表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/82

第21話:五供紋

 総合学習の調査で僕たちは、『日蝕ひばみ伝説』について調べることにしていた。


 …でも僕は先日その伝説についての書物を図書室から借りてたことを皆に知らせておらず、危うく未来ちゃんを悲しませた犯人として、皆の責め言葉の嵐を浴びるところだった…。


 でもまぁ書物を借りてたおかげでわざわざ図書室まで移動しなくて済んだということで、この件は免除ということになりました………ご迷惑おかけしました。


「…じゃあ、改めて伝説の概要を確認しようか」


 自分の意見で皆と一緒の学習ができることが嬉しいのか、未来ちゃんは手を自分の胸の前でポンッと合わせて提案した。


 その声がかかると、今度は永遠が無言で動き出す。出しづらいのか見つからないのか、自分のバッグの中をしばらくモゾモゾあさった後、TV番組のフリップばりに完成度を高く伝説の内容が描かれた模造紙を取り出して、居間の広い壁に張り付けた。あのバッグのどこにあんな大きな模造紙入れる空間があったんだ…?


 広い壁に大きな模造紙、そしていつの間にか指し棒を持った永遠。なんだかベテラン女教師のようなオーラを放つ彼女は、パンッと指し棒を模造紙のメインテーマが書かれた所に叩きつけながら説明し始める。


「えー、では…これを見てもらいたい。知っての通り、今回のメインテーマは『日蝕伝説』についてのレポート作りだ。そのレポートに向けて伝説の内容を頭に叩き込んでもらいたい」


 そこまで永遠が説明すると、李凛が元気よくピンと手を挙げて質問永遠先生に質問する。


「はーい先生ー、質問で〜す。グロい伝説の内容はわかったんですがぁ…その伝説は所詮伝説ですよねぇ…?」


 な〜んかとげのある言い方だけど、僕はその質問の意図…具体的に何が問いたいのかが分からなかった。


 僕の頭の中を読み取ったかのように陽泉が僕を含めた皆に呼びかけた。


「つまりな…その伝説にある日蝕が本当に起こって妖怪がどんどん出てきてたとしたら、人類は今頃生きていないだろ」


 確かに…じゃあ、実際には起こることがなかったのかな?それとも…。


 そんな僕の疑問点に答えてくれたのは薄ら笑いを浮かべている永遠だった。


「フッフッフ…。よくぞ訊いてくれた李凛くん!!」


 なんかコワい…っていうか寒い。昭和の熱血教師みたいだ。どうでもいいけど、なんで今日の永遠はこんなにテンションが高いんだ…?楽しそうでいっこうにかまいませんけどね…。


「この日蝕を阻止する者たちがいるんだよ!それがこれだ!」


 再び模造紙の一部分をビシッと指し示して永遠は高々と声を張り上げて言った。その指し示された部分には、確かに日蝕阻止のための道具が書き連ねてあった。


 そうか、その日蝕を阻止する使命を帯びている者たちがいるのか…。そう思いながら永遠が指した部分を見ると、確かにそこには日蝕阻止の儀式とその儀式に使う道具らしき名前が見てとれた。


「“五供紋ごきょうもん”………それが、日蝕阻止に必要な道具…名前?」


 僕が模造紙を見ながら難しい表情を浮かべて問うと、未来ちゃんが答えてくれた。


「うんッ、五供紋って言うだけあって5つあるんだけどね…」 




 五供紋…それは、この世の危機、日蝕をくい止めるために必要なものであり、人類の最後の希望である。


・五供紋


宝水ほうすい…肉体を、そして魂さえも神に捧げ、神の魂とシンクロする者。


御石みせき…『降神の儀』により、その身に神の魂を宿す者。


神守かんもり…神の魂を持つ者と神をその見に宿す者を守る者。


聖壇せいだん…戦乱の時代の中、自分やその土地の人々、使命を負う者たちを守る者。


真札さなふだ…全てを守る使命を負う聖壇を援護し、その聖壇をも同時に守る者。




 つまり、『降神の儀』という儀式で宝水の命を犠牲にし、御石の身に神を降ろすというものだ。そして、その者たちを守る役目が神守。聖壇や真札は村の人々を含めた使命を負う者たちを守る。戦乱の時代だからいろいろ村や国どうしで(いさか)いがあったんだろうな…。


 それぞれにちゃんと使命があるんだなぁ…なんだか設定の通った物語みたいだ。…なんて感想を抱いたとき、ふと考えた。


「あれ?五供紋って儀式に使う道具じゃなくて…人間なの?」


 そう言われると……。みたいな顔してますよ皆さ〜ん…。顔を伏せないでください永遠先生〜…。


……誰も気付かなかったのか……。




 まぁいろいろつっこんでたらキリがないので…とりあえず、僕たちはこれからどうするのかを話し合った。


「えー、オホンッ…まぁとにかくこれからどうするかだ、その伝説の内容とそれをくい止める者たちの存在がわかった。問題なのはこの伝説の発祥地、そして筆者の情報だ。ここによく似た地理条件…つまり、山や海に囲まれた田舎町で広まったと思われるが…。下調べはしてみたものの、発祥の地域も筆者のことも根本的なことが一切わからないんだ」


 永遠も一応頑張ったんだ…教授並みに詰めた知識をスラスラと話していた。…いや、一応じゃない、よっぽど読み重ねて深く理解しないとこんなに自分の知識として皆に紹介することはできないだろう。みんなのために頑張って読み深めたんだな…。


 その永遠の説明に陽泉が問いかけた。


「その筆者の情報は全くないのか…?大抵本の初めか後ろの方に筆者紹介とか書いてあるもんじゃないのか…?」


「それが無いんだ。筆者の情報は『諸葛亮もろくずりょう』という名前以外に無いんだよ」


 永遠は肩を大きく落として言った。永遠を悲しませる筆者の名前は聞き覚えがあった。それはそうだ、僕が借りてきた本だから筆者の名前くらいは確認済みだ。


 だが、気のせいだろうか…?なぜかその名前には“聞き覚え”があったんだ…。“見覚え”はあるだろう…でも、聞き覚えがあるのはどうだ?誰が教えてくれた?僕は何か重要なことを忘れているような気がするけどなんだ………。


 風に溶け込んでいくようなフワフワした口調、だがその芯は不思議と強い意志のようなもので太く支えられている。僕の脳裏にはまだそのそよ風のような声が残ってい……


「………そうだ!諸葛亮!!」


 僕の頭に浮かんだ人物像は、まとまっているようで無造作なような白髪の細く、高い身長の男性だった。あの時、僕を見ていた優しげな口調の人だと完全に思い出すことができた。


 よくよく縁がある人だと思うまでにはそう長い時間はかからなかった。




 諸葛亮……どこまでも不思議な人だと思った。ただ、このときはそう思っただけだったわけで…。この男が、僕達の日常を大きく変えてゆく者だとは…思いもしなかった。





 自分的にこの話の文章は好きじゃありません…。なんとなくまとまって無くて強引ですね。後で修正するかもです…


 さて、今回は伝説の内容についてちょっぴり解説を入れてみました。諸葛亮ともつながったのでこれからはどんどん伝説の調査についても進めていきたいと思います。


*次回予告*

総合学習の話は一旦中断になってしまい、道場に向かう一行…だが、ここで月夜に起こった異変とは…!?


 感想、意見、評価、修正等々辛口でも良いのでお送り下さい!作者も皆さんの意見が聞きたいですから!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ