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赤ん坊

「神のやつにだまされてしまった。」

 そう思った時にはすでに遅かった。


「ホギャー、ホギャー。」

 気がつくと俺は人間界で赤ん坊になっていた。


 魔界で何不自由なく暮らしてたのに。

「人間界にいきませんか?」

 俺は人間界を支配できると思った。しかし、何の力も無い人間に生まれ変わるなんて。


「べろべろばあ。あ、笑った笑った。」

 目の前にいるのんきそうな二人が俺の親になるのか。力さえあればこんなバカは一瞬でカバにしてやるのに。

「ホギャー、ホギャー。」

 しかし、本能とは恐ろしいものだ。腹が減って、自然と泣けてくる。

 母親が差し出す乳首に思わず吸い付いてしまった。あったかい。空腹が満たされる。


「いかん、いかん。こんなもんで余は満足せんぞ。」

 そう思いながらも、満腹になると、いつしか寝入ってしまった。


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