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第14話:夏はやっぱ海!

「…でありますから、皆さんくれぐれも……」


(長い…)


 心の底からウンザリした。今日は終業式、明日から夏休みなので今日のこの時間くらい校長先生の話を聞いてあげても良いかな…なんて思ってクラスの仲間たちが並ぶ列に参加したけど……後悔した。


 かれこれもう30分…校長もあそこにずっと立ってて辛くないのかな…。とか思ったけどもうどうでもいい。もうこっちが限界近いよ…。


(誰でもいいから解放してくれ〜)


 そう思っていると…なぜか校長先生の声が遠く小さくなっていくような……


「え〜、放送機器のトラブルによりこれで終業式を閉じたいと思います。誠に申し訳ございません」


 と、体育館にアナウンスが鳴り響いた。アナウンスが鳴ってる時点でトラブッてないと思うけど……なんにせよ、生徒及び教師達全員の心の中にある言葉がこだました。


「「「「「ナイス放送部ッ!!」」」」」




「いやぁ〜参ったな校長の話には…」


 教室で先生の話が終わるなり陽泉が、僕に語りかけてきた。


 あの夜…あの後陽泉の様子を見に行くと…大変なことになっていた……。


 ドアをそっと開けると…そこには陽泉の寝てる布団の隣で横になって、陽泉の手を握り眠る永遠の姿があった。何があったのか、というよりそもそもそのこと自体について本人達からは何も聞き出してないけど……気にはなるよね。


「おい、どうした…?」


 そんな不埒な考えが交錯する僕を不審に思ったのか、陽泉が顔を覗き込んできた。


「な、なんでもないよ…」


 なんにせよあの後僕は起きた陽泉に謝って(仲が悪くなってたわけじゃないけど)和解できたし、良かったのかな。


「疲れたぁ〜…」


「ホントだよ…」


 李凛と永遠がそろいもそろって気怠(けだる)そうな態度でやってきた。それに…未来ちゃんも、笑顔でやってきた。


「月夜くん、大丈夫だった…?」


「足痛くなったよ…」


 未来ちゃんと僕はそんな会話を交わした…。いつもの光景だ。


 あの夜…あの後、僕が抱きしめた涙の少女は、泣き疲れたのか温もりに安心したのか…いつの間にか寝てしまっていた。その後は…まぁ、何も…無かったですよ、ハイ……もちろんですともな〜んにもしてませんッてば!!…ッて誰に語りかけてるんだ僕は?


「とりあえず、夏休みだねッ!」


 李凛がいつもの調子で元気いっぱいに歓喜の声を上げた。それに陽泉が乗っかる。


「予定とかはどうするんだ…?」


「海ッ!やっぱ夏と言ったら海でしょッ!!」


 李凛にとって『夏と言えば海』が基本らしい。みんな拒否するわけでも予定が立て込んでるわけでもなく、結構スムーズに海に行くことが決定してしまっていた。




 どこまでも広がる青い空…どこまでも広がる青い海…空に浮かぶ白い雲…海と自分とをつなぐ白いビーチ…。


 夏はやっぱり海だっ!この対照色に囲まれてると気持ちがいい。僕達は夏休み初日李凛の提案で海に来ていた。


「海なんて久しぶりだなぁ…」


 陽泉がしみじみと言った。


「陽泉の家は海の近くじゃないか…」


 僕はそんな陽泉の矛盾する一言に対して呆れるようにつっこんだ。


「違う違う、俺の家は海際に建ってるけど崖みたいなとこだろ?ビーチに来たのは久しぶりさ…海が大好きでちょくちょく浜辺に来るお前と違ってな…」


「悪かったね暇人で…」


 嫌味たっぷりの陽泉にいじけるようにして僕は言い放った。


「まぁまぁそういじけなさんなって…ほら、とりあえず目の保養と洒落込もうぜ」


 そう言う陽泉の視線の先を見やると…


「おっまたせぇ〜ッ!!」


 水着に身を包んだ女性陣……男とはどうもこんな光景に弱いもので……。ついつい魅入ってしまいました…。


「それにしてもすごいなぁ李凛の水着の色…」


 永遠の言うとおりだ…。オレンジに白百合(しらゆり)を咲かせたデザインのホルタービキニは、李凛のイメージとはマッチしてるものの…オレンジがなんとも濃い。遠く沖に流されても見つけられそうだなこれは…。


「そう言う永遠だって結構目立つじゃない…?」


 李凛の意見ももっともではある…。永遠は胸元にリボンのついたスカート水着を着ていたが…これまたすごい純白で……。


「黒い内面と違って色は白か…」


 陽泉はあごに手を当てて考え込むようなポーズをとって、永遠の水着をじっくり見てる。


「なッ!?あんまり見るなヘンタイッ!!」


「うがッ!」


 永遠が顔を一蹴…。陽泉も余計な事しなければいいのに……。


「だ、大丈夫かな…?」


 心配して陽泉に駆け寄ろうとする未来ちゃんを、李凛が制止した。


「あのバカにはいい薬だよ。そっとしておいたら…?」


「う、うん…」


 それにしても、結構未来ちゃんも李凛と似た配色だな…。Aラインワンピース、青々とした背景にフワフワしそうな白い雲…おなかの側面あたりにはにはひまわりが咲いてる。なんだかさわやかな水着だ。そう言えば未来ちゃんの水着姿は初めて見たな…。


 そう考えてポーッと未来ちゃんを見てると、その視線を李凛に気付かれてしまった……。


「へぇ〜、月夜君は花柄ワンピースの水着派ですかぁ…?なるほど、良かったね未来ッ」


 とからかう口調と目で僕を見た後、未来ちゃんに呼びかけた。


「う、うん…」


 未来ちゃん…なぜ顔を赤らめてうなずく…?否定しないって事は…良かったって事かな?僕の好みに合わせたつもりなののかな?……なんか照れくさいというか…嬉しいけど、っていうか、僕の好みってそうだったのか…?


「と、とりあえず…何しようか?」


 いろいろ考えるとそのうち墓穴を掘りそうなので急いで話題を変換することにした。


「ビーチバレー!!」


 ホントに遊びのこととなると子供みたいだな…。李凛が元気に提案してきた。それに呼応したのは永遠だった。


「いいんじゃない…?あそこにコートもあるし」


 こんなとこに都合良くビーチバレーのコートがあるわけ……あった。なんだこのアニメみたいな展開…。


 全くの偶然だけど、ほったらかしのビーチバレーコートがある…。それに気を良くしたのか、李凛がいっそう元気な声で、


「よしッ!じゃあ行こうか!!…いつまで寝てるつもりよ、さっさと行くよ」


 李凛に後頭部を小突かれて起きた陽泉は、まだ焦点が合わないのか、目が虚ろだった…。そして僕達はビーチバレーのコートへと移動した。




 未来ちゃんはスポーツが苦手だと言って見学に回った。そして、くじ引きの結果、僕&陽泉VS.李凛&永遠というものだった。男子は分けた方がいいんじゃないか?と言った僕の言葉にも耳を貸さず、李凛は心配はいらないと言った感じで…


「甘く見ると痛い目見るからねぇ」


と言った。未来ちゃんのホイッスルと共に試合が始まった…………




 そして、僕はこのときまだ知らなかった……


 この後起こる惨劇を…




今回は作者の都合上あまり濃くない内容と少ない文字数となってしまいました、申し訳ございませんですハイ……


*次回予告*

ビーチバレー対決!!男2人のはずが全く勝利の兆しが見えない!?


それどころか緊急事態突入!?



感想、辛口コメント、評価など…いつも待ってますのでよろしくです

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