるべき物ではない。国民の為に身を粉にして働き、国民に認められなければその段階で死を選ぶ物だ。既におぬしの身分は平民ではあるが、一応、血の繋がる愚妹じゃ、忠告はしておく」


 カレッサは王族としての務めを果たすことなく、外界で気ままに2000年は生きている。そして、2000年来で妹と奇妙な再会をした。自分が出奔した頃はまだ王家は慕われていたはずだ。クラリッサや特権階級の女系がアレほどまでに国民に嫌われるようになっていることにカレッサは悲しさよりも虚しさを持った。

 カレッサは時間としてはごく短いながらも10歳の女王の働きやそのロリ母の協力も目にしている。セリアナは元王族だ。そのセリアナを見て、再びカレッサにその自覚に近い者が燃え上がったのだと思う。……事実、カレッサはこのエリアナ女王国の議会に所属しているので、職位としては女王なのだ。クロを象徴とした新たな国家を支える母として改めて感じ入る日々がカレッサを変えたのだと思う。


 ~=~


「ねぇ、カレッサ。クラリッサとか他のハイエルフに何か入れ知恵した?」

「ほえ? 何のことじゃ?」

「いや。いつもなら尻を叩けば部屋から逃げてたハイエルフが誰一人帰らないからさ。誰かしらが何か言わないとああいう事にはならないかな~と考えた訳さ」


 僕は最初はセリアナさんが脅したのかな? と思ってお菓子を出せばペラペラしゃべるロリ法務長官を問いただしたが空振りだった。次はツェーヴェが圧力を加えたのかと思ってカマをかけたが、これも空振り。ヴュッカがそんな面倒なことをしない。エリアナもそんなことをするくらいなら僕に相談する。他の候補をあたれども誰もそういう圧力をかけたようなことはなかった。

 なのでたまたま移動に合わせてすれ違っていたカレッサと、最後に会って話している訳弾だけども。ここで捕まえられたよ。

 カレッサの表情から何か理由があるのは解っている。だから根気よく聞きだした。ちょっと狡い方法も使ったけど、そこで教えてくれた。ハイエルフ族の為とのことだ。エルフの娘はついでに過ぎないが、ハイエルフはあのままでは近い内に滅んでしまうかもしれない。ハイエルフという種族はとても少なく、どういう理由で生まれた種族かもわからない種族だ。何とか滅ばないようにするには外から血を入れねばならない。けれど、他種族と交わると血は薄まる。ハイエルフ同士ではもう血が濃過ぎてしまい、ハイエルフではあるが力の弱い個体が多く生まれるようになった。


「なんで最初から言わないのさ」

「……た、単純に嫌だっただけじゃ」

「はい?」

「じゃから……、妹ではあるが、ワシ以外のハイエルフやエルフと番ってほしくなかっただけじゃ。本当は弟子のアホ共もなやんだんじゃぞ? じゃが……あまりにも激しいもんで、体がもたんのじゃ」


 真っ赤になりながらごにょごよと語るカレッサの初めての表所に、少し興奮している自分がいた。かわいいとか愛おしいと思えることは以前から解っていたが、この恥じらうカレッサの威力は凄かった気がする。それに気づいてさらに恥ずかしがるもんだから……ループが止まらない。

 その日、一応エリアナにその辺りをカレッサも交えて真面目に話した。

 その後は初めてになろうか? 『お嫁さん会議』に参加。……こうして一同に集まると改めて凄い人数だと感じる。実際に凄い人数だけどさ。そこでエリアナに緊急の議題として話し合ってもらい、一応の許可は出た。ただし……、カレッサと10人の弟子は奥さんだが、今回の労役囚のハイエルフとエルフは賠償し終わるまでは『愛人』という扱いとのこと。そこが重要らしい。


~=~


・成長記録→経過

クロ

オス 生後145日~150日

主人 エリアナ・ファンテール

身長130㎝

全長17㎝……身長12㎝

取得称号

~省略~


取得スキル

~省略~


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