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第15話:超人

 夏だ!海だ!ドキッ!!水着だらけのビーチバレー大会〜!!…って事で、僕たちは李凛の提案と偶然会ったコートのおかげで、ビーチバレーをすることになりました…。


「ホントに大丈夫かぁ…?女2人で男2人と闘って、後でそれが原因で負けましたって言い訳されても知らねーぞ!」


 陽泉は心配半分、茶化す気落ち半分と言った感じで李凛と永遠に呼びかけた。その茶化すような口調が気に入らなかったのか、2人は普段の強気な性格をいっそう膨張させた。


「ふふふ…見てなさいよ、あたしと永遠が組んだら最強なのだ!!」


「まっ、あんたら2人こそ言い訳でも考えておいた方がいいんじゃない?」


 熱血な李凛の声と冷徹な永遠の声が織り混ざってなんだか恐怖感が増す…。あれか、戦隊モノで普段は相容(あいい)れない性格のレッドとブルーは連携すると最強…みたいな?…とにかく今のあの2人はそんな感じだ。


「全く…じゃあ始めるぞ〜」


 ポ〜ン…と軽く上げた陽泉のサーブはバレーとしては結構な時間をかけてネット上を通過した。そして、李凛がそのボールの落下地点に移動すると……


“トッ”   “タンッ”   “バシンッ!!”   “ズザザーッ”…………


(……え?何が起こった…?)


 え〜と、整理しようか…。まず、李凛がサーブを受け、永遠がトスを上げ、それをまた李凛がスパイクして、こちら2人のど真ん中に落ちた…と。気がつけばあっちでは片手で格好良くハイタッチしてる2人が見えた。


「「えぇ〜〜〜ッ!!」」


 僕も陽泉も驚愕の事実に対して一斉に絶叫した。だって、あんな短時間であれだけのことを…“か○る姫”もびっくりの連携&クイックプレーで………


 なんなんだこの2人は…。


「ほらほら次行くよ〜ッ」


 李凛の陽気な声で僕達は唖然としていた状況から我に返った。


「し、集中するぞ…月夜…」


「う、うんわかった…陽泉…」


 そう返した僕は李凛の放とうとしているボール一点を見つめる。その瞬間、僕はまた驚愕の光景を見ることとなる…。


 李凛が放ったのはジャンピングサーブ。地面はサラサラとした砂で覆われた浜辺だ。だが李凛は自分の身長をゆうに超える程まで跳んで…いや、飛んでいた。こんな足場の悪い状況であそこまで跳ぶなんて…鳥人…いや、超人か。


 李凛は左手をピンと伸ばし、つま先までスラッとしなやかに筋肉のバネを活用していた…。その動作に全く無駄は見られない…。そして、伸びていた手がいつの間にか左から右に代わっていて………“バシンッ!!”


 勢いのいい音と共に、剛速球が僕たちのコートに降り注ぐ…。どうにか反応できた僕はそのボールのもとに手を伸ばすが…“ボスッ!!”


 鈍い音を鳴らして砂に埋まるボールは、未だ回転を止めぬままどんどん浜の中に潜り込もうとしていた…。どんな打ち方すればこうなる……。


「恐ろしいな…」


 陽泉の言うとおりだ、あれに手が届いていたら…腕の一本くらい軽く持ってかれるんじゃないか…?そう思うほどの打球がこれから先も続いた………。




 気がつけば2−10…もちろん僕らは2だ。僕はこの危機的状況からどう対処したら抜け出せるのでしょうか……。


「いくよッ!!」


 李凛の声が僕達の心にイヤな余韻を残してこだました。李凛が天高くボールを放ると、そこまで一気に彼女自身の体が駆け上がる。そして…“バシィンッ!!”


 さっきまでよりいっそう強い打球が僕の胸元へ突進してくる。幸い僕のど真ん中だ…これは冷静に対処して陽泉にその後を任せた。そしてそのボールを陽泉が華麗にトスする。


「そらよッ、いけ!月夜!!」


「うぉぉッ!!」


 僕は右手に気合いを注入して精一杯の力で2人のど真ん中にスパイクをぶち込んだ。不意をつかれたのか、それに相手2人は対処できずに逃した…。


「うぅ、月夜君ひどぉ〜いッ!!」


 李凛がかわいこぶって僕にうるうるした目を向けてきた…。目を合わせちゃ()まれる…あの普段からは見せないギャップにやられる!!そう自分に言い聞かせてできるだけ無視していると…。


「へ〜ぇ、月夜ってこんないたいけな少女に目も合わせないほど酷い人だッたんだぁ…」


 今度はそう来るか…そう思っていると陽泉が決定的な一言を言い放った。


「痛い系の間違いだろ…」


 …………


 なんだろ、急に空気が寒くなったような…。夏なのに冷や汗をかいてきている自分に驚いていると、李凛の声がビーチにこだました。


「陽泉!!あんただけは許さない!!仮にも女の子に痛い系!?覚えてなよッッッ!!」


 鼓膜が破れそうな声だった…。どうやら本気で怒ったらしい…。恐い、純粋にそう思った。


 そして、僕からのサーブ…なんだか気が重い。これ以上悪い方向に行かないために安全なフローターサーブを打った。李凛の目の前に落ちる寸前、彼女が反応した…。


 李凛のレシーブ、永遠のトス、そしてセンターに上がったボールを……李凛の強烈なスパイクッ!!


「「し、Cクイックだとッ!?」」


 男子2人はあまりの華麗な技術に再び唖然とした。そして…………悲劇は起こった。


“ズガンッ!!”


「げぶぉはッ!!!!」


 陽泉の顔面キャッチ…いや、李凛の的確なボールコントロールでの狙撃だ。しかし全然見えなかった…。そして陽泉はゆっくりとスローモーションのように宙を舞い、砂浜に散った。


 そのままピクリとも動かない…。気絶しちゃったかな?いや、死んだかも…。マジで…………


「あ〜すっきりした!!」


 再び李凛の陽気な声が夏のビーチにこだました…。陽泉は日陰に運び、そのまま他の4人も休憩に入った。




 時間は早いもので…もうお昼頃になっていた。未だ陽泉は眠ったままだけど…。そう言えばこの頃気絶しっぱなしだな、陽泉も。


 気がつけばいつの間にか未来ちゃんも眠ってしまった。永遠の肩に寄りかかって、『どこかで見た光景だね』とは、李凛の言葉で、僕はその事実に改めて赤面するしかなかった…。




「まだ遊び足りないよぉ〜…」


 李凛は毎度おなじみの遊びモードだ。子供みたいに僕にせがんでくる…。


(どうしようかな、僕は…まぁ疲れてはいるけどこのままじゃ李凛もかわいそうだし……)


 そう思っていると、永遠が先に口を開いた。


「見ての通り、あたしは無理だぞ。遊ぶなら2人でにしてくれ…」


 そう言って未来ちゃんを見やった。確かに、こんなに気持ちよさそうに眠る未来ちゃんを起こすのは酷だな、と思う。


「わかったよ、李凛…何がしたいの?」


 小さい子に尋ねる保護者のような優しい口調で聞いてみた。それに李凛は元気よく呼応してくる。


「じゃあ、あそこの岸まで泳ごうかッ!!」


 と言って指さすのは、ここから見て、横に向かってU字型に曲がる岬の方だった。結構遠いな…。


「あそこまで行くの…?」


 明らかにイヤそうな声で尋ねてしまった。それにムッと思ったのか、李凛は僕に断られないように無理矢理僕の手を取って海へ走り出した。


「えっ?あ、ちょっとッ!?」


 僕のそんな情けない声も李凛の耳には届かず、僕達は青い青い海へと突っ込んでいった………



 その後は……岸に着くまで死ぬ気で泳ぎました…李凛は桁外(けたはず)れに速い。それに遅れないようにホント必死で……そして岸に着く頃には、漂流したような状態で、そこから記憶はプッツリ途切れましてございます………




やっぱりスポーツの描写は難しいですね…。そして昨日ちょっとローテンションだった分テンションの上げ具合わからなくなった作者のわけわかんない表現にお付き合い下さってありがとうございます…………。


そして海編はまだまだ続くのでお付き合い下さい。


*次回予告*

遠泳で気を失ってしまった月夜。目を覚ました先に待ち受けたモノとは…?


この頃次回予告が手抜きなような気が…申し訳ない。


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