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エルフ王国の終焉?と虜囚の扱い

 どうも、僕です。クロです。

 僕達はさして苦労することなく、エルフ王国を蹂躙した。いろいろ問題はあるが、僕も怖いので指摘はしない。お怒りモードのエリアナにはツェーヴェやセリアナさんも意見しないからね。……あ、違うね。むしろ嬉々として悪乗りしている。まず、エルフ王国の植民地化という事実をエルフの国民へ伝えねばいけない。なので、エリアナや魔人の監視の下で儀式が行われる。エリアナは完全にプライドを折に行っているようだ。

 エルフの王族は女性集権で男性王族は形式上の官僚となるが、政治的決定権はない。つまり男性は政治的な雑務を行うのみで、殆ど女性が決める社会なのだ。これは現在のクラリッサという女王からの集権らしい。……そのクラリッサはなんとカレッサの実の妹とのこと。見た目は姉妹というだけありよく似ている。身内びいきでカレッサに軍配が上がるけど、十分クラリッサも飛びぬけた美人である。そのクラリッサと女性の王族だが……。煽情的な下着姿でパレードさせられている。僕は頭を抱えたい。


「これは酷い……」

「ふふふ、良いじゃない。国民にあの尊厳を無残に壊された姿をさらす訳ではないのだし」


 ちなみに、今の発言はセリアナさんね。この下着姿でメインストリートを行進させる催しはこの人の発案。最初は素っ裸で。と……言っていたらしいがさすがに否定派が多くて下着姿でとなった。十分酷いけどね。しかもそれ以外はちゃんと持たせるのだ。王権の主張をする王杖とか、剣とか弓とか……。国民の方々は何が起きたか解っていないのかと思いきや、主に女性からだが『ざまーみろ』と言いたげな言葉が聞こえてくる。男性はこのパレードの趣旨を理解したと思われた段階で家に入って行った。

 そのままセレモニーなどを行う大きな噴水のある広場へ到着。

 そこで様々な儀式が行われる。国璽の引き渡しや王権の象徴を手渡すなどのことだ。国って言うのは一応書類上の事だけで成り立つ訳ではない。僕らの場合はそのセレモニーをする余裕もなかったのでしていないけど、ここは違う。元から長命なエルフの国だ。歴史は長い。その歴史に幕を下ろし、エリアナ女王国に従属する。その管理官になるのがカレッサである。カレッサにその権限全てが託された段階で、何故かエルフ王国の民衆の方から喝さいが上がる。


「まぁ、当然よね。開拓村へ出ていくエルフがあれだけ多いのだから。この国も閉塞感に満ちていたのよ。いくら保守的な性格のエルフでも、……アホな王族が治める国では先行きが暗かったのでしょう」


 今の発言はツェーヴェね。一番最後に、カレッサが選んだ代官が就任する儀式と……。これまで治めていた一族や一部の特権階級の身柄を引き渡す儀式が行われる。その際にこの前捕らえられてカレッサに預けられた三人のハイエルフが似たような下着姿で連れてこられた。そういえば彼女らも王族か。

 その三人の首には労役囚のチョーカーがついている。

 カレッサが作った目印だ。奴隷の首輪のように拘束力はないのだけれど、それ以上に残酷な効果を持ってるらしい。彼女らの顔、厳密には左頬に金額が記されている。まぁ、この前の『お菓子な迷宮』の襲撃における罰金だね。いきなりの宣戦布告とこちらからの呼びかけに応じなかったという理由で、エリアナもたいそうお冠だったから。加えてこのハイエルフ三人を我が国で丁重に預かった際の生活費などなど。諸々の必要経費の金額らしい。……物凄い金額だね。

 必要な話だからエリアナ女王国の通貨を説明しておこう。僕らエリアナ女王国の通貨はジュネ小銅貨(1クロ)、リリア銅貨(10クロ)、カレッサ大銅貨(100クロ)、メリア小銀貨(1000クロ)、ヴュッカ銀貨(1万クロ)、ツェーヴェ大銀貨(10万クロ)、ゼビオラ小金貨(50万クロ)、カナンカ金貨(100万クロ)、エリアナ大金貨(500万クロ)、セリアナ白金貨(1000万クロ)がある。これは最近できた。ホントに最近。特に小銅貨、小銀貨、小金貨の三種はここ最近。


「えっと、確かツェーヴェ大銀貨で外の国の一般人が一か月生活できるくらい。エリアナ女王国通過では10万クロなんでしょ?」

「そうそう。彼女らの罰金は1人につきキリよく1億クロ。セリアナ白金貨10枚分ね。ちなみにカレッサ印の本気仕様魔道具が一個で100万クロくらいよ」

「確かそれもあって彼女らはカレッサに預けられたんですよね?」

「そうなのよ~。でもね? カレッサも予想以上に使えなくて困ったらしいの」


 あ~。……だから一瞬だけ僕の狩りに同行させる話が浮上したのか。その場で気絶したエルフと土下座するハイエルフの集団とエンカウントしたけど。最終的に公営娼館に送られそうになった所を、なんとか交渉してキャバレーのダンサーに抑えたらしい。ただ、彼女らは生粋のお嬢様だからね。勤務態度やら客からの苦情で問題起こしまくって……ヴュッカに殴られたらしい。

 最後通告にカレッサに再び突き出されて、今回の件に加担したら10%カットにしてやろう。……との事で乗ってきた様だ。

 エルフって仲間を大切にする種族なんじゃ? 疑問をカレッサに向けると、『そんなもんは外界人の妄想じゃ』と一蹴された。エルフが居丈高で高慢な事は紛うことなき事実であるが、エルフが高潔で誇り高い訳では無い。むしろ狭い場所にぎゅうぎゅう詰めで、コミュニティが崩壊しかけている腐った缶詰みたいな物だと言われた。……ボロくそな言い様に僕は絶句だけど、他の女性陣が意味深に頷くのは何で?

 僕らが入っていない間に醜い身内の争いを見たらしい。

 簡単に言うと罪の押し付け合いと、その押し付けられた側からの醜聞の暴露。これによる再びの醜い罵詈雑言の応酬だったそうだ。見るに堪えないとのことで、セリアナさんが足の甲をヒールで踏んで黙らせたらしい。全員……。……ちょいまち、今日のセリアナさんの外出用ブーツの靴底、僕がアダマンタイトで作ったやつだよね? 考えるのはよした方が良いだろう。


「では、罪状の読み上げが終わりましたので、この愚かなハイエルフに罰金の支払い額を示します」


 それに合わせてどこから出て来たか、蛇魔族の皆さんが30人近く居る女性のハイエルフに例のチョーカーを付けていく。そして、罪状読み上げをしていたゲンブが罰金の金額を提示していく。一番低い額から先に攻め込んだ三人と同額の1億クロスタート。最高額が1000兆クロを叩きだした元エルフ女王クラリッサだ。その後、男性のエルフ王族にもチョーカーが付けられ、……かなり額が低い。かなり彼らは虐げられていたらしく、改革できなかった施政者としての罪は問うが、決定権の無い彼らにはこれくらいが妥当とのこと。大きくても500万クロだ。男性のというか、男性王族は女性王族がボロカスに言われているのに頷いていたからね。

 それに異を唱えたのがクラリッサ。逃げを取ろうと弁明を始めた瞬間……。女性としては致命的な罰をその場で受けることとなる。いきなり奇声をあげながら失禁して倒れた。……そういう事か。残酷な罰って言うのは。

 さすがの見物人たちもドン引きしている。気を取り直してゲンブが言うには女性王族はもう二度とこのエルフ王国の土を踏むことはないとのこと。男性王族は反省の姿が取れた場合は以前のような職級に復帰は叶わないが、この土地へ帰ることは許されるとのこと。民衆はゲンブの煽りに乗りに乗り、最終的には『エリアナ様ばんざーい!』、『クロ様ばんざーい!』などともろ手を挙げて、エリアナ女王国へ帰還していく僕らと……下着姿で連れていかれるエルフの女性王族を見送っていた。


「あれ? 男性の皆さんは?」

「あの人達はスルトちゃんの迷宮で鉱山勤務です。金額は低くとも、それなりの罰は与えねばなりません。ですが、通常の鉱山奴隷刑よりも好待遇ですから」

「それもそうか、三食と新築で屋根のある宿舎付きだしね」


 国家の膿扱いされていた女性王族や特権階級のハイエルフやエルフの全員が、エリアナ城のとある部屋に集められた。ここでは彼女らに尊厳はないとばかりの扱いである。女王の戯れな一言で税を上下させるとか、資金が無いのに祭りをするとか……。まぁいろいろやり過ぎたので、彼女にはその分と時間だけ国民に与えた圧政の分だけ、彼女の尊厳と罰金で支払わせるのだろう。

 エリアナが悪魔の笑みで中央の玉座に座り、左右の玉座に座る女王の皆さんが今回の虜囚エルフ達を見下ろす。

 あらゆる尊厳をはぎ取られたハイエルフの皆さんへ、改めてエリアナから怒りの言葉とこの国での彼女らの身分を伝える。この国には奴隷制度はない。その分の労役囚人という身分がある。犯した罪の分だけ自由を奪われ、その罪の重さに従い何かしらを制限されるという身分だ。これまでこの国では大きな犯罪はない。小さな犯罪は日常的に起きるけど。

 その労役囚人という身分の説明を行われ、彼女らからは誇りと尊厳を全て奪った。その上で、罰金が死亡した時点で支払えていない場合、それが子孫へ加算される。ちなみに、自害は不可能。その選択をしようとした段階で、衆目であられもない姿になったクラリッサと同じ目に遭うので。


「以上です。貴女達にはその罰金を支払うまでこの『王祖の迷宮』から出ることは叶いません。また、労役の方法もこちらが指定します。それだけのことをしたと悔いることを忘れずに」


 このエリアナの言葉で解散となった。この場に居た労役囚は全員リビングメイルに連れていかれ、特別に作った収容施設に入れられたらしい。これだと奴隷とさほど違いが無いように感じるが、無体な扱いはされないし、食事も美味で風呂まで使えるのだからこれくらいは当然だそうだ。下世話な話だけど、エルフの奴隷って即日オークションに賭けられて情婦以下の扱いを受ける悲惨な運命をたどることが多いそうだよ。

 それよりも……。なんでだろう。僕が1人で寝られる日に例のエルフやハイエルフが来るようになったんだけど? え? あの条件は奥さん限定だろうって? 労役囚の返済に協力しろと?

 僕はそれからすぐに『黒鋼の森』に向かった。再び奥さんの主犯達から土下座されたけど、今回は許さない。罰として僕の執務室で正座合計5時間を一週間してもらう事にした。うん。これくらいしてもいいと思う。


~=~


・成長記録→経過

クロ

オス 生後145日~150日

主人 エリアナ・ファンテール

身長130㎝

全長17㎝……身長12㎝

取得称号

~省略~


取得スキル

~省略~


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