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第4話:想いと使命

 ふと闇から開いた空間に彼女は立っていた。そういえば…前にもこんなことが…………




 この前の夢みたいに素肌をさらしてはいないものの、浜辺で会ったときの格好でもなかった。その服は…。


(和服…?巫女服…?民族衣装かな…?)


「怖いのか?」


 僕の体はこの前回同様勝手に動き、話しかけていた。 それは、普段からおとなしい僕の性格とはまるで違った強気な口調で…自分の声だけど、自分の言葉じゃない…まるで自分が自分じゃないような感覚だ。


「儀式のことですか…?」


(儀式…?何のことだろう…?)


 少女は、僕にはさっぱりわからない語句を口に出してきた。頭の中でいくら疑問に思っても、口に出せないのだから尋ねようもなく…また自分の口が開く。


「宝水の宿命だからな…」


「ええ、仕方ありません。私はこの運命を、そして神様から与えられた使命を受け入れます」


「でも、それじゃお前は……!!」


「私は…皆が望んで神様の御言葉をお聞きしたいとおっしゃるのなら、喜んでこの身を差し出す決意でここまで生きてきました…」


「お前を護るのが俺の使命だ!お前が居なくなったりしたら、俺は……俺は!!」


(ほうすい…?ホントに何がなんだかわからないな…)


 そこまで何も考えず、ただ彼女らの言葉を聞き、頭の中で一言一言の意味をゆっくり考えてみたが…お手上げだ。


 待て、まだ考えるんだ……峰水と言ったら未来ちゃんだ。これは何なんだ…。よくよく思うと、自分自身もなんだか昔っぽい服を着ている。


 もしかして……遠い昔の情景を見てるとか?


(まさかね………)


 でも僕(勝手に喋っている自分)が声を大にしてすがるように叫んだ後、目の前の宝水と呼ばれた少女がしばしの沈黙をおいて話し始めた。


「…………あなたは神守(かんもり)…。私の守護者であり、私の想い人……」


(なっ…!?)


 確かにこの会話の流れからなんとなくそのような関係なのかと予想はつく。でも正直にこんなに近くで、しかも目を見つめられたままそのようなことをストレートに言われるとは…。


(僕には、そんな免疫ありませんて……。でも守護者って一体…?)


 そんな考えをよそに目の前の彼女はまだ語りかけてくる。


「でも、私は使命をまっとうします。だから……あなたもあなたの使命を全うなさい…」


「でもそしたら…お前を失ってしまったら……俺はもう使命が無くなってしまう。…どうしたらいいって言うんだッッ!!」


 半分泣き言にも似た叫び声が自分の口から出ていることが恥ずかしくもあり、情けなくもあった。


(そうか、この2人は離ればなれになるのか…)


 脳裏に浮かんだのは未来ちゃんが引っ越す日の朝だった…。離れてしまう悲しさは、知っている。それが避けられない事は分かっている。


 でも割り切れない…。そんな情けない考えしかできない自分に腹が立ちながら、その朝は彼女を見送った…。


 異性としての特別な感情が交ざっていただろうか…。今でもあの喪失感が胸をえぐるような感覚は忘れられない…。当時は気持ち悪くて何度も中の黒いものを何もかも吐き出してしまいたいほどだった。


(そう言えば…未来ちゃんにそっくり…かもしれない)


 目の前の少女を見ながら今さらに気がついた。彼女が僕の知っている峰水未来という少女の顔と瓜二つの容姿を持つことに…。我ながらに気付くのが遅い…。


「私が召されたとき、あなたは自由です。好きに生き…好きなことをして良いのですよ……」


(召される…?)


「俺はお前のいない世界のことなど考えるのもごめんだ!!……俺は、俺は…お前だけを愛してる」


 うつむきながら寂しげに話すこの子にだったら…僕もこの喋っている自分の立場なら、同じ事を叫ぶのかもしれない……。


 すると、彼女はうつむいた顔を少し上げた。心なしかその顔は少し赤らめているようだ…。


「嬉しいです。あなたが…そこまで言ってくださることが、なんだか…気恥ずかしくて…」


 宝水は聞こえるかどうかの小さな声で呟くと、更に顔を紅潮させてなにやらもじもじしながら、潤んだ瞳でじっと僕の瞳を見つめてきた。


 それに熱く答えるように僕の口が、そして彼女の口も激しく動き出す。


「だったら!!」


「ですが…!!」


 お互いの言葉で相手の言葉をかき消してしまったその時…………!!


「「「「「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」」」」」




―その瞬間、僕の夢の記憶は……ぷつんと途切れた―




夢のみです…


この夢が何を表すのかは…また後ほどの章を見ていただければ分かると思いますので今後ともよろしくお願いします!!


引き続き感想から辛口コメントまでどんどん受けつけておりますんでいろんな意見を下されば幸いの極みです……

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